February Part2 2月15日 朝 和室
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
数日後、長谷川さんが「粗大ゴミ」を引き取ってほしいと「すまいる」にやってきた。
万事屋を飛び出した銀さんは公園で寝泊まりしているらしい。
私は着替える時間がもどかしかったので、仕事を終えるとチャイナドレスのままコートをつかんで長谷川さんと公園へ向かった。
「やっちまった…俺、やっちまった…って酔っぱらった銀さんが自販機に頭突っ込んでてよー。あの間抜けな姿、名前ちゃんに見せてやりたかったよ。」
「それさっきも言いましたけど全然違いますからね、微妙な雰囲気だったけど本当に何もないです!」
「まあまあ、それは俺もわかってるって。」
「っていうかこんなの銀さんらしくないよ…。いつも私をからかっておもちゃにしてる人が、どうして家出しちゃったんだろう。私そんなに怒ったつもりないのに。」
「銀さんは軽そうに見えて案外古風だから、名前ちゃんを傷つけた自分が許せないんじゃねーの。何でも開き直りで済ませる銀さんが後悔してるの俺初めて見たわ。」
早足で公園の門を通過すると隅の方に段ボールハウス群が見えてきた。
「銀さん、他に何か言ってました?」
「男同士の約束だからソイツは勘弁してよ。まぁ、十分頭は冷やしたと思うぜ。でもよ、名前ちゃんも男と一緒に住む以上身の安全について考えといた方がいいな。コレおじさんからの忠告。」
そう言うと長谷川さんは、とある段ボールハウスの前で立ち止まった。
「それについては対策を講じたので大丈夫です。」
「だってよ、銀さん。逃げるのはシメーにして腹くくる時なんじゃねーの。」
ハウスからゴソゴソ音がすると、銀さんが顔を出してくる。
でも、外に出てこないので私は入口にひざまずいて呼びかけた。
「銀さん、一緒に帰ろうよ。万事屋に帰ろう。」
「いいのかよ…。俺と一つ屋根の下にいて。」
「だって家主銀さんなのに私が追い出してるって変だよ。もう飲み過ぎて薄着で寝込んだり軽率な事はしないから、約束する。」
「あの…、今も十分にエロイんですけど。あなたわかってる?そこ。」
銀さんの視線はスリットが大きく開いた太ももに向いている。
「あっ、ごめん。」
私はコートでスリットを隠した。
「ところで銀さん、これからどうするんだ?ヘタレも大概にしないと本当に嫌われちまうぞ。っーかハウスから出てってくれる?今晩から家賃取るよ。」
「…。」
「帰りたくないなら私帰るね、おやすみ。」
手に持ったままのコートを羽織ろうと立ち上がると、入れ替わりに長谷川さんがハウスの前にしゃがみこんだ。
「銀さん、送って行くんだろ?」
「長谷川さん、300円あげるから名前ちゃんを送ってくれる?」
「俺は別に構わねーけど。ところで銀さん持ってるの?300円。」
300円すら持ちあわせてない銀さんは、とうとう観念したらしくハウスから這い出てきた。
「送ってくだけだって言ったろ、やっぱ俺帰るわ。」
カギを開けたのに、銀さんは玄関の前でウロウロしてなかなか入ろうとしない。
「寒いから早く入ろう。」
戸を開けた私は強引に手を引っ張ったので、つられるように銀さんも万事屋に入った。
「手、冷てーな。」
振り返ったら銀さんは、ほどこうとした私の手を両手で包み込んでいた。
でも、私がビクッとしたので悪ィと言って離すと戸を閉めて、ブーツを脱ぎ始めた。
「ところで何?俺と二人きりでも大丈夫な『保険』って。」
「あっちで話すね。」
銀さんは帰り道しつこく尋ねてきたけど、答えたら公園に行ってしまいそうなので、万事屋に上がるまで私は黙っていたのだ。
リビングに入った銀さんは、ソファーに座った私の隣に腰掛けようとしたけど、少し考えてから向かい合わせに座った。
「みんなで話し合って、寝てる間はたまさんに見張ってもらうことにしたんだ。」
「そっか。たまに頼むたァ考えたな。」
それを聞いた銀さんは、どこかほっとした様子に見える。
「あのよォ。」
「何?」
「あん時は、名前ちゃんの気持ち聞かずに暴走しちまって悪かった。ゴメン。」
「私も、くつろぎ過ぎたっていうか…。今後は気をつける。」
「もう二度と襲ったりしねェ。た…多分な。」
多分という言葉を付け加えたのがおかしくて笑い始めた私を、銀さんは不思議そうに見つめている。
「銀さん、多分はダメだよ。さっき、見張ってるって言ったでしょ?私の身に何か起きたら、たまさんが天井を突き破って銀さんを仕留めに来るよ。」
「いや、ソレ全然面白くねーんだけどむしろ怖気(おぞけ)が走るんだけど。っーかどこまでセーフなの?手握るまではアリなんだよな??アウトだったら俺玄関でヤラれてるし…?!っーことは、ココまではセーフなはずだ。」
そう言って銀さんは立ち上がると、いきなり隣に座ってきた。
相変わらず鋭いというか、物怖じしないというか、さっきの反省はどこに行ったんだろう…。
でも、隣でくつろぐ今の銀さんは、よそよそしくて他人行儀な銀さんより、よっぽどいい。
