August~another day~ 8月中旬 海水浴場
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ある夏の日、私は二十分に一本しか電車が来ない、ひなびた駅の改札口で迎えに来てくれるはずの銀さんを探していた。
駅前には海水浴帰りの人々がグループごとに固まっているけど、銀さんの姿は見当たらない。
さっき駅員さんに改札口は一つだと確認した。
念のためバス停のロータリーを一周したけど、それらしき姿はない。
行き違いになるといけないので、私はしばらく待つことにした。
三人はリゾートバイト、というかこのところ住み込みで海水浴場のバイトをしている。
水着姿になるのが恥ずかしかった私は、コンビニのバイトが入っているのを口実に、最終日に合流することにしてこの町にやってきたのだ。
言い訳がましいけど、一本電車を逃してしまったのは、おしゃべり好きのアゴ美さんに出くわしたせいだったりする。
連絡しようにも、みんなは携帯電話を持っていない。
次の電車が来たけど銀さんは現れなかったので、私は仕事が長引いて手が空かないのかも知れないと思い、海水浴場に向かうことにした。
駅から海に出る道は二つある。
約束の時間通りに到着せず待ちぼうけを食らった銀さんが、屋内で涼んでいる可能性を考慮して、私は人通りの多い商店街を抜ける道を選んで歩き始めた。
通りの両側にはどこの駅前でもありそうな、スーパー、ドラッグストア、本屋、パチンコ店、ファーストフード店、コンビニ、居酒屋、パン屋などが立ち並んでいる。
いつもの行動パターンなら、本屋かコンビニで立ち読みしているか、スーパーでアイスを買っているだろう。
でも、本屋にもコンビニにもスーパーにも銀さんはいなかった。
他に立ち寄りそうな所はあるだろうか?
やっぱりまだ海水浴場で働いてるのかな。
スーパー、ドラッグストア、本屋、パチンコ店、ファーストフード店、コンビニ、居酒屋、パン屋…??
パチンコだ!!
銀さんは絶対そこにいる!
自動ドアを抜け、生まれて初めて入ったパチンコ店は圧倒的にうるさい空間だった。
狭い通路にずらりと並んだパチンコは常時派手に点灯している。
まばらに座ったお客さんの多くは真剣にパチンコ台に向かっているけど、休憩中なのかタバコを吸ってる人もいる。
一列ずつ確認していくと、奥の方に麦わら帽子を首の後ろにつるしたまま、Tシャツと半ズボン姿でパチンコに夢中になってる銀さんを発見した。
やっぱりここだったんだ…。
私は、他の人のパチンコ玉が入っている箱を蹴飛ばさないよう注意して進んでいった。
銀さんは一心不乱にパチンコ台に向かっている。
画面の雰囲気と興奮を隠せない表情、周囲に積まれた箱の山から推測すると、素人目にも相当勝っているのは間違いない。
「来たよ。」
「…。」
音がうるさいのか、気づいていないようだ。
私は大きな声で呼びかけた。
「遅れてごめんなさい。」
「…。」
銀さんは振り向きもしない。
「私、来たんだけど!本当にごめんなさい。」
「…。」
とうとう私は耳元で怒鳴った。
「銀さん!!」
「あー名前ちゃん来たの。アレ?もうそんな時間経った?」
いつもだったら相手をしてくれる銀さんはやけにそっけない。
そして画面から目をはずすことなく、こう言った。
「尻ポケットの封筒取ってくれる?」
「これ…かな?」
私は言われた通り、銀さんのポケットから封筒をこわごわ引っ張り出した。
「ソイツでしばらく遊んでて。」
中身を確認すると、一万円札が結構入っている。
「これでどうするの?」
「そりゃ決まってるだろ、目の前のヤツ。」
「パチンコしかないんだけど。」
「だからパチン…ちょっと黙っててくんない?今イイとこなんだよ~。」
店員さんが銀さんのために玉を入れる箱を運んできたので、私は通路を出て壁の方に行き、一万円札を封筒に戻して改めて見ることにした。
封筒の下の方には、海の家の会社名が印字されている。
ってことは、この中身って、今日までのバイト代?
つまり報酬を使い込んでるってこと?
このお金で私にパチンコをしろってこと??
