Day22 10月31日 夜 北斗心軒
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「…適当な口実作って、とっとと神社に連れてくりゃよかったんだよな。そーすりゃ、もっと早…
「よせ、銀時。今となってはあとの祭りだ。だが、十日以上経っても自らの正体を明かさず、見舞いに来た俺に別人のフリを貫き通す、慎重な性格の彼女に強硬策を講じてもうまくはいくまいよ。」
「オイオイ~、別人のフリされたのは単にテメーを警戒してただけじゃね?まあ、ガード堅くて隠し事したがるのは認めるけどよ。さっき言ったっけ?名前さん、新八と神楽かばうために自分が拉致られかけたのを長谷川さんに口止めしてた。」
「新八くんとリーダーも、身一つでこの世界に放り出された名前殿を支え、控えめな彼女が真実を打ち明けるまで温かく見守った。ここに居た半月足らずの間、万事屋が名前殿の心のよりどころになった事は間違いない。貴様らは、やれるだけの事をした。俺は友として誇りに思う。」
感極まったヅラは、俺の肩に手を置いてしばらくすると、励ますつもりなのか痛いぐらい背中をバンバンと叩いてきた。
「銀時、今日はいつになく過去の話をしたな。」
「そうか?俺はいつだって前しか見ちゃいねーよ。ただ、しゃべり過ぎただけだ。」
「そうだな…。そういう事にしておこう。少し話題を変えるか。」
ここらで気分を変えようと、俺は再びコップを傾けたが、渇いた口の中にはアルコールのしずくが数滴落ちてきただけだった。
「ところで銀時、この前の満月は見たか?」
「いい月が出たなーって眺めてたら、あっという間に雲が隠しやがって月見酒がまずくなった。」
「俺もだ。月と言えば…、万事屋に居候していた月は満ちる前に隠れてしまったな。だが、月は目に見えずとも昼間出ているように、彼女の住む世界も案外隣り合わせに存在するのかも知れぬ。名前殿があちらで幸せに暮らしていることを祈ろう。」
……。
……。
「銀さん、そろそろ看板ですよ。起きてください。」※看板=俗に飲み屋でいう閉店。
「…。」
「オイコラ!とっとと起きやがれ!この万年金欠ニート侍が!!」
肩を強くゆすぶられて、ハッと身を起こしたら景色は一変していた。
お妙がおしぼりを差し出してくる。
「アレ??お妙??俺いつの間に『すまいる』?」
どうやらソファーにもたれ、よだれを垂らして寝込んじまってたようだ。
でも、さっきまでヅラと北斗心軒で飲み食いしてたハズじゃ…。
「銀さん、何かあったんですか?今日は一杯飲んだっきり、すぐに眠り込んじゃって…。」
お妙は顔を拭いたおしぼりを受け取ると、すぐに水の入ったグラスを手渡してきた。
「まー、ババアがまた厄介な仕事持ち込みやがって骨が折れるっーか。」
フロアに目をやると、酔客と見送りのキャバ嬢が数組談笑しながら出入口にゆっくり向かっていく。
どうやら俺は最後の客のようだ。
普段はテーブルに頭を押し付けられて叩き起こされるのに少しはお妙もマシになったなー、と思ったら床には氷水で満載のバケツが置いてあったので、俺は身震いして一瞬で目が覚めたけど、すぐに頭がぼんやりしてきた。
「…行ってきたんです。」
「…。」
「新ちゃんと一緒に尾美一兄様のお墓に。」
「?」
「…また、会えるかもしれませんよ。私、ふっと思ったんです。」
「何の話?」
「あらやだわ、私、寝言の銀さんとお話してたのかしら。お勘定はツケにしておきました。またいらしてくださいね。」
テーブルの上には一杯だけのはずなのに、不釣合いに空いたボトルが数本転がっていた。
でも何故か、名前さんと色違いの髪飾りを挿したお妙を怒る気にはなれなかった。
「よせ、銀時。今となってはあとの祭りだ。だが、十日以上経っても自らの正体を明かさず、見舞いに来た俺に別人のフリを貫き通す、慎重な性格の彼女に強硬策を講じてもうまくはいくまいよ。」
「オイオイ~、別人のフリされたのは単にテメーを警戒してただけじゃね?まあ、ガード堅くて隠し事したがるのは認めるけどよ。さっき言ったっけ?名前さん、新八と神楽かばうために自分が拉致られかけたのを長谷川さんに口止めしてた。」
「新八くんとリーダーも、身一つでこの世界に放り出された名前殿を支え、控えめな彼女が真実を打ち明けるまで温かく見守った。ここに居た半月足らずの間、万事屋が名前殿の心のよりどころになった事は間違いない。貴様らは、やれるだけの事をした。俺は友として誇りに思う。」
感極まったヅラは、俺の肩に手を置いてしばらくすると、励ますつもりなのか痛いぐらい背中をバンバンと叩いてきた。
「銀時、今日はいつになく過去の話をしたな。」
「そうか?俺はいつだって前しか見ちゃいねーよ。ただ、しゃべり過ぎただけだ。」
「そうだな…。そういう事にしておこう。少し話題を変えるか。」
ここらで気分を変えようと、俺は再びコップを傾けたが、渇いた口の中にはアルコールのしずくが数滴落ちてきただけだった。
「ところで銀時、この前の満月は見たか?」
「いい月が出たなーって眺めてたら、あっという間に雲が隠しやがって月見酒がまずくなった。」
「俺もだ。月と言えば…、万事屋に居候していた月は満ちる前に隠れてしまったな。だが、月は目に見えずとも昼間出ているように、彼女の住む世界も案外隣り合わせに存在するのかも知れぬ。名前殿があちらで幸せに暮らしていることを祈ろう。」
……。
……。
「銀さん、そろそろ看板ですよ。起きてください。」※看板=俗に飲み屋でいう閉店。
「…。」
「オイコラ!とっとと起きやがれ!この万年金欠ニート侍が!!」
肩を強くゆすぶられて、ハッと身を起こしたら景色は一変していた。
お妙がおしぼりを差し出してくる。
「アレ??お妙??俺いつの間に『すまいる』?」
どうやらソファーにもたれ、よだれを垂らして寝込んじまってたようだ。
でも、さっきまでヅラと北斗心軒で飲み食いしてたハズじゃ…。
「銀さん、何かあったんですか?今日は一杯飲んだっきり、すぐに眠り込んじゃって…。」
お妙は顔を拭いたおしぼりを受け取ると、すぐに水の入ったグラスを手渡してきた。
「まー、ババアがまた厄介な仕事持ち込みやがって骨が折れるっーか。」
フロアに目をやると、酔客と見送りのキャバ嬢が数組談笑しながら出入口にゆっくり向かっていく。
どうやら俺は最後の客のようだ。
普段はテーブルに頭を押し付けられて叩き起こされるのに少しはお妙もマシになったなー、と思ったら床には氷水で満載のバケツが置いてあったので、俺は身震いして一瞬で目が覚めたけど、すぐに頭がぼんやりしてきた。
「…行ってきたんです。」
「…。」
「新ちゃんと一緒に尾美一兄様のお墓に。」
「?」
「…また、会えるかもしれませんよ。私、ふっと思ったんです。」
「何の話?」
「あらやだわ、私、寝言の銀さんとお話してたのかしら。お勘定はツケにしておきました。またいらしてくださいね。」
テーブルの上には一杯だけのはずなのに、不釣合いに空いたボトルが数本転がっていた。
でも何故か、名前さんと色違いの髪飾りを挿したお妙を怒る気にはなれなかった。