August Part1 8月中旬 夕方 繁華街
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例の件※があってから、私は銀さんに自分の交友関係を包み隠さず申告した。
安心してもらおうと、コンビニや「すまいる」のバイトで仲良くなった子を万事屋に連れてきたり、来週は銀さんを交えて飲む予定を入れている。
話ついでに、コンビニのレジで言い寄ってくるヤクザのことも相談したら、すぐに銀さんは黒駒勝男さんという組の偉い人に話をつけてくれて、それ以降しつこい誘いはピタリと止んだ。
カタギじゃない裏社会の人や怪しい天人が行き交う江戸で、銀さんは私がトラブルに巻き込まれないよう、いつも気を配ってくれている。
勿論、銀さんには本当に感謝している。
でも私だって一応成人だ。いい人と悪い人の区別ぐらいつくし…と言えないのがつらいけど、それでも信じてほしいのが正直な気持ちだったりする。
そんなある日、頭数が足りなくなったので合コンに来てほしいと電話をもらった。
その場でOKしたけど、現状を考えたらタイミングが非常に悪い。
合コンに行くよ、と言ったら銀さんはいい顔をしないだろう…。
内緒で行くという事は、また秘密を作ることになる。
でも今更断る訳にもいかないし、私も一度くらい合コンに行ってみたい。
だって私は、かぶき町に来てから同年代の男の人と、ほとんど話をしたことがないのだ。
長谷川さんは全然年が上だからタメ口で話すことはないし、そこまで年が離れてない近藤さんとは親しくさせて頂いてるけど、あくまでも常連客の域(いき)を出ない。
友達口調でしゃべるのはオカマのアゴ美さんぐらいだ。でも、私の中であの人は女友達と認識されている。
だから私は、お仕事抜きで同年代の男の人と話ができる合コンという機会を楽しみにしていたのだった。
日中、私は定春くんのお散歩に行ったり、たまさんの買い出しに付き合ったり、いつもと変わらず過ごすように努め、夕方になるのをひたすら待った。
「行ってくるね。」
私は何食わぬ顔をして、社長机に両足を乗せジャンプを読んでる銀さんに話しかけた。
「コンビニ行くならいちご牛乳買ってきてくんない?」
銀さんは、ジャンプに目を落としたまま頼みごとをしてくる。
「ごめん、コンビニは寄れない。急なんだけど、バイトの友だちとごはん食べてくる。」
「あー出かけるんだっけ?今朝の電話の。」
「うん。」
ジャンプを机に置くと銀さんはこっちを向いたので、私は目をまっすぐ見て言った。
「この前ウチに来た娘(こ)か?」
「そう、コンビニで一緒のシフトの。」
本当はその子以外に何人も…あと男の人も来るけど、それを言うわけにはいかない。
「あの娘、酒グセ悪ィから飲ませすぎるなよ。」
両足を机から降ろした銀さんは懐(ふところ)から財布を出すと、どーせ帰り遅くなるんだろ?俺が迎えに行くと言って、駅で電話をかけるよう公衆電話代の十円玉を私に握らせた。
「おこづかいくれるなんてお父さんみたい。」
銀さんは相変わらず金欠だけど、出かけ際に十円玉をくれるのが習慣になっている。
「俺はこんなに図体のでけぇ娘持った覚えはねーよ。ま、携帯電話の代わりっーことで。」
にわか雨降るから傘持ってけよーと言うと銀さんは台所へ向かったので、私はほっと一息ついて玄関の扉を開けた。
が、次の関門が待っていた。
階段を降りたところで、神楽ちゃんに出くわしてしまったのだ。
「名前ちゃん今からデートアルか?」
酢昆布をくわえた神楽ちゃんは、私の全身を上から下までざっと見わたすとズバッと言い切った。
「えっ何で??全然違うよ。」
「名前ちゃんの着物、朝と違うアル。もしかして彼氏できたアルか?」
