July 7月中旬 夜空
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「この時間だと走らないと間に合わないでしょ?二人に悪いって。」
「そうか、かえって君の負担になるなら僕と妙ちゃんは、おいとまするよ。」
「それにしても、銀さんたち遅いわね…。」
二人がソファーから立ち上がり玄関に向かったので、私は見送りに行った。
「三十分前には余裕で戻るって言ってたのに、仕事が長引いてるのかな…。」
花火大会の開始までもう十五分しかないのに、三人と定春くんはまだ帰ってこない。
お妙ちゃんと九兵衛ちゃんは、一人で待つ私に気兼ねして万事屋にいてくれる。
以前九兵衛ちゃんは、お屋敷でお妙ちゃんと一緒に花火を鑑賞しようと誘ってくれた。
でも、私は万事屋のみんなと見るのでと断ると、夕方になって彼女はスイカを差し入れに来てくれたのだった。
「名前ちゃん、もしもみんなが帰ってこないなら、うちに遊びに来るといい。我が家はいつでも大歓迎だ。」
「うん、九兵衛ちゃんありがとう。それと、スイカ重いのに沢山ありがとう。」
「僕は日々鍛えてるからこれくらいなんてことないさ。それに神楽ちゃんは1個や2個じゃ足りないからね。」
お妙ちゃんと九兵衛ちゃんは、リズミカルに階段を降りていく。
「今日は付き合ってくれて本当にありがとう。機会があればお父…、パパ上様にご挨拶させてもらうね。」
「名前ちゃん、また会おう。」
「名前ちゃん、あさって「すまいる」で。」
「またねー。」
一人になった私は、時間をかけて階段をとぼとぼ登った。
玄関の前の柵にほおづえをついて通りを眺めると、浴衣姿の群集が河原方面へゆっくり動いていく。
今日、朝から定春くんと銀さんたちは仕事だ。
だから帰りが遅れても文句を言ってはいけない。それはわかってる。
でも、子供を肩車したお父さんや、手をつないだカップル、寺子屋の学生の集団が眼下に通り過ぎるのを見ているとやっぱり寂しい。
それと、銀さんは何も言わなかったけど場所取りしなくてよかったのかな?
ニュースでは、場所取り合戦が過熱して小競り合いも起きてると報道していた。今から行っても河原は満杯に決まってる。一体どこで見るというのだろう。
私はやきもきしながら、みんなの帰りを待っていた。
諦めて玄関の扉を開けたところだった。
「名前ちゃ~ん!」
大きな声が聞こえたので私は振り向いた。
定春くんと神楽ちゃんが階段を駆け上がってくる。
追ってきた銀さんと新八くんは、スーパーの袋を両手にさげていた。
「遅くなってすみません。ちょうどその角で長谷川さんに偶然会って立ち話してたんです。でもおかげで明日仕事に誘ってもらえました!」
「悪ィ、待たせたな。」
ブーツを脱ごうとする銀さんから袋を受け取ると、中にはビール缶が沢山入っていた。
「仕事は朝イチだから定春の散歩頼むわ。」
「私もシフト代わってもらったからお散歩終えたら出るね。」
なぜか新八くんも神楽ちゃんも履物を脱いで家に上がっていく。
定春くんまで万事屋に入ったので私は仕方なく玄関の扉を閉めた。
「もう場所取り終わってるけど。どこかへ出かけないの?」
みんなの行動に納得できない私は、銀さんの袖をつかんで軽く引っ張った。
「え?何で?ここにとっておきの特等席があんだろ?」
銀さんはきょとんとしている。
「ここからだと花火が欠けちゃうよ?」
「だから、ここからなら見えるだろ?」
銀さんは上を指さした。
「ここ?ヘリコプター?もしかして…ヘリコプターの上から見るの?」
「ウチにそんなカネあるかっての。っーか上だって。」
「エエエ?でも上って…上?あっ!もしかして屋根?屋根の上??」
「そういう事。」
屋根に登って花火を見るなんて考えてもいなかった。
「食べ物はこれで全部ですか?」
私と銀さんが話している間に、神楽ちゃんは浴衣へ着替えるために和室に行き、新八くんは大量のお弁当やおつまみを入れた袋をまとめて、定春くんの方に運んで行く。
「そうだ新八くん、これもお願い。九兵衛ちゃんのお土産。」
「スイカ、こんなに沢山もらえたんですか!やっぱ柳生家は経済力が違いますね~。」
「それじゃ定春くん、よろしくね。」
定春くんは重たい袋をいくつもくわえると、うなずくように頭を振って出て行った。
「あとは、これで全部か。」
銀さんはテーブルに仮置きした缶ビールの袋を持った。
「全部銀さんが飲むの?」
「ここにもう一人飲むヤツがいるだろ?そこの浴衣姿のキャバ嬢さん~、たまにはドンペリ以外のお飲み物もいかがですか?」
「『すまいる』じゃドンペリのドンペリ割以外飲んでないからビール久しぶりだ~。」
「…。」
銀さんは、近頃明らかにお妙ちゃんの悪影響が見られる、強欲っぷりまで真似すんなと私に軽くデコピンしてから外へ出た。
続いて私が出ると、定春くんは既に屋根の上で、新八くんが柵や雨どいをつたい器用に登っている。
