Day30+10 11月下旬 昼 万事屋
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あれから銀さんは次号のジャンプを買ったのに、まだお金を返してくれない。
っていうか貸す羽目になったのも、おさい銭に全財産納めてしまったからだ。
しかも、天パがストレートになりますようにって、子供じみたお願いごとで。
「ただいま~。」
万事屋に戻ると銀さんはトイレから出てきたところだった。
「おかえり。」
「新八くんと神楽ちゃんは?」
「定春のエサ買いに行った。ババア、呼びつけやがって何だった?」
「違うの。お登勢さんが起きたら伝えてって、たまさんに頼んでたんだ。お礼言ってきたの。」
「そっか。」
「面接緊張したよ。でも採用決まってよかった~。」
アイスを食べようと台所に行く私に、銀さんはついてくる。
「就職おめでとさん、っーことで、しばらくは俺が送ってく。」
「え~、いいよ。今日神楽ちゃんに教えてもらって、行き方わかったから大丈夫。」
「ソイツは聞けねー約束だ。」
そう言うと、銀さんは冷蔵庫に寄りかかってしまった。
「いやさ~、どっかの誰かさんが、ターミナルの近くで迷子になったって、風の噂で聞いてよォ~。」
銀さんの目は光っている。
「迷子だなんて心配し過ぎだよ。」
「何でもその娘さん、組の事務所に連れ込まれる寸前でサングラスのおっさんに助けられたらしいぜ。江戸って怖いな~。」
「そっか、江戸って怖いところなんだね~。」
ごまかそうと笑ったけど、銀さんは顔色一つ変えない。
「聞くところによると、その誰かさんは将軍様御用達のお店で働けるくらいのぺっぴんさんだってよ。アレ?そういや、名前ちゃんも『すまいる』に誘われてたよな~。」
長谷川さんが全部しゃべっちゃったんだ!
「っーことで、そこの誰かさん~。」
黙ってたって叱られる!
「怖い思いさせちまって悪かった。」
予想とは反対に銀さんは謝ってきた。
「隠し事するんじゃねェって叱られるんだと思ってた。」
「んなワケねーよ。責めを負うのは俺たちの方だ。新八と神楽をキツく叱っといた。」
「気持ちはうれしいけど、あんまり怒っちゃかわいそうだって。」
「侍は、一旦(いったん)護ると決めた者を見失うワケにはいかねェ。」
大真面目な銀さんに神楽ちゃんは侍じゃないよ、って突っ込むことはできなかった。
うまく言えないけど、本気で私を大事にしてくれてるのが伝わってくる。
「銀さん、いつも私の事心配してくれてありがとう。あの…送り迎えってずっと?」
「ウチの姫さんは道覚えるの早ェから、お付きの家来は二~三回で卒業させてもらうわ。でもいいか、途中下車はダメ、決まった道以外歩くの禁止、天人と目を合わすんじゃねーぞ。」
「わかった。」
「そうだ。遅くなったけど、この前のジャンプ代。」
銀さんはたもとから財布を取り出すとお金を返してくれた。
貸したのは千円だけど、くれたお札は数枚、しかも確認すると千円の後ろは全部一万円札だ。
「多すぎるよ。」
「コイツは俺からの就職祝い。女の子はおしゃれとかでカネかかるだろ?」
銀さんは笑っている。
「…本当にいいの?ありがとう!」
お登勢さんの心配は杞憂(きゆう)だったみたいだ。
銀さんはうちのお父さんより口やかましい。でもそれは、江戸に不慣れな私を守るゆえの行動だし、いつだってやさしくしてくれる。
お付き合いしてる人、本当にいないのかな。
あの剣さばきで助けられたら一目ぼれする女の子がいてもおかしくない。
みんなはガンガンけなしてたけど、いわゆる愛情の裏返しってやつだ。
何はともあれ、彼女さんがいないってわかって本当にうれしかった。
うれしかった…?
安心したとかほっとした、じゃなくて、うれしかった??
