March Part2 3月29日 日没 バイト先
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「再会の挨拶はそのくらいにしてくだせェ。まったく、女の子泣かしてるたァ旦那も罪な男ですねィ。」
ガタガタになったドアの向こうから、バズーカを肩に乗せた沖田さんが現れた。
「メス豚鳴かして喜んでるドS王子に言われたかねーよ。」
「ケガは無ェ…アレ?」
立ち上がった銀さんから視線を移した沖田さんは、私の手がやられていることに気づいたようだった。
「旦那、たまには俺たちにも花持たせてくだせェ。表で待ち構えてる、うるせーハエ共がいるんでね。」
顔にすすがついた沖田さんは、バズーカを持っていない方の腕で顔をぬぐっている。
当初銀さんは、しゃーねーなって表情をしてたけど、
「沖田くん、あんがとよ。」
そう言って沖田さんに向かって深々と礼をしてから、頭を上げて一言付け加えた。
「ウチの姫さんを頼む。」
銀さんは、沖田さんが了解とうなずくのを待ってからベスト姿になり、脱いだ上着をひょいと肩に乗せると私に笑顔を向けた。
「表で待ってる。」
そして、私の頭に手をぽんと乗せると、ガレキの向こうに行ってしまった。
沖田さんは、私の腰が抜けて立てないのに気づくと、バズーカを地面に置いて目線が同じになるようしゃがんでくれる。
「よく頑張りやした、あともう少しの辛抱でさァ。」
「あの…。」
「旦那がどうして隊服着てるのか知りたいってツラに描いてありますぜ。」
勘のいい沖田さんには全部お見通しみたいだ。
「どこまでもアンタを護り抜く約束をしている、だからテメーに助けさせてくれって、旦那が俺たちに頼み込んだんでさァ。」
「そうだったんだ…。」
「俺たち真選組は、アンタや旦那を含めて江戸の市民を守るのが務めだ。だから、一般人が救出に加わったとあっちゃメンツが立たねェ。近藤さんも一旦は断ったんだが、旦那が土下座して食い下がったから、苦肉の策で隊士に扮してもらったワケなんでィ。あっ今の話は俺の独り言っーことで、くれぐれも旦那には内密に。」
沖田さんは指を口の前にあて黙ってるようポーズをしたので、私はうなずいた。
あの夜の「護る。」って約束を守るために、真選組に頭を下げてまで来てくれたんだ。
銀さん、本当にありがとう。
それと、私は…
「アンタ、とんでもねェ果報者でさァ。いいお人に拾ってもらいやしたねィ。」
沖田さんは優しくほほえむと上着を脱いだ。
「野次馬やマスコミ共が騒がしいんで。これかぶってくだせェ。」
そして、私の頭がすっぽり隠れるようにかぶせると、抱き上げた。
彼がゆっくり歩みを進める度、何かの破片を踏んでいるような音がしたけど、そんな静かな時間はわずかだった。遠くからカメラのフラッシュのけたたましい音が聞こえてくる。
殺到する取材陣と真選組が怒号でもみ合う声に取り巻かれて、私は自分が助けられたんだとようやく実感した。
2016年3月5日UP
ガタガタになったドアの向こうから、バズーカを肩に乗せた沖田さんが現れた。
「メス豚鳴かして喜んでるドS王子に言われたかねーよ。」
「ケガは無ェ…アレ?」
立ち上がった銀さんから視線を移した沖田さんは、私の手がやられていることに気づいたようだった。
「旦那、たまには俺たちにも花持たせてくだせェ。表で待ち構えてる、うるせーハエ共がいるんでね。」
顔にすすがついた沖田さんは、バズーカを持っていない方の腕で顔をぬぐっている。
当初銀さんは、しゃーねーなって表情をしてたけど、
「沖田くん、あんがとよ。」
そう言って沖田さんに向かって深々と礼をしてから、頭を上げて一言付け加えた。
「ウチの姫さんを頼む。」
銀さんは、沖田さんが了解とうなずくのを待ってからベスト姿になり、脱いだ上着をひょいと肩に乗せると私に笑顔を向けた。
「表で待ってる。」
そして、私の頭に手をぽんと乗せると、ガレキの向こうに行ってしまった。
沖田さんは、私の腰が抜けて立てないのに気づくと、バズーカを地面に置いて目線が同じになるようしゃがんでくれる。
「よく頑張りやした、あともう少しの辛抱でさァ。」
「あの…。」
「旦那がどうして隊服着てるのか知りたいってツラに描いてありますぜ。」
勘のいい沖田さんには全部お見通しみたいだ。
「どこまでもアンタを護り抜く約束をしている、だからテメーに助けさせてくれって、旦那が俺たちに頼み込んだんでさァ。」
「そうだったんだ…。」
「俺たち真選組は、アンタや旦那を含めて江戸の市民を守るのが務めだ。だから、一般人が救出に加わったとあっちゃメンツが立たねェ。近藤さんも一旦は断ったんだが、旦那が土下座して食い下がったから、苦肉の策で隊士に扮してもらったワケなんでィ。あっ今の話は俺の独り言っーことで、くれぐれも旦那には内密に。」
沖田さんは指を口の前にあて黙ってるようポーズをしたので、私はうなずいた。
あの夜の「護る。」って約束を守るために、真選組に頭を下げてまで来てくれたんだ。
銀さん、本当にありがとう。
それと、私は…
「アンタ、とんでもねェ果報者でさァ。いいお人に拾ってもらいやしたねィ。」
沖田さんは優しくほほえむと上着を脱いだ。
「野次馬やマスコミ共が騒がしいんで。これかぶってくだせェ。」
そして、私の頭がすっぽり隠れるようにかぶせると、抱き上げた。
彼がゆっくり歩みを進める度、何かの破片を踏んでいるような音がしたけど、そんな静かな時間はわずかだった。遠くからカメラのフラッシュのけたたましい音が聞こえてくる。
殺到する取材陣と真選組が怒号でもみ合う声に取り巻かれて、私は自分が助けられたんだとようやく実感した。
2016年3月5日UP