完全に登りきったのを確認してから、銀さんはビールの袋を彼に渡した。
「そうか、かえって君の負担になるなら僕と妙ちゃんは、おいとまするよ。」
「それにしても、銀さんたち遅いわね…。」
二人がソファーから立ち上がり玄関に向かったので、私は見送りに行った。
「三十分前には余裕で戻るって言ってたのに、仕事が長引いてるのかな…。」
花火大会の開始までもう十五分しかないのに、三人と定春くんはまだ帰ってこない。
お妙ちゃんと九兵衛ちゃんは、一人で待つ私に気兼ねして万事屋にいてくれる。
以前九兵衛ちゃんは、お屋敷でお妙ちゃんと一緒に花火を鑑賞しようと誘ってくれた。
でも、私は万事屋のみんなと見るのでと断ると、夕方になって彼女はスイカを差し入れに来てくれたのだった。
「名前ちゃん、もしもみんなが帰ってこないなら、うちに遊びに来るといい。我が家はいつでも大歓迎だ。」
「うん、九兵衛ちゃんありがとう。それと、スイカ重いのに沢山ありがとう。」
「僕は日々鍛えてるからこれくらいなんてことないさ。それに神楽ちゃんは1個や2個じゃ足りないからね。」
お妙ちゃんと九兵衛ちゃんは、リズミカルに階段を降りていく。
「今日は付き合ってくれて本当にありがとう。機会があればお父…、パパ上様にご挨拶させてもらうね。」
「名前ちゃん、また会おう。」
「名前ちゃん、あさって「すまいる」で。」
「またねー。」
一人になった私は、時間をかけて階段をとぼとぼ登った。
玄関の前の柵にほおづえをついて通りを眺めると、浴衣姿の群集が河原方面へゆっくり動いていく。
今日、朝から定春くんと銀さんたちは仕事だ。
だから帰りが遅れても文句を言ってはいけない。それはわかってる。
でも、子供を肩車したお父さんや、手をつないだカップル、寺子屋の学生の集団が眼下に通り過ぎるのを見ているとやっぱり寂しい。
それと、銀さんは何も言わなかったけど場所取りしなくてよかったのかな?
ニュースでは、場所取り合戦が過熱して小競り合いも起きてると報道していた。今から行っても河原は満杯に決まってる。一体どこで見るというのだろう。
私はやきもきしながら、みんなの帰りを待っていた。
諦めて玄関の扉を開けたところだった。
「名前ちゃ~ん!」
大きな声が聞こえたので私は振り向いた。
定春くんと神楽ちゃんが階段を駆け上がってくる。
追ってきた銀さんと新八くんは、スーパーの袋を両手にさげていた。
「遅くなってすみません。ちょうどその角で長谷川さんに偶然会って立ち話してたんです。でもおかげで明日仕事に誘ってもらえました!」
「悪ィ、待たせたな。」
ブーツを脱ごうとする銀さんから袋を受け取ると、中にはビール缶が沢山入っていた。
「仕事は朝イチだから定春の散歩頼むわ。」
「私もシフト代わってもらったからお散歩終えたら出るね。」
なぜか新八くんも神楽ちゃんも履物を脱いで家に上がっていく。
定春くんまで万事屋に入ったので私は仕方なく玄関の扉を閉めた。
「もう場所取り終わってるけど。どこかへ出かけないの?」
みんなの行動に納得できない私は、銀さんの袖をつかんで軽く引っ張った。
「え?何で?ここにとっておきの特等席があんだろ?」
銀さんはきょとんとしている。
「ここからだと花火が欠けちゃうよ?」
「だから、ここからなら見えるだろ?」
銀さんは上を指さした。
「ここ?ヘリコプター?もしかして…ヘリコプターの上から見るの?」
「ウチにそんなカネあるかっての。っーか上だって。」
「エエエ?でも上って…上?あっ!もしかして屋根?屋根の上??」
「そういう事。」
屋根に登って花火を見るなんて考えてもいなかった。
「食べ物はこれで全部ですか?」
私と銀さんが話している間に、神楽ちゃんは浴衣へ着替えるために和室に行き、新八くんは大量のお弁当やおつまみを入れた袋をまとめて、定春くんの方に運んで行く。
「そうだ新八くん、これもお願い。九兵衛ちゃんのお土産。」
「スイカ、こんなに沢山もらえたんですか!やっぱ柳生家は経済力が違いますね~。」
「それじゃ定春くん、よろしくね。」
定春くんは重たい袋をいくつもくわえると、うなずくように頭を振って出て行った。
「あとは、これで全部か。」
銀さんはテーブルに仮置きした缶ビールの袋を持った。
「全部銀さんが飲むの?」
「ここにもう一人飲むヤツがいるだろ?そこの浴衣姿のキャバ嬢さん~、たまにはドンペリ以外のお飲み物もいかがですか?」
「『すまいる』じゃドンペリのドンペリ割以外飲んでないからビール久しぶりだ~。」
「…。」
銀さんは、近頃明らかにお妙ちゃんの悪影響が見られる、強欲っぷりまで真似すんなと私に軽くデコピンしてから外へ出た。
続いて私が出ると、定春くんは既に屋根の上で、新八くんが柵や雨どいをつたい器用に登っている。
完全に登りきったのを確認してから、銀さんはビールの袋を彼に渡した。