Day30+about50 12月25日 夜 ターミナル駅
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「取得資格は、普通自動車免許と…なるほど。特にこの資格は企業にも評価されるでしょう。よく頑張りましたね。」
「はい、ありがとうございます。」
「ところで、これは何ですか?」
「どれですか?」
「この欄ですよ、異文化体験です。具体的に説明しないと、採用担当者にわかってもらえませんよ。本学の提携校に交換留学ではないようですが。」
「場所は国内なんです。」
「それは、地方の町おこしなどの活動ですか?でも、異文化というには…?」
「少しややこしいんですけど、江戸の…
「日光江戸村でバイトしてたんですか?」
「いえ、全く違う世界というか…
「私がわからないようでは、先方はもっと意味不明ですよ。…一度…エント……シート…直し…
― ハッ
― ター…ル、…ーミナル。○○線、□□線、△△線、地下鉄××線はお乗り換えです。
気づいてよかった。私、いつのまにか夢を見てたんだ。
― なお現在、人身事故の影響でアキバNEO方面の電車に大幅な乱れが…
ターミナル?アキバNEO?
そうだった、ここは江戸だったんだ。
まだ江戸にいるんだ、私。
電車の中でうたた寝できるくらい、ここでの生活が身につき始めてるんだ。
窓の外は今にも雪が降り出しそうな曇り空。
今日は12月25日。新年まで一週間を切っている。
向こうは今頃どうなってるんだろう…。
江戸最大の駅であるターミナルで、私はかぶき町に向かう別の路線に乗り換える。
ターミナルと言えば…以前、治安の悪い裏通りに迷い込んで拉致られる寸前に、長谷川さんに助けられたのは、もう遠い思い出だ。
今は、ゆるキャラ=天人を奇異の目でジロジロ見ることはないし、和服で歩くスピードにも慣れてきたので、人混みをぶつからずに歩けるようになった。
連絡通路の片隅では、サンタクロースの赤い服を着たお兄さんと、口が黄色いコーヒー豆みたいな、プラカードを持った白いゆるキャラが、机と折りたたみイスを出して電車のICカード機能付きクレジットカードの勧誘をしている。
でも師走の忙しい時期に、のんびりと手続きをする人はいない。
サンタのコンビはバイトの行き帰りに何回か見かけているけど、勧誘は全然成功していないようだ。
今日も無視されている二人が少しかわいそうになってくる。
私がチャージの順番待ちをしている間も、彼らは積極的に声をかけていた。
コンビの片方、サンタの格好をしたお兄さんは細身ですらっとしているので、ふくよかなおじいさんのイメージからは程遠い、っていうかサンタに全然似てない。
しかも、サンタの雰囲気を台無しにしている要素がもう一つある。このサンタは黒い長髪のストレートなのだ。
白くてもじゃもじゃの「かつら」とヒゲをつければ親子連れが立ち止まってくれるのに…。
長髪ストレート+かつら?
桂?
桂小太郎?!
もしかして…。
「おお!そこの君、君!今ならもれなく『宇宙怪獣ステファン』のぬいぐるみを進呈しよう。」
彼は、思わず駆け寄った私を、カードの申し込みに来たと思い込んでいる。
「こんばんは。」
声をかけると、ゆるキャラさんはボードに[こんばんは]と書いてあいさつしてくれた。
「間違いだったらすみません。キャプテンカツーラ様ですよね。」
「キャプテンカツーラ様じゃないヅラだ、あっ間違えた、サンタカツーラだ。」
やっぱり桂さんだった。
「名字です、名字名前です!覚えてますか?以前、万事屋に居候してて、お見舞いに北斗心軒のお蕎麦もらっ…
「おおっ!名前殿であったか!」
「バッグ届けてくれてありがとうございました!やっと直接お礼が言えた。」
[どういたしまして]
宇宙怪獣ステファンさんも、ボードで意思表示をしてくれる。か、かわいい。
「礼には及ばぬよ。ところで、銀時からは元の世界に帰ったと聞いていたが、どうしてここに?」
「…。」
「立ち入った話をして申し訳ない。」
「いいんです。それが、どういう訳かこっちに呼び戻されちゃったみたいで。また万事屋に住みついてます。」
「事情はわからぬが、ともかく、名前殿が達者でなによりだ。」
暇そうな桂さんは座るようにイスをすすめてきたけど、寄り道しないと銀さんと約束しているので私は丁寧に断った。
「あの…、桂さんって超有名人じゃないですか。大丈夫なんですか江戸のど真ん中で正々堂々と商売して。」
「攘夷の志を果たすにも、先立つものが必要になってくる。理想だけでメシは食えぬ。大勢の部下を抱えて、『武士は食わねど高楊枝』を気取るわけにもいくまいよ。」
うーん、私が言いたいのはそんなことじゃないんだけど。
「こんな仕事より人と顔を合わせずに済む、朝刊配達とかトラックの運転手とかあるじゃないですか。さっき、ホームから真選組の車が見えたから心配なんですけど。」
真選組のキーワードが出たところで、ステファンさんは、のぼりをしまい始めた。
「俺は、そうやすやすと捕まる男ではない。これでも『逃げの小太郎』と呼ばれておってな。」
「逃げの小太郎?」
「はい、ありがとうございます。」
「ところで、これは何ですか?」
「どれですか?」
「この欄ですよ、異文化体験です。具体的に説明しないと、採用担当者にわかってもらえませんよ。本学の提携校に交換留学ではないようですが。」
「場所は国内なんです。」
「それは、地方の町おこしなどの活動ですか?でも、異文化というには…?」
「少しややこしいんですけど、江戸の…
「日光江戸村でバイトしてたんですか?」
「いえ、全く違う世界というか…
「私がわからないようでは、先方はもっと意味不明ですよ。…一度…エント……シート…直し…
― ハッ
― ター…ル、…ーミナル。○○線、□□線、△△線、地下鉄××線はお乗り換えです。
気づいてよかった。私、いつのまにか夢を見てたんだ。
― なお現在、人身事故の影響でアキバNEO方面の電車に大幅な乱れが…
ターミナル?アキバNEO?
