Day6 10月15日 朝 万事屋
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押し問答が続いていた。
それは、私の発した
「スクーターに乗せてほしい。」
の一言がきっかけなのだけど。
昨夜、銭湯で立ちくらみの症状がおさまってから、神楽ちゃんと新八くんと万事屋に戻った。
銀さんはヤボ用とかで場所を告げずにどこかへ行ってしまったらしい。
それから三人で夕食を作って帰りを待っていたけど、結局先に食べて神楽ちゃんと枕を並べて寝た。
隣の規則正しい寝息を聞きながら、布団の中で、私はこれからの身の振り方に頭を悩ませていた。
出会ってからの数日、銀さんたちは私を記憶喪失だと思い込んで助けてくれている。
でも、彼らの温かい気持ちとひたむきさに、だんだん良心が耐えられなくなってきた。
仕事をキャンセルした電話を立ち聞きしたのが最終的に背中を押した。
私は完全に足手まといなのだ。
万事屋のみんなはどんな仕事も引き受けてきたらしいけど、別世界に戻りたいなんて依頼はお手上げに決まってる。
なぜなら彼らは神様でも魔法使いでもないのだから。
他人に頼らず自分の事は自分でなんとかしよう、自力で方法を探して必ず家に帰るんだ。
当初は黙って去ることを考えた。
でも、無断で姿を消したら三人と定春くんが町中を探し回るのが容易に想像できる。
それに、お礼の一つも述べずに発つのは、人としてあまりにも失礼な行為だ。
だから論理的に説明して万事屋を去ろうと、ロジックを一生懸命考えて今日の行動に打って出たのだけど、私の頭が残念なのか、銀さんたちの口がうまいのか、全然説得できていない。
「で、屯所で何すんの?」
「警察は迷子を保護してくれるし、ここにダラダラいるわけにはいかないし、別にみんなのせいじゃなくてだからとにかく屯所に連れてってほし
銀さんの表情がさっと変わった。
「バッキャヤロー!チンピラ警察にウチのかわいい娘をやれるかってんだ!ストーカーとマヨラーとドS王子の住処にノコノコ出向くなんざ、『飛んで火にいる夏の虫』じゃねーか!お父さんは、変態の巣へお嫁に行かせるために名前を育てたわけじゃありませんんん!!」
怒鳴られるのは予想してた。
そりゃ誰だって社交辞令でとりあえず引き止めるよ。
でも私はお荷物なのだ、出ていかなければ。
私は財布にしまってた土方さんの名刺を見せた。
「『困ったことがあったらいつでも連絡しろ。』って言ってたから相談に乗ってくれると思う。公共機関だし収容施設ぐらいあるはず、多分。」
「あっちには格子つきのマイホームしかないアル。」
「マイホーム?」
「留置所の事だろ。ワル共のゴミ溜めがウチより快適なワケあるか。」
「警察がだめなら他をあたってみる。」
「ダメアル。考え直すアル。」
言い切った手前、出ていかないわけにはいかない。
「本日をもって失礼させていただきます。お世話になりました、親切にしてくれてありがとうございました。」とあいさつして玄関に向かう。
「よかねーよ、一旦座れ。頭冷やせ!」
銀さんに両肩をつかまれてソファーに座らされた。
目の前に仁王立ちした二人は、怖い顔で見下ろしている。
「万事屋に居るアル。名前ちゃんをこの世界でひとりぼっちにしないネ。」
「でも…。」
「名前ちゃん隠し事してるネ。私、どんなことがあっても味方アル。」
神楽ちゃんは深呼吸をした。
「代わりに話していいアルか?」
銀さんが心なしかビクッとしたような気がする。
ちょっと待て。
さっき、「この世界」って言ったよね?
もしかして正体に気づいてる?
