July 7月中旬 夜空
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「R18??下ネタ…タイム?!」
「いや単に酒飲み同士の時間と言いたいだけなんだけど。」
「まぎらわしいっての!っていうか銀さん酔ってるよ。」
「んなこたァねーよ~。見ての通り俺はシラフだ。」
その割に銀さんの口調はヘラヘラしている。
「絶対酔ってるって。さっきからオヤジギャグ率が上がってるし。あっ!」
中身が残っていたビール缶は私の手を離れると、鈍い音をたてて転がり雨どいに引っかかってしまった。
「もったいない事しちゃったな。」
しょうがないので私は新しい缶を手に取った。
「オイ、もう飲むな。っーか飲み過ぎ。」
「あー!ずるい!!」
銀さんはビールを取りあげると、最後の一本を一気飲みしてしまった。
「だから名前ちゃん酔ってるっーの。」
「酔ってるかな?うーん…家だと…、お客さんの事気にせず自分のペースで飲めるし…それに頭がぼーっとしても帰らなくていいから…私やっぱり飲み過ぎ…??フフフ、酔ってるみたいだね~。」
「かなりな。」
「っていうか銀さんだって酔っぱらってるよ~ハハハ。」
既に視界はゆがんでいたけど、酔ってるのを認めたくなくて私は言い張った。
「俺は全然酔ってねーぞ。」
「酔っぱらいは酔ってないって否定するんだよ~。あれ?もうこんな時間?みんな帰ろう!帰らなきゃ。」
「あの…ここ万事屋なんですけど。」
「あれ?そうだっけ?本当だ~ハハハ。」
「ベロベロだなこりゃ。」
やれやれと頭をかいた銀さんは、かなりあきれた様子だ。
「っていうか帰る~。」
大声をあげて腰を起こした私はよろけて銀さんに制止された。
「フラフラしてたら降りる時ケガすんぞ!」
「ごめんなさい…。」
私は酔いが覚めるまでここに居ろと小言をくらい屋根に寝かされた。
屋根の上は瓦がごつごつ背中にあたるけど、夜風が体にあたって気持ちいい。
寝転がって空を眺めるなんて経験は滅多にできない。星々がとてもきれいだ。
でも、真っ暗な夜空に吸い込まれて果てしなく落ちていきそうで、どこか怖い。
私は仰向けになったまま、この世界に来て初めて見た夢について話すことにした。
隣で寝ている銀さんは酔いが回っているのか、適当に相づちを打っている。
時々返事はないし、半分眠っているのかもしれない。
「……った。私たちは真っ白な空間に浮いていて、お母さんの手が…こう、近くまでくるんだけど…
宙をつかむポーズを再現しようと、私は手を夜空に伸ばしてゆらゆらさせた。
「どうしてもつかめなくて…足がつかなくてどこまでも落ちていきそうで怖くて…ひとりぼっちで目を覚ますと誰もいな…
「つーかまえた。」
不意に銀さんが私の手をつかんだ。
「…。」
「落ちねーよ。落ちやしねェ。」
「…うん。」
「俺がついてる。」
そう言うと銀さんは、つないだ手をゆっくり瓦の上に降ろした。
つながれた手から体温が伝わって、顔まで熱くなってくる。
多分、これはお酒のせいじゃない。
っていうか、銀さんはずるい。
安心して眠くなってきた私はそっと目をつぶった。
―
「神楽ちゃん!!」
お通ちゃんのアルバムを聴き終えた僕はありえない光景を目にして、定春に寄りかかってうたた寝している神楽ちゃんをゆすぶって起こした。
たたき起こされて不機嫌な神楽ちゃんも、非常事態を目の当たりにして一瞬固まった。
名前さんと銀さんは、手をつないだままぐっすりと眠っている。
僕たちはしばらく言葉を失っていた。
「新八、もしかして二人はデキてるアルか?デキてしまうアルか?」
「いくらなんでもそれはないよ。大体、銀さんと付き合っても名前さんに何のメリットもないじゃないか。」
「チッチッ、これだから恋の一つもしたことのないお子様は…女はギャップに弱い生き物ネ。」
愛憎ドロドロ展開のドラマ大好きな神楽ちゃんは何を学んだのか訳知り顔だ。
「僕はお通ちゃん一筋…っていうか神楽ちゃんだってしたことないクセに…。」
「シーッ、起きてしまうヨ。」
「よし、じゃ賭けよう。僕は二人が付き合うのはナシで。神楽ちゃんはアリでいいんだね?」
僕は神楽ちゃんにバーゲンダッシュ100個と酢昆布100個の賭けを申し込んだけど、この勝負は僕の勝ちに終わると確信していた。
どんなに口がうまくても生活力皆無な銀さんが、名前さんをモノにするなんて絶対ありえない。
