August Part3 8月中旬 とある部屋
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高杉が認証コードを解除して部屋へ入ったので私も後に続いた。
一歩足を踏み入れると、そこには殺風景な監禁部屋とはうって変わって豪華な空間が広がっていた。
立派な社長机の反対側には会議用の大きな机とイスのセット、少し離れたところに値の張りそうな応接ソファーもしつらえてある。
壁紙や照明にいたるまでお金がかかっているのが一目瞭然だ。
ここは、ヤツの仕事部屋なのだろうか?
まるでテレビで見たホテルのVIPルームのようだ。
「平気か?」
高杉は突然私の手を取り持ち上げた。
「?」
手首にひもの跡がないのを確認すると安心したように微笑み、ソファーに腰掛けるようすすめてくる。
しかし談笑のためにここへ来た訳ではない、私は座ることなく食い下がった。
「話を聞いてください。」
高杉は呼びかけを無視して、壁のパネルに暗証番号を打ち込んだ。
「世の中には同じ顔をした人間が三人存在すると言います。ええと、俗にドッペルゲンガーと呼ばれる現象です。つまり私は別人です。」
ヤツは背を向け扉を開けると、短刀を棚に収めている。
「最寄りの星で降ろしてください。それと地球までの交通費をください。解放してくれたら警察に訴えません。」
「ドッペルゲンガー…?まるでガキの言いぐさだな。」
私を軽くあしらうと、机の上のキセルにタバコの葉を詰め、火を点けた。
さっきの言葉といい、単なる冗談としか受け取られていない。
でも、ここで引き下がるわけにはいかない。私は深呼吸してから口火を切った。
「実は私、パラレルワールドの住人です。ある日突然並行世界から来たら偶然あなたの彼女…さん?と顔が似てただけです本当に誤解です他人の空似です!」
「…。」
高杉は表情を変えることなくフーッと煙を吐いた。
何一つ聞いてない、というより説得は効いていない。
もう全部あらいざらい話すしかない。
私は、ある日バイクにはねられた瞬間この世界へやってきたこと、そして親切な人たちに拾ってもらい、かぶき町のスナックの二階を間借りして暮らしていること、生活費はコンビニとキャバクラのバイトでまかなっていること、一部の人以外には記憶喪失の設定になっていることなどを長々と打ち明けた。
でも、銀さんと同居していることは、言わなかった。
高杉は、私を恋人だと信じ切っている。
行方不明の間、男と一緒に暮らしていたと告げられたら一体どんな気持ちになるだろう。
コイツは私を拉致した悪人だけど、ある意味かわいそうな人でもあるのだ。
そして再会した時に彼女さんが誤解を受けないように、そう考えて私は事実を伏せることにした。
…です。だから帰してくださいお願いします。」
「おとぎ話は終ェか?」
高杉は、決死の覚悟で真実を打ち明けたにも関わらず、からかうように微笑むだけだ。
― 困ったな…。
めちゃくちゃでもいい、何より身の危険が迫っている、とにかく何でもいいから話を続けないと。
「あなたのお探しの方、実は私の生き別れた双子です。」
「双子?テメーに瓜二つの女がいるとでも?」
双子と口にしたとたん高杉の表情が一変した。
「名前とは、っーかテメーとはガキん頃からの付き合いだ。片方が里子に出されたワケねェ。」
「100%断言できますか?どんな家にも身内だけの秘密があると思うんですけど。」
「クク…そうきたか。」
そう言うと、高杉はキセルを煙草盆に置いてため息をついた。
「名前は双子だが、片割れは男だ。俺と攘夷戦争に出兵したが、当の昔におっ死んじまったよ。」
片目が哀しそうに光っているのは気のせいだろうか。
「だったら三つ子…
「苦し紛れの屁理屈は聞きたかねェ。」
「ちょっ…!
高杉は足早に近づくと私の手首をつかんだ。
そして、強引に着物の袖をまくり肩から腕をゆっくり眺めるとニヤリと笑った。
「コイツは偶然とでも言うのかァ?ほくろの位置まで同じとはねェ…。」
嘘でしょ…そこまで同じなの??