この前、神社で定春くんが吠えていたのと、「あなたのおじいちゃんのおじいちゃんの(以下略)が消えた。」的なお母さんの昔話を手がかりに、この世界に来たきっかけは神社付近にあると、昨晩私は布団の中で結論を出した。
お母さんの話は事実を元にしてるのかわからない。
定春くんの行動は、単なる犬の気まぐれかもしれない。
でも、ただの犬にしては、人間の言葉を完全に理解したかのような反応をする。
仲のいい神楽ちゃんが言葉を読み取って事情を知ったのだろうか。
他人に本当のことを言わせる前に正直に打ち明けるべきだけど、迷う。
だって、真実はあまりにも奇想天外過ぎるのだ。
タイムワープどころじゃない、全く別の世界から来たって頭がおかしくなったと思われる。
でも、もしかしたら信じてくれるかもしれない。
「ええと、実は、
それは、私の発した
「スクーターに乗せてほしい。」
の一言がきっかけなのだけど。
昨夜、銭湯で立ちくらみの症状がおさまってから、神楽ちゃんと新八くんと万事屋に戻った。
銀さんはヤボ用とかで場所を告げずにどこかへ行ってしまったらしい。
それから三人で夕食を作って帰りを待っていたけど、結局先に食べて神楽ちゃんと枕を並べて寝た。
隣の規則正しい寝息を聞きながら、布団の中で、私はこれからの身の振り方に頭を悩ませていた。
出会ってからの数日、銀さんたちは私を記憶喪失だと思い込んで助けてくれている。
でも、彼らの温かい気持ちとひたむきさに、だんだん良心が耐えられなくなってきた。
仕事をキャンセルした電話を立ち聞きしたのが最終的に背中を押した。
私は完全に足手まといなのだ。
万事屋のみんなはどんな仕事も引き受けてきたらしいけど、別世界に戻りたいなんて依頼はお手上げに決まってる。
なぜなら彼らは神様でも魔法使いでもないのだから。
他人に頼らず自分の事は自分でなんとかしよう、自力で方法を探して必ず家に帰るんだ。
当初は黙って去ることを考えた。
でも、無断で姿を消したら三人と定春くんが町中を探し回るのが容易に想像できる。
それに、お礼の一つも述べずに発つのは、人としてあまりにも失礼な行為だ。
だから論理的に説明して万事屋を去ろうと、ロジックを一生懸命考えて今日の行動に打って出たのだけど、私の頭が残念なのか、銀さんたちの口がうまいのか、全然説得できていない。
「で、屯所で何すんの?」
「警察は迷子を保護してくれるし、ここにダラダラいるわけにはいかないし、別にみんなのせいじゃなくてだからとにかく屯所に連れてってほし
銀さんの表情がさっと変わった。
「バッキャヤロー!チンピラ警察にウチのかわいい娘をやれるかってんだ!ストーカーとマヨラーとドS王子の住処にノコノコ出向くなんざ、『飛んで火にいる夏の虫』じゃねーか!お父さんは、変態の巣へお嫁に行かせるために名前を育てたわけじゃありませんんん!!」
怒鳴られるのは予想してた。
そりゃ誰だって社交辞令でとりあえず引き止めるよ。
でも私はお荷物なのだ、出ていかなければ。
私は財布にしまってた土方さんの名刺を見せた。
「『困ったことがあったらいつでも連絡しろ。』って言ってたから相談に乗ってくれると思う。公共機関だし収容施設ぐらいあるはず、多分。」
「あっちには格子つきのマイホームしかないアル。」
「マイホーム?」
「留置所の事だろ。ワル共のゴミ溜めがウチより快適なワケあるか。」
「警察がだめなら他をあたってみる。」
「ダメアル。考え直すアル。」
言い切った手前、出ていかないわけにはいかない。
「本日をもって失礼させていただきます。お世話になりました、親切にしてくれてありがとうございました。」とあいさつして玄関に向かう。
「よかねーよ、一旦座れ。頭冷やせ!」
銀さんに両肩をつかまれてソファーに座らされた。
目の前に仁王立ちした二人は、怖い顔で見下ろしている。
「万事屋に居るアル。名前ちゃんをこの世界でひとりぼっちにしないネ。」
「でも…。」
「名前ちゃん隠し事してるネ。私、どんなことがあっても味方アル。」
神楽ちゃんは深呼吸をした。
「代わりに話していいアルか?」
銀さんが心なしかビクッとしたような気がする。
ちょっと待て。
さっき、「この世界」って言ったよね?
もしかして正体に気づいてる?
この前、神社で定春くんが吠えていたのと、「あなたのおじいちゃんのおじいちゃんの(以下略)が消えた。」的なお母さんの昔話を手がかりに、この世界に来たきっかけは神社付近にあると、昨晩私は布団の中で結論を出した。
お母さんの話は事実を元にしてるのかわからない。
定春くんの行動は、単なる犬の気まぐれかもしれない。
でも、ただの犬にしては、人間の言葉を完全に理解したかのような反応をする。
仲のいい神楽ちゃんが言葉を読み取って事情を知ったのだろうか。
他人に本当のことを言わせる前に正直に打ち明けるべきだけど、迷う。
だって、真実はあまりにも奇想天外過ぎるのだ。
タイムワープどころじゃない、全く別の世界から来たって頭がおかしくなったと思われる。
でも、もしかしたら信じてくれるかもしれない。
「ええと、実は、