そして、神楽ちゃんと約束の指切りをしてから少し経ったところで二人を起こした。
2016年5月18日UP
「いや単に酒飲み同士の時間と言いたいだけなんだけど。」
「まぎらわしいっての!っていうか銀さん酔ってるよ。」
「んなこたァねーよ~。見ての通り俺はシラフだ。」
その割に銀さんの口調はヘラヘラしている。
「絶対酔ってるって。さっきからオヤジギャグ率が上がってるし。あっ!」
中身が残っていたビール缶は私の手を離れると、鈍い音をたてて転がり雨どいに引っかかってしまった。
「もったいない事しちゃったな。」
しょうがないので私は新しい缶を手に取った。
「オイ、もう飲むな。っーか飲み過ぎ。」
「あー!ずるい!!」
銀さんはビールを取りあげると、最後の一本を一気飲みしてしまった。
「だから名前ちゃん酔ってるっーの。」
「酔ってるかな?うーん…家だと…、お客さんの事気にせず自分のペースで飲めるし…それに頭がぼーっとしても帰らなくていいから…私やっぱり飲み過ぎ…??フフフ、酔ってるみたいだね~。」
「かなりな。」
「っていうか銀さんだって酔っぱらってるよ~ハハハ。」
既に視界はゆがんでいたけど、酔ってるのを認めたくなくて私は言い張った。
「俺は全然酔ってねーぞ。」
「酔っぱらいは酔ってないって否定するんだよ~。あれ?もうこんな時間?みんな帰ろう!帰らなきゃ。」
「あの…ここ万事屋なんですけど。」
「あれ?そうだっけ?本当だ~ハハハ。」
「ベロベロだなこりゃ。」
やれやれと頭をかいた銀さんは、かなりあきれた様子だ。
「っていうか帰る~。」
大声をあげて腰を起こした私はよろけて銀さんに制止された。
「フラフラしてたら降りる時ケガすんぞ!」
「ごめんなさい…。」
私は酔いが覚めるまでここに居ろと小言をくらい屋根に寝かされた。
屋根の上は瓦がごつごつ背中にあたるけど、夜風が体にあたって気持ちいい。
寝転がって空を眺めるなんて経験は滅多にできない。星々がとてもきれいだ。
でも、真っ暗な夜空に吸い込まれて果てしなく落ちていきそうで、どこか怖い。
私は仰向けになったまま、この世界に来て初めて見た夢について話すことにした。
隣で寝ている銀さんは酔いが回っているのか、適当に相づちを打っている。
時々返事はないし、半分眠っているのかもしれない。
「……った。私たちは真っ白な空間に浮いていて、お母さんの手が…こう、近くまでくるんだけど…
宙をつかむポーズを再現しようと、私は手を夜空に伸ばしてゆらゆらさせた。
「どうしてもつかめなくて…足がつかなくてどこまでも落ちていきそうで怖くて…ひとりぼっちで目を覚ますと誰もいな…
「つーかまえた。」
不意に銀さんが私の手をつかんだ。
「…。」
「落ちねーよ。落ちやしねェ。」
「…うん。」
「俺がついてる。」
そう言うと銀さんは、つないだ手をゆっくり瓦の上に降ろした。
つながれた手から体温が伝わって、顔まで熱くなってくる。
多分、これはお酒のせいじゃない。
っていうか、銀さんはずるい。
安心して眠くなってきた私はそっと目をつぶった。
―
「神楽ちゃん!!」
お通ちゃんのアルバムを聴き終えた僕はありえない光景を目にして、定春に寄りかかってうたた寝している神楽ちゃんをゆすぶって起こした。
たたき起こされて不機嫌な神楽ちゃんも、非常事態を目の当たりにして一瞬固まった。
名前さんと銀さんは、手をつないだままぐっすりと眠っている。
僕たちはしばらく言葉を失っていた。
「新八、もしかして二人はデキてるアルか?デキてしまうアルか?」
「いくらなんでもそれはないよ。大体、銀さんと付き合っても名前さんに何のメリットもないじゃないか。」
「チッチッ、これだから恋の一つもしたことのないお子様は…女はギャップに弱い生き物ネ。」
愛憎ドロドロ展開のドラマ大好きな神楽ちゃんは何を学んだのか訳知り顔だ。
「僕はお通ちゃん一筋…っていうか神楽ちゃんだってしたことないクセに…。」
「シーッ、起きてしまうヨ。」
「よし、じゃ賭けよう。僕は二人が付き合うのはナシで。神楽ちゃんはアリでいいんだね?」
僕は神楽ちゃんにバーゲンダッシュ100個と酢昆布100個の賭けを申し込んだけど、この勝負は僕の勝ちに終わると確信していた。
どんなに口がうまくても生活力皆無な銀さんが、名前さんをモノにするなんて絶対ありえない。
そして、神楽ちゃんと約束の指切りをしてから少し経ったところで二人を起こした。
2016年5月18日UP