プロローグ 11月8日 夜 スナック「すまいる」
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「オィィィ!!俺はそんな事を聞くためにぼったくり店に来たんじゃねェ!!」
銀さんは激高した。
「あら、わからないことをわからないって言って悪い?適当な診断して困るのは名字さんじゃないの。」
阿音さんは私のかすかな望みをボキボキとへし折っていく。
「じゃあ定春が神社で鈴を鳴らしたのはなんなんだ?ソイツはわかんねーって言わせねーぞ!」
そうだ、神社のあたりで真っ先に反応したのは定春くんだ。阿音さんは元飼い主だからきっと答えを知ってるだろう。
「確かに、定春は何かを感じたんでしょう。でも、一つの職業で超常現象を全て解明できたら、坊主や巫女や神父に職業分かれるわけないじゃない。残念だけど私も万能じゃないの。」
エエエ、それはないよ…。
「開き直ってるんじゃねーコノヤロー!名前さん、出るぞ。コイツじゃ全く話になんねェ。」
立ち上がった銀さんは私の手をつかんで帰ろうとする。
「結野家にでも相談に行くつもり?言っとくけど陰陽師が交信する世界は魑魅魍魎(ちみもうりょう)の棲み処(すみか)よ。名字さんが式神に見えるなんて銀さんの目は節穴かしら。」
「…。」
「…。」
「ごめんなさい、私もイジワルしてるつもりはないのよ。一緒に解決策を考えましょう。」
頭をかいてため息をつくと銀さんはソファーに座りなおした。
「お待たせいたしました。」
黒服さんがメロンと体温計を、うやうやしくテーブルに置いてから冷えピタを差し出したので、私は銀さんのおでこに無理やり貼った。
銀さんはメロンを一旦突き返したけど、ヤケになったのか私に「食え」って言うと、もさもさ食べ始める。
お姉さんのいる夜の店で頼むフルーツは、やたら高くつくって聞いたことがある。
っていうか、私たちはメロンを注文していない。アルコールを飲んでないので記憶は確かだ。
「他に手がかりっーか、ヒントはねーのかよ?」
メロンを平らげて一息ついた銀さんが、ややキレ気味に尋ねる。
「あとは、こっちの子孫を探すぐらいかしら。」
「子孫?っーか誰の子孫?」
「名字さんのご先祖様が残していった子孫のことよ。連れ帰った子どもの子孫が名字さん。」
「つまり、この世界に住む私の遠い親戚ってことですか。」
「そうよ。」
その人たちとは、数百年前のご先祖様を通して一応血がつながってる。
でも、殆ど他人に近い親戚が手がかりになるんだろうか。
「あなたのおじいさんのおじいさん以下略が、再び消えてしまったって御母上が話してたんでしょ?となると、彼は再びここに戻って余生を過ごした可能性があるわ。ひょっとしたら、絵巻に描かれていない後日談が伝わっているかもしれない。」
なるほど、ここで余生を過ごしたってことか。
えっマジで?
「となると、ご先祖様は帰れなくなっちゃったってことですか?」
「そういう可能性もあるわね。」
今の私の状態は、ご先祖様と同じだ。
私も、このまま一生を終えてしまったら、二度とみんなに会えなくなるんだ。
うわぁぁぁ、そんなの嫌だよ…。
「何だか、ご先祖様を恨みたくなっちゃうな。私の居場所はここじゃないっていうか…
銀さんの表情が急に硬くなった。
まずい。
…あっ、別にこの場所や銀さんたちが嫌いってわけじゃないよ。誤解しないで。」
慌てて私は付け足した。
「子孫の件、数百年たってる上に、当主の家系じゃないからたどるの厳しいけど、おっさんにはツケの回収がてら聞いてみる。何かわかったらお妙ちゃんに話しておくね。」
「頼むわ。」
「よろしくお願いします。」
相談事は全て終わったので、会計をしめてから平熱だった銀さんと帰る事にした。
黒服さんが扉を開けようとしたけど、二人は顔を突き合わせて、勘定で押し問答をしている。
「割引ねーの?飼い主割とかよォ。」
「あら、これでも勉強させてもらったつもりなんだけど。もう一度よく見てみなさいよ。」