今回の仕事の報酬は使い道が決まっている。
清水の舞台から飛び降りる覚悟で、万事屋にエアコンを導入することになったのだ。
私はバイトで積み立てた貯金をおろしてなんとか調達したけど、収入が依頼人次第な銀さんたちは、この仕事ですべてをまかなう算段なわけで…。
それなのに、それはないよ…。
パチンコの画面が再び激しく点灯を始めた。
興奮しまくってる銀さんに、そろそろやめようよと何度言っても聞いてくれない。
今のところは勝ってるけどギャンブルはいつしか負ける時が来る。
新八くんと神楽ちゃんを呼んでこないと…。
「ちょっと君たちー!子どもの入店は法律で禁止されてるの!止まりなさい!!」
私がうだうだしていると、入り口付近から大声が聞こえてきた。
新八くんと神楽ちゃんが店員さんの制止を聞かず、こっちにやってくる。
「やっぱりアル。銀ちゃんにおカネ持たせるとロクなことないネ。」
駅前には海水浴帰りの人々がグループごとに固まっているけど、銀さんの姿は見当たらない。
さっき駅員さんに改札口は一つだと確認した。
念のためバス停のロータリーを一周したけど、それらしき姿はない。
行き違いになるといけないので、私はしばらく待つことにした。
三人はリゾートバイト、というかこのところ住み込みで海水浴場のバイトをしている。
水着姿になるのが恥ずかしかった私は、コンビニのバイトが入っているのを口実に、最終日に合流することにしてこの町にやってきたのだ。
言い訳がましいけど、一本電車を逃してしまったのは、おしゃべり好きのアゴ美さんに出くわしたせいだったりする。
連絡しようにも、みんなは携帯電話を持っていない。
次の電車が来たけど銀さんは現れなかったので、私は仕事が長引いて手が空かないのかも知れないと思い、海水浴場に向かうことにした。
駅から海に出る道は二つある。
約束の時間通りに到着せず待ちぼうけを食らった銀さんが、屋内で涼んでいる可能性を考慮して、私は人通りの多い商店街を抜ける道を選んで歩き始めた。
通りの両側にはどこの駅前でもありそうな、スーパー、ドラッグストア、本屋、パチンコ店、ファーストフード店、コンビニ、居酒屋、パン屋などが立ち並んでいる。
いつもの行動パターンなら、本屋かコンビニで立ち読みしているか、スーパーでアイスを買っているだろう。
でも、本屋にもコンビニにもスーパーにも銀さんはいなかった。
他に立ち寄りそうな所はあるだろうか?
やっぱりまだ海水浴場で働いてるのかな。
スーパー、ドラッグストア、本屋、パチンコ店、ファーストフード店、コンビニ、居酒屋、パン屋…??
パチンコだ!!
銀さんは絶対そこにいる!
自動ドアを抜け、生まれて初めて入ったパチンコ店は圧倒的にうるさい空間だった。
狭い通路にずらりと並んだパチンコは常時派手に点灯している。
まばらに座ったお客さんの多くは真剣にパチンコ台に向かっているけど、休憩中なのかタバコを吸ってる人もいる。
一列ずつ確認していくと、奥の方に麦わら帽子を首の後ろにつるしたまま、Tシャツと半ズボン姿でパチンコに夢中になってる銀さんを発見した。
やっぱりここだったんだ…。
私は、他の人のパチンコ玉が入っている箱を蹴飛ばさないよう注意して進んでいった。
銀さんは一心不乱にパチンコ台に向かっている。
画面の雰囲気と興奮を隠せない表情、周囲に積まれた箱の山から推測すると、素人目にも相当勝っているのは間違いない。
「来たよ。」
「…。」
音がうるさいのか、気づいていないようだ。
私は大きな声で呼びかけた。
「遅れてごめんなさい。」
「…。」
銀さんは振り向きもしない。
「私、来たんだけど!本当にごめんなさい。」
「…。」
とうとう私は耳元で怒鳴った。
「銀さん!!」
「あー名前ちゃん来たの。アレ?もうそんな時間経った?」
いつもだったら相手をしてくれる銀さんはやけにそっけない。
そして画面から目をはずすことなく、こう言った。
「尻ポケットの封筒取ってくれる?」
「これ…かな?」
私は言われた通り、銀さんのポケットから封筒をこわごわ引っ張り出した。
「ソイツでしばらく遊んでて。」
中身を確認すると、一万円札が結構入っている。
「これでどうするの?」
「そりゃ決まってるだろ、目の前のヤツ。」
「パチンコしかないんだけど。」
「だからパチン…ちょっと黙っててくんない?今イイとこなんだよ~。」
店員さんが銀さんのために玉を入れる箱を運んできたので、私は通路を出て壁の方に行き、一万円札を封筒に戻して改めて見ることにした。
封筒の下の方には、海の家の会社名が印字されている。
ってことは、この中身って、今日までのバイト代?
つまり報酬を使い込んでるってこと?
このお金で私にパチンコをしろってこと??
今回の仕事の報酬は使い道が決まっている。
清水の舞台から飛び降りる覚悟で、万事屋にエアコンを導入することになったのだ。
私はバイトで積み立てた貯金をおろしてなんとか調達したけど、収入が依頼人次第な銀さんたちは、この仕事ですべてをまかなう算段なわけで…。
それなのに、それはないよ…。
パチンコの画面が再び激しく点灯を始めた。
興奮しまくってる銀さんに、そろそろやめようよと何度言っても聞いてくれない。
今のところは勝ってるけどギャンブルはいつしか負ける時が来る。
新八くんと神楽ちゃんを呼んでこないと…。
「ちょっと君たちー!子どもの入店は法律で禁止されてるの!止まりなさい!!」
私がうだうだしていると、入り口付近から大声が聞こえてきた。
新八くんと神楽ちゃんが店員さんの制止を聞かず、こっちにやってくる。
「やっぱりアル。銀ちゃんにおカネ持たせるとロクなことないネ。」