April 4月中旬 夜 万事屋
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「まずいことになりましたね…。」
「医者に見せてもしょうがねーし、どーするんだよオイ。」
夜になっても名前さんは目を覚まさない。
「こんな事になるなら目ェ離すんじゃなかったな…。」
銀さんは彼女の枕元で頭を抱えたままだ。
「だからお前は新一じゃなくて新八アル。」
いつものように神楽ちゃんは僕を責め立てるけど、柄にもなくしょんぼりしている。
僕たちは、お一人様三点限りなんて欲張るべきじゃなかったんだ…。
昼過ぎに特売の買い物から帰ってくると、床に名前さんが倒れていた。
テーブルの上には、見覚えのある重箱と姉上の置き手紙、そして食べ物とは思えない黒い物質が床に散らばっていたので、全員が瞬時に状況を理解した。
「名前ちゃん、私たちの事全部忘れてしまうアルか?工場長になってしまうアルか?」
「神楽ちゃん…オロオロしてもしょうがないよ。ダークマターは重箱に沢山残ってるから少し口にしただけ、と信じよう。」
僕は神楽ちゃんを励ましたけど、快方に向かっていた銀さんが姉上の卵焼きで再び記憶喪失になり、同じく記憶を失くした近藤さんと工場でジャスタウェイを作っていた事件を、脳裏から拭い去ることはできなかった。
昼過ぎに少しだけ食べ物を口にした名前さんは、調子がすぐれないと言って和室に引きこもっていた。
姉上の書置きがあるということは、僕たちが買い物に出かけている間も彼女は眠っていたのだろう。
そして、目覚めて最凶の玉手箱を開けてしまったというわけだ。
「名前ちゃん?」
「あれ…?私は…。」
深夜12時をまわった頃、彼女はようやく目を覚ました。
「俺たちが、わかるか?」
「銀さん…?新八くん、神楽ちゃん?」
彼女が記憶喪失という最悪の事態を免れたことに、全員が胸をなでおろした。
「そうだ!沖田さんが、まだ廊下にいるなら呼んできてもらえるかな?私、お礼言ってないから。」
「名前さん?」
「だって沖田さんに助けられて、救急車に乗って、お医者さんに診てもらって、少し眠ってたんでしょ?」
「ここは万事屋アル。名前ちゃん、しっかりするネ。」
彼女が急いで体を起こし、布団から立ち上がろうとするのを神楽ちゃんが止めた。
「ここ万事屋?あっ…本当だ。でも私まだお礼言ってない、だから沖田さん呼んで来…
「あれは十日以上前のことだ。」
銀さんが一連の流れを説明しても、名前さんは納得できないようだ。
「うそでしょ?私そんなに眠ってたの?!みんな何言ってるの??」
救出直後と今の記憶が混在した彼女は取り乱している。
「眠ってたのは半日アル。」
「だったら私病院にいるよね、どうして寝てるの?」
「いや、それはですね…姉上の…。」
「だから、私お礼を言いに行かないと。でもここは万事屋で…何で私は…。」
しばらくしてから彼女は落ち着きを取り戻した。
神楽ちゃんが質問攻めにしたので、名前さんは心配ないよと言って元の世界の事や自分がこの世界に来たのは二度目だということ、万事屋での日々をぽつりぽつりと話してくれた。
でも、人質になってから沖田さんに抱き上げられるまでの記憶は、すっかり抜け落ちていた。
「マジでか?マジで覚えてないアルか??」
「近藤さんと電話で話した頃から記憶が曖昧で…。それから、バズーカ持った沖田さんが来て、外にマスコミが殺到してて、救急車に乗ったとこは覚えてるんだけど…またそこで記憶が途切れてる。新八くん、本当に今日は四月○○日なの?それまで私何してたの?」
「オィィィィ!どんだけテメーの姉ちゃん能力者なんだよ。」
僕は救出作戦に銀さんも加わっていたと説明した。
「そうだったんだ…。銀さんも助けてくれたの…?ありがとう。」
彼女はお礼を言ったけど、どこか口調は棒読みだ。
「姉御のダークマターすごい効き目アルな。」
「ハハハ…そうだね…。」
僕は苦笑いするしかない。
「銀さん、ごめんなさい。私頑張って思い出すから。」
彼女はとても申し訳なさそうにしている。
「名前さん、もういいんですよ。無理して思い出す必要ありませんよ。」
「きっと、銀さん…すごいかっこよかったんだ…よね…。でも、どうしても思い出せない、思い出そうとすると何かこう…頭が…ええと、銀さんが…
彼女が懸命に記憶をたどろうとしていたので神楽ちゃんが首を振った。
「恐い事は忘れるネ。名前ちゃんが元気になれば私たち何もいらないアル。」