阿音さんは、定春くんを助けてくれた借りの分相談料を割り引いたらしい。
でも銀さんは文句をつけている。ってことは、配慮があると思えない金額のようだ。
銀さんは激高した。
「あら、わからないことをわからないって言って悪い?適当な診断して困るのは名字さんじゃないの。」
阿音さんは私のかすかな望みをボキボキとへし折っていく。
「じゃあ定春が神社で鈴を鳴らしたのはなんなんだ?ソイツはわかんねーって言わせねーぞ!」
そうだ、神社のあたりで真っ先に反応したのは定春くんだ。阿音さんは元飼い主だからきっと答えを知ってるだろう。
「確かに、定春は何かを感じたんでしょう。でも、一つの職業で超常現象を全て解明できたら、坊主や巫女や神父に職業分かれるわけないじゃない。残念だけど私も万能じゃないの。」
エエエ、それはないよ…。
「開き直ってるんじゃねーコノヤロー!名前さん、出るぞ。コイツじゃ全く話になんねェ。」
立ち上がった銀さんは私の手をつかんで帰ろうとする。
「結野家にでも相談に行くつもり?言っとくけど陰陽師が交信する世界は魑魅魍魎(ちみもうりょう)の棲み処(すみか)よ。名字さんが式神に見えるなんて銀さんの目は節穴かしら。」
「…。」
「…。」
「ごめんなさい、私もイジワルしてるつもりはないのよ。一緒に解決策を考えましょう。」
頭をかいてため息をつくと銀さんはソファーに座りなおした。
「お待たせいたしました。」
黒服さんがメロンと体温計を、うやうやしくテーブルに置いてから冷えピタを差し出したので、私は銀さんのおでこに無理やり貼った。
銀さんはメロンを一旦突き返したけど、ヤケになったのか私に「食え」って言うと、もさもさ食べ始める。
お姉さんのいる夜の店で頼むフルーツは、やたら高くつくって聞いたことがある。
っていうか、私たちはメロンを注文していない。アルコールを飲んでないので記憶は確かだ。
「他に手がかりっーか、ヒントはねーのかよ?」
メロンを平らげて一息ついた銀さんが、ややキレ気味に尋ねる。
「あとは、こっちの子孫を探すぐらいかしら。」
「子孫?っーか誰の子孫?」
「名字さんのご先祖様が残していった子孫のことよ。連れ帰った子どもの子孫が名字さん。」
「つまり、この世界に住む私の遠い親戚ってことですか。」
「そうよ。」
その人たちとは、数百年前のご先祖様を通して一応血がつながってる。
でも、殆ど他人に近い親戚が手がかりになるんだろうか。
「あなたのおじいさんのおじいさん以下略が、再び消えてしまったって御母上が話してたんでしょ?となると、彼は再びここに戻って余生を過ごした可能性があるわ。ひょっとしたら、絵巻に描かれていない後日談が伝わっているかもしれない。」
なるほど、ここで余生を過ごしたってことか。
えっマジで?
「となると、ご先祖様は帰れなくなっちゃったってことですか?」
「そういう可能性もあるわね。」
今の私の状態は、ご先祖様と同じだ。
私も、このまま一生を終えてしまったら、二度とみんなに会えなくなるんだ。
うわぁぁぁ、そんなの嫌だよ…。
「何だか、ご先祖様を恨みたくなっちゃうな。私の居場所はここじゃないっていうか…
銀さんの表情が急に硬くなった。
まずい。
…あっ、別にこの場所や銀さんたちが嫌いってわけじゃないよ。誤解しないで。」
慌てて私は付け足した。
「子孫の件、数百年たってる上に、当主の家系じゃないからたどるの厳しいけど、おっさんにはツケの回収がてら聞いてみる。何かわかったらお妙ちゃんに話しておくね。」
「頼むわ。」
「よろしくお願いします。」
相談事は全て終わったので、会計をしめてから平熱だった銀さんと帰る事にした。
黒服さんが扉を開けようとしたけど、二人は顔を突き合わせて、勘定で押し問答をしている。
「割引ねーの?飼い主割とかよォ。」
「あら、これでも勉強させてもらったつもりなんだけど。もう一度よく見てみなさいよ。」
阿音さんは、定春くんを助けてくれた借りの分相談料を割り引いたらしい。
でも銀さんは文句をつけている。ってことは、配慮があると思えない金額のようだ。