「そんな安い手に騙されるとでも?」
高杉は口の端をゆがめて笑っている。
「嘘じゃ、ない!」
「名前、さっきまでの威勢はどうした?そろそろ降参か?」
打つ手が無くなった事を察したのか、高杉は壁の方へ追いつめてくる。
「こっちへ…来るな。」
「猿芝居は終ェだ。」
一歩足を踏み入れると、そこには殺風景な監禁部屋とはうって変わって豪華な空間が広がっていた。
立派な社長机の反対側には会議用の大きな机とイスのセット、少し離れたところに値の張りそうな応接ソファーもしつらえてある。
壁紙や照明にいたるまでお金がかかっているのが一目瞭然だ。
ここは、ヤツの仕事部屋なのだろうか?
まるでテレビで見たホテルのVIPルームのようだ。
「平気か?」
高杉は突然私の手を取り持ち上げた。
「?」
手首にひもの跡がないのを確認すると安心したように微笑み、ソファーに腰掛けるようすすめてくる。
しかし談笑のためにここへ来た訳ではない、私は座ることなく食い下がった。
「話を聞いてください。」
高杉は呼びかけを無視して、壁のパネルに暗証番号を打ち込んだ。
「世の中には同じ顔をした人間が三人存在すると言います。ええと、俗にドッペルゲンガーと呼ばれる現象です。つまり私は別人です。」
ヤツは背を向け扉を開けると、短刀を棚に収めている。
「最寄りの星で降ろしてください。それと地球までの交通費をください。解放してくれたら警察に訴えません。」
「ドッペルゲンガー…?まるでガキの言いぐさだな。」
私を軽くあしらうと、机の上のキセルにタバコの葉を詰め、火を点けた。
さっきの言葉といい、単なる冗談としか受け取られていない。
でも、ここで引き下がるわけにはいかない。私は深呼吸してから口火を切った。
「実は私、パラレルワールドの住人です。ある日突然並行世界から来たら偶然あなたの彼女…さん?と顔が似てただけです本当に誤解です他人の空似です!」
「…。」
高杉は表情を変えることなくフーッと煙を吐いた。
何一つ聞いてない、というより説得は効いていない。
もう全部あらいざらい話すしかない。
私は、ある日バイクにはねられた瞬間この世界へやってきたこと、そして親切な人たちに拾ってもらい、かぶき町のスナックの二階を間借りして暮らしていること、生活費はコンビニとキャバクラのバイトでまかなっていること、一部の人以外には記憶喪失の設定になっていることなどを長々と打ち明けた。
でも、銀さんと同居していることは、言わなかった。
高杉は、私を恋人だと信じ切っている。
行方不明の間、男と一緒に暮らしていたと告げられたら一体どんな気持ちになるだろう。
コイツは私を拉致した悪人だけど、ある意味かわいそうな人でもあるのだ。
そして再会した時に彼女さんが誤解を受けないように、そう考えて私は事実を伏せることにした。
…です。だから帰してくださいお願いします。」
「おとぎ話は終ェか?」
高杉は、決死の覚悟で真実を打ち明けたにも関わらず、からかうように微笑むだけだ。
― 困ったな…。
めちゃくちゃでもいい、何より身の危険が迫っている、とにかく何でもいいから話を続けないと。
「あなたのお探しの方、実は私の生き別れた双子です。」
「双子?テメーに瓜二つの女がいるとでも?」
双子と口にしたとたん高杉の表情が一変した。
「名前とは、っーかテメーとはガキん頃からの付き合いだ。片方が里子に出されたワケねェ。」
「100%断言できますか?どんな家にも身内だけの秘密があると思うんですけど。」
「クク…そうきたか。」
そう言うと、高杉はキセルを煙草盆に置いてため息をついた。
「名前は双子だが、片割れは男だ。俺と攘夷戦争に出兵したが、当の昔におっ死んじまったよ。」
片目が哀しそうに光っているのは気のせいだろうか。
「だったら三つ子…
「苦し紛れの屁理屈は聞きたかねェ。」
「ちょっ…!
高杉は足早に近づくと私の手首をつかんだ。
そして、強引に着物の袖をまくり肩から腕をゆっくり眺めるとニヤリと笑った。
「コイツは偶然とでも言うのかァ?ほくろの位置まで同じとはねェ…。」
嘘でしょ…そこまで同じなの??
「そんな安い手に騙されるとでも?」
高杉は口の端をゆがめて笑っている。
「嘘じゃ、ない!」
「名前、さっきまでの威勢はどうした?そろそろ降参か?」
打つ手が無くなった事を察したのか、高杉は壁の方へ追いつめてくる。
「こっちへ…来るな。」
「猿芝居は終ェだ。」