私はお財布にお金をしまいながら、ふと考えた。
それにしても、こんなにもらっちゃってよかったのかな。
今日の銀さんはやけに気前がいい、っていうか良すぎる。
しかも、三人はこの一週間仕事に行っていないのに大金を持ってるのは変だ。
「ところで、このお金どうしたの?」
「長谷川さんからパチンコの玉借りて打ったら大勝ちしちゃってよォ~。」
「そ、そうなんだ…。」
「あっ、コイツは口止め料。アイツらには無一文っーことになってるからヨロシクな。」
銀さんは口に指をあてて内緒のポーズをすると、もう一枚お札をくれた。
「月末近いのにパチンコに行ったって知られると、特に新八がうっせーんだよ。」
「…。」
「そうだ、長谷川さんも大勝ちしたから、今度一緒にパーッと飲みにいかね?地酒の旨い店があるんだってよ~。ついでに誕生日プレゼント買ってもら……長谷…ん……飲………
― この人ヤバい。
私はお登勢さんたちの忠告をようやく理解した。
主な関連エピソード
長谷川 Day4-1 Day11-1 Day11-2
2015年11月3日UP
っていうか貸す羽目になったのも、おさい銭に全財産納めてしまったからだ。
しかも、天パがストレートになりますようにって、子供じみたお願いごとで。
「ただいま~。」
万事屋に戻ると銀さんはトイレから出てきたところだった。
「おかえり。」
「新八くんと神楽ちゃんは?」
「定春のエサ買いに行った。ババア、呼びつけやがって何だった?」
「違うの。お登勢さんが起きたら伝えてって、たまさんに頼んでたんだ。お礼言ってきたの。」
「そっか。」
「面接緊張したよ。でも採用決まってよかった~。」
アイスを食べようと台所に行く私に、銀さんはついてくる。
「就職おめでとさん、っーことで、しばらくは俺が送ってく。」
「え~、いいよ。今日神楽ちゃんに教えてもらって、行き方わかったから大丈夫。」
「ソイツは聞けねー約束だ。」
そう言うと、銀さんは冷蔵庫に寄りかかってしまった。
「いやさ~、どっかの誰かさんが、ターミナルの近くで迷子になったって、風の噂で聞いてよォ~。」
銀さんの目は光っている。
「迷子だなんて心配し過ぎだよ。」
「何でもその娘さん、組の事務所に連れ込まれる寸前でサングラスのおっさんに助けられたらしいぜ。江戸って怖いな~。」
「そっか、江戸って怖いところなんだね~。」
ごまかそうと笑ったけど、銀さんは顔色一つ変えない。
「聞くところによると、その誰かさんは将軍様御用達のお店で働けるくらいのぺっぴんさんだってよ。アレ?そういや、名前ちゃんも『すまいる』に誘われてたよな~。」
長谷川さんが全部しゃべっちゃったんだ!
「っーことで、そこの誰かさん~。」
黙ってたって叱られる!
「怖い思いさせちまって悪かった。」
予想とは反対に銀さんは謝ってきた。
「隠し事するんじゃねェって叱られるんだと思ってた。」
「んなワケねーよ。責めを負うのは俺たちの方だ。新八と神楽をキツく叱っといた。」
「気持ちはうれしいけど、あんまり怒っちゃかわいそうだって。」
「侍は、一旦(いったん)護ると決めた者を見失うワケにはいかねェ。」
大真面目な銀さんに神楽ちゃんは侍じゃないよ、って突っ込むことはできなかった。
うまく言えないけど、本気で私を大事にしてくれてるのが伝わってくる。
「銀さん、いつも私の事心配してくれてありがとう。あの…送り迎えってずっと?」
「ウチの姫さんは道覚えるの早ェから、お付きの家来は二~三回で卒業させてもらうわ。でもいいか、途中下車はダメ、決まった道以外歩くの禁止、天人と目を合わすんじゃねーぞ。」
「わかった。」
「そうだ。遅くなったけど、この前のジャンプ代。」
銀さんはたもとから財布を取り出すとお金を返してくれた。
貸したのは千円だけど、くれたお札は数枚、しかも確認すると千円の後ろは全部一万円札だ。
「多すぎるよ。」
「コイツは俺からの就職祝い。女の子はおしゃれとかでカネかかるだろ?」
銀さんは笑っている。
「…本当にいいの?ありがとう!」
お登勢さんの心配は杞憂(きゆう)だったみたいだ。
銀さんはうちのお父さんより口やかましい。でもそれは、江戸に不慣れな私を守るゆえの行動だし、いつだってやさしくしてくれる。
お付き合いしてる人、本当にいないのかな。
あの剣さばきで助けられたら一目ぼれする女の子がいてもおかしくない。
みんなはガンガンけなしてたけど、いわゆる愛情の裏返しってやつだ。
何はともあれ、彼女さんがいないってわかって本当にうれしかった。
うれしかった…?
安心したとかほっとした、じゃなくて、うれしかった??
私はお財布にお金をしまいながら、ふと考えた。
それにしても、こんなにもらっちゃってよかったのかな。
今日の銀さんはやけに気前がいい、っていうか良すぎる。
しかも、三人はこの一週間仕事に行っていないのに大金を持ってるのは変だ。
「ところで、このお金どうしたの?」
「長谷川さんからパチンコの玉借りて打ったら大勝ちしちゃってよォ~。」
「そ、そうなんだ…。」
「あっ、コイツは口止め料。アイツらには無一文っーことになってるからヨロシクな。」
銀さんは口に指をあてて内緒のポーズをすると、もう一枚お札をくれた。
「月末近いのにパチンコに行ったって知られると、特に新八がうっせーんだよ。」
「…。」
「そうだ、長谷川さんも大勝ちしたから、今度一緒にパーッと飲みにいかね?地酒の旨い店があるんだってよ~。ついでに誕生日プレゼント買ってもら……長谷…ん……飲………
― この人ヤバい。
私はお登勢さんたちの忠告をようやく理解した。
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長谷川 Day4-1 Day11-1 Day11-2
2015年11月3日UP