傍らで、銀さんは僕たちのやりとりを黙って聞いていた。
「医者に見せてもしょうがねーし、どーするんだよオイ。」
夜になっても名前さんは目を覚まさない。
「こんな事になるなら目ェ離すんじゃなかったな…。」
銀さんは彼女の枕元で頭を抱えたままだ。
「だからお前は新一じゃなくて新八アル。」
いつものように神楽ちゃんは僕を責め立てるけど、柄にもなくしょんぼりしている。
僕たちは、お一人様三点限りなんて欲張るべきじゃなかったんだ…。
昼過ぎに特売の買い物から帰ってくると、床に名前さんが倒れていた。
テーブルの上には、見覚えのある重箱と姉上の置き手紙、そして食べ物とは思えない黒い物質が床に散らばっていたので、全員が瞬時に状況を理解した。
「名前ちゃん、私たちの事全部忘れてしまうアルか?工場長になってしまうアルか?」
「神楽ちゃん…オロオロしてもしょうがないよ。ダークマターは重箱に沢山残ってるから少し口にしただけ、と信じよう。」
僕は神楽ちゃんを励ましたけど、快方に向かっていた銀さんが姉上の卵焼きで再び記憶喪失になり、同じく記憶を失くした近藤さんと工場でジャスタウェイを作っていた事件を、脳裏から拭い去ることはできなかった。
昼過ぎに少しだけ食べ物を口にした名前さんは、調子がすぐれないと言って和室に引きこもっていた。
姉上の書置きがあるということは、僕たちが買い物に出かけている間も彼女は眠っていたのだろう。
そして、目覚めて最凶の玉手箱を開けてしまったというわけだ。
「名前ちゃん?」
「あれ…?私は…。」
深夜12時をまわった頃、彼女はようやく目を覚ました。
「俺たちが、わかるか?」
「銀さん…?新八くん、神楽ちゃん?」
彼女が記憶喪失という最悪の事態を免れたことに、全員が胸をなでおろした。
「そうだ!沖田さんが、まだ廊下にいるなら呼んできてもらえるかな?私、お礼言ってないから。」
「名前さん?」
「だって沖田さんに助けられて、救急車に乗って、お医者さんに診てもらって、少し眠ってたんでしょ?」
「ここは万事屋アル。名前ちゃん、しっかりするネ。」
彼女が急いで体を起こし、布団から立ち上がろうとするのを神楽ちゃんが止めた。
「ここ万事屋?あっ…本当だ。でも私まだお礼言ってない、だから沖田さん呼んで来…
「あれは十日以上前のことだ。」
銀さんが一連の流れを説明しても、名前さんは納得できないようだ。
「うそでしょ?私そんなに眠ってたの?!みんな何言ってるの??」
救出直後と今の記憶が混在した彼女は取り乱している。
「眠ってたのは半日アル。」
「だったら私病院にいるよね、どうして寝てるの?」
「いや、それはですね…姉上の…。」
「だから、私お礼を言いに行かないと。でもここは万事屋で…何で私は…。」
しばらくしてから彼女は落ち着きを取り戻した。
神楽ちゃんが質問攻めにしたので、名前さんは心配ないよと言って元の世界の事や自分がこの世界に来たのは二度目だということ、万事屋での日々をぽつりぽつりと話してくれた。
でも、人質になってから沖田さんに抱き上げられるまでの記憶は、すっかり抜け落ちていた。
「マジでか?マジで覚えてないアルか??」
「近藤さんと電話で話した頃から記憶が曖昧で…。それから、バズーカ持った沖田さんが来て、外にマスコミが殺到してて、救急車に乗ったとこは覚えてるんだけど…またそこで記憶が途切れてる。新八くん、本当に今日は四月○○日なの?それまで私何してたの?」
「オィィィィ!どんだけテメーの姉ちゃん能力者なんだよ。」
僕は救出作戦に銀さんも加わっていたと説明した。
「そうだったんだ…。銀さんも助けてくれたの…?ありがとう。」
彼女はお礼を言ったけど、どこか口調は棒読みだ。
「姉御のダークマターすごい効き目アルな。」
「ハハハ…そうだね…。」
僕は苦笑いするしかない。
「銀さん、ごめんなさい。私頑張って思い出すから。」
彼女はとても申し訳なさそうにしている。
「名前さん、もういいんですよ。無理して思い出す必要ありませんよ。」
「きっと、銀さん…すごいかっこよかったんだ…よね…。でも、どうしても思い出せない、思い出そうとすると何かこう…頭が…ええと、銀さんが…
彼女が懸命に記憶をたどろうとしていたので神楽ちゃんが首を振った。
「恐い事は忘れるネ。名前ちゃんが元気になれば私たち何もいらないアル。」
傍らで、銀さんは僕たちのやりとりを黙って聞いていた。