神楽ちゃんは私の周りをぐるっと回って観察すると、かんざしが増えた事まで指摘してくる。
安心してもらおうと、コンビニや「すまいる」のバイトで仲良くなった子を万事屋に連れてきたり、来週は銀さんを交えて飲む予定を入れている。
話ついでに、コンビニのレジで言い寄ってくるヤクザのことも相談したら、すぐに銀さんは黒駒勝男さんという組の偉い人に話をつけてくれて、それ以降しつこい誘いはピタリと止んだ。
カタギじゃない裏社会の人や怪しい天人が行き交う江戸で、銀さんは私がトラブルに巻き込まれないよう、いつも気を配ってくれている。
勿論、銀さんには本当に感謝している。
でも私だって一応成人だ。いい人と悪い人の区別ぐらいつくし…と言えないのがつらいけど、それでも信じてほしいのが正直な気持ちだったりする。
そんなある日、頭数が足りなくなったので合コンに来てほしいと電話をもらった。
その場でOKしたけど、現状を考えたらタイミングが非常に悪い。
合コンに行くよ、と言ったら銀さんはいい顔をしないだろう…。
内緒で行くという事は、また秘密を作ることになる。
でも今更断る訳にもいかないし、私も一度くらい合コンに行ってみたい。
だって私は、かぶき町に来てから同年代の男の人と、ほとんど話をしたことがないのだ。
長谷川さんは全然年が上だからタメ口で話すことはないし、そこまで年が離れてない近藤さんとは親しくさせて頂いてるけど、あくまでも常連客の域(いき)を出ない。
友達口調でしゃべるのはオカマのアゴ美さんぐらいだ。でも、私の中であの人は女友達と認識されている。
だから私は、お仕事抜きで同年代の男の人と話ができる合コンという機会を楽しみにしていたのだった。
日中、私は定春くんのお散歩に行ったり、たまさんの買い出しに付き合ったり、いつもと変わらず過ごすように努め、夕方になるのをひたすら待った。
「行ってくるね。」
私は何食わぬ顔をして、社長机に両足を乗せジャンプを読んでる銀さんに話しかけた。
「コンビニ行くならいちご牛乳買ってきてくんない?」
銀さんは、ジャンプに目を落としたまま頼みごとをしてくる。
「ごめん、コンビニは寄れない。急なんだけど、バイトの友だちとごはん食べてくる。」
「あー出かけるんだっけ?今朝の電話の。」
「うん。」
ジャンプを机に置くと銀さんはこっちを向いたので、私は目をまっすぐ見て言った。
「この前ウチに来た娘(こ)か?」
「そう、コンビニで一緒のシフトの。」
本当はその子以外に何人も…あと男の人も来るけど、それを言うわけにはいかない。
「あの娘、酒グセ悪ィから飲ませすぎるなよ。」
両足を机から降ろした銀さんは懐(ふところ)から財布を出すと、どーせ帰り遅くなるんだろ?俺が迎えに行くと言って、駅で電話をかけるよう公衆電話代の十円玉を私に握らせた。
「おこづかいくれるなんてお父さんみたい。」
銀さんは相変わらず金欠だけど、出かけ際に十円玉をくれるのが習慣になっている。
「俺はこんなに図体のでけぇ娘持った覚えはねーよ。ま、携帯電話の代わりっーことで。」
にわか雨降るから傘持ってけよーと言うと銀さんは台所へ向かったので、私はほっと一息ついて玄関の扉を開けた。
が、次の関門が待っていた。
階段を降りたところで、神楽ちゃんに出くわしてしまったのだ。
「名前ちゃん今からデートアルか?」
酢昆布をくわえた神楽ちゃんは、私の全身を上から下までざっと見わたすとズバッと言い切った。
「えっ何で??全然違うよ。」
「名前ちゃんの着物、朝と違うアル。もしかして彼氏できたアルか?」
神楽ちゃんは私の周りをぐるっと回って観察すると、かんざしが増えた事まで指摘してくる。