そうだった、ここは江戸だったんだ。
まだ江戸にいるんだ、私。
電車の中でうたた寝できるくらい、ここでの生活が身につき始めてるんだ。
窓の外は今にも雪が降り出しそうな曇り空。
今日は12月25日。新年まで一週間を切っている。
向こうは今頃どうなってるんだろう…。
江戸最大の駅であるターミナルで、私はかぶき町に向かう別の路線に乗り換える。
ターミナルと言えば…以前、治安の悪い裏通りに迷い込んで拉致られる寸前に、長谷川さんに助けられたのは、もう遠い思い出だ。
今は、ゆるキャラ=天人を奇異の目でジロジロ見ることはないし、和服で歩くスピードにも慣れてきたので、人混みをぶつからずに歩けるようになった。
連絡通路の片隅では、サンタクロースの赤い服を着たお兄さんと、口が黄色いコーヒー豆みたいな、プラカードを持った白いゆるキャラが、机と折りたたみイスを出して電車のICカード機能付きクレジットカードの勧誘をしている。
でも師走の忙しい時期に、のんびりと手続きをする人はいない。
サンタのコンビはバイトの行き帰りに何回か見かけているけど、勧誘は全然成功していないようだ。
今日も無視されている二人が少しかわいそうになってくる。
私がチャージの順番待ちをしている間も、彼らは積極的に声をかけていた。
コンビの片方、サンタの格好をしたお兄さんは細身ですらっとしているので、ふくよかなおじいさんのイメージからは程遠い、っていうかサンタに全然似てない。
しかも、サンタの雰囲気を台無しにしている要素がもう一つある。このサンタは黒い長髪のストレートなのだ。
白くてもじゃもじゃの「かつら」とヒゲをつければ親子連れが立ち止まってくれるのに…。
長髪ストレート+かつら?
桂?
桂小太郎?!
もしかして…。
「おお!そこの君、君!今ならもれなく『宇宙怪獣ステファン』のぬいぐるみを進呈しよう。」
彼は、思わず駆け寄った私を、カードの申し込みに来たと思い込んでいる。
「こんばんは。」
声をかけると、ゆるキャラさんはボードに[こんばんは]と書いてあいさつしてくれた。
「間違いだったらすみません。キャプテンカツーラ様ですよね。」
「キャプテンカツーラ様じゃないヅラだ、あっ間違えた、サンタカツーラだ。」
やっぱり桂さんだった。
「名字です、名字名前です!覚えてますか?以前、万事屋に居候してて、お見舞いに北斗心軒のお蕎麦もらっ…
「おおっ!名前殿であったか!」
「バッグ届けてくれてありがとうございました!やっと直接お礼が言えた。」
[どういたしまして]
宇宙怪獣ステファンさんも、ボードで意思表示をしてくれる。か、かわいい。
「礼には及ばぬよ。ところで、銀時からは元の世界に帰ったと聞いていたが、どうしてここに?」
「…。」
「立ち入った話をして申し訳ない。」
「いいんです。それが、どういう訳かこっちに呼び戻されちゃったみたいで。また万事屋に住みついてます。」
「事情はわからぬが、ともかく、名前殿が達者でなによりだ。」
暇そうな桂さんは座るようにイスをすすめてきたけど、寄り道しないと銀さんと約束しているので私は丁寧に断った。
「あの…、桂さんって超有名人じゃないですか。大丈夫なんですか江戸のど真ん中で正々堂々と商売して。」
「攘夷の志を果たすにも、先立つものが必要になってくる。理想だけでメシは食えぬ。大勢の部下を抱えて、『武士は食わねど高楊枝』を気取るわけにもいくまいよ。」
うーん、私が言いたいのはそんなことじゃないんだけど。
「こんな仕事より人と顔を合わせずに済む、朝刊配達とかトラックの運転手とかあるじゃないですか。さっき、ホームから真選組の車が見えたから心配なんですけど。」
真選組のキーワードが出たところで、ステファンさんは、のぼりをしまい始めた。
「俺は、そうやすやすと捕まる男ではない。これでも『逃げの小太郎』と呼ばれておってな。」
「逃げの小太郎?」