「ニロ、飲むか?」
「…うん。」
ようやく私たちは元の関係に戻った。
2016年1月23日UP
万事屋を飛び出した銀さんは公園で寝泊まりしているらしい。
私は着替える時間がもどかしかったので、仕事を終えるとチャイナドレスのままコートをつかんで長谷川さんと公園へ向かった。
「やっちまった…俺、やっちまった…って酔っぱらった銀さんが自販機に頭突っ込んでてよー。あの間抜けな姿、名前ちゃんに見せてやりたかったよ。」
「それさっきも言いましたけど全然違いますからね、微妙な雰囲気だったけど本当に何もないです!」
「まあまあ、それは俺もわかってるって。」
「っていうかこんなの銀さんらしくないよ…。いつも私をからかっておもちゃにしてる人が、どうして家出しちゃったんだろう。私そんなに怒ったつもりないのに。」
「銀さんは軽そうに見えて案外古風だから、名前ちゃんを傷つけた自分が許せないんじゃねーの。何でも開き直りで済ませる銀さんが後悔してるの俺初めて見たわ。」
早足で公園の門を通過すると隅の方に段ボールハウス群が見えてきた。
「銀さん、他に何か言ってました?」
「男同士の約束だからソイツは勘弁してよ。まぁ、十分頭は冷やしたと思うぜ。でもよ、名前ちゃんも男と一緒に住む以上身の安全について考えといた方がいいな。コレおじさんからの忠告。」
そう言うと長谷川さんは、とある段ボールハウスの前で立ち止まった。
「それについては対策を講じたので大丈夫です。」
「だってよ、銀さん。逃げるのはシメーにして腹くくる時なんじゃねーの。」
ハウスからゴソゴソ音がすると、銀さんが顔を出してくる。
でも、外に出てこないので私は入口にひざまずいて呼びかけた。
「銀さん、一緒に帰ろうよ。万事屋に帰ろう。」
「いいのかよ…。俺と一つ屋根の下にいて。」
「だって家主銀さんなのに私が追い出してるって変だよ。もう飲み過ぎて薄着で寝込んだり軽率な事はしないから、約束する。」
「あの…、今も十分にエロイんですけど。あなたわかってる?そこ。」
銀さんの視線はスリットが大きく開いた太ももに向いている。
「あっ、ごめん。」
私はコートでスリットを隠した。
「ところで銀さん、これからどうするんだ?ヘタレも大概にしないと本当に嫌われちまうぞ。っーかハウスから出てってくれる?今晩から家賃取るよ。」
「…。」
「帰りたくないなら私帰るね、おやすみ。」
手に持ったままのコートを羽織ろうと立ち上がると、入れ替わりに長谷川さんがハウスの前にしゃがみこんだ。
「銀さん、送って行くんだろ?」
「長谷川さん、300円あげるから名前ちゃんを送ってくれる?」
「俺は別に構わねーけど。ところで銀さん持ってるの?300円。」
300円すら持ちあわせてない銀さんは、とうとう観念したらしくハウスから這い出てきた。
「送ってくだけだって言ったろ、やっぱ俺帰るわ。」
カギを開けたのに、銀さんは玄関の前でウロウロしてなかなか入ろうとしない。
「寒いから早く入ろう。」
戸を開けた私は強引に手を引っ張ったので、つられるように銀さんも万事屋に入った。
「手、冷てーな。」
振り返ったら銀さんは、ほどこうとした私の手を両手で包み込んでいた。
でも、私がビクッとしたので悪ィと言って離すと戸を閉めて、ブーツを脱ぎ始めた。
「ところで何?俺と二人きりでも大丈夫な『保険』って。」
「あっちで話すね。」
銀さんは帰り道しつこく尋ねてきたけど、答えたら公園に行ってしまいそうなので、万事屋に上がるまで私は黙っていたのだ。
リビングに入った銀さんは、ソファーに座った私の隣に腰掛けようとしたけど、少し考えてから向かい合わせに座った。
「みんなで話し合って、寝てる間はたまさんに見張ってもらうことにしたんだ。」
「そっか。たまに頼むたァ考えたな。」
それを聞いた銀さんは、どこかほっとした様子に見える。
「あのよォ。」
「何?」
「あん時は、名前ちゃんの気持ち聞かずに暴走しちまって悪かった。ゴメン。」
「私も、くつろぎ過ぎたっていうか…。今後は気をつける。」
「もう二度と襲ったりしねェ。た…多分な。」
多分という言葉を付け加えたのがおかしくて笑い始めた私を、銀さんは不思議そうに見つめている。
「銀さん、多分はダメだよ。さっき、見張ってるって言ったでしょ?私の身に何か起きたら、たまさんが天井を突き破って銀さんを仕留めに来るよ。」
「いや、ソレ全然面白くねーんだけどむしろ怖気(おぞけ)が走るんだけど。っーかどこまでセーフなの?手握るまではアリなんだよな??アウトだったら俺玄関でヤラれてるし…?!っーことは、ココまではセーフなはずだ。」
そう言って銀さんは立ち上がると、いきなり隣に座ってきた。
相変わらず鋭いというか、物怖じしないというか、さっきの反省はどこに行ったんだろう…。
でも、隣でくつろぐ今の銀さんは、よそよそしくて他人行儀な銀さんより、よっぽどいい。
「ニロ、飲むか?」
「…うん。」
ようやく私たちは元の関係に戻った。
2016年1月23日UP