Day22 10月31日 夜 北斗心軒
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「詳しくは俺も知らねェ。全部打ち明けてくれたのは消える前の日だったからな。単純な情報なら真選組の方が聞き出せてるんじゃねーの。アイツら何も言ってこねーけど。」
洗い物を終えた幾松は、明日の仕込みの材料を倉庫に取りに行くからしばらくコイツでやっといてと言うと、冷蔵庫から一升瓶を取り出してガラスのコップに酒を注ぎ俺たちに配ってから裏へ行った。
俺はつまみと共に冷酒をやろうとしたが、ヅラは構ってほしいらしく、どこかソワソワしているのでコップを置いた。
「ところで銀時、某関係者によると『どこでもドア』を作ってくれと貴様が頼んだ情報が入っているが。アレは本気か?」
「アレ?ああアレか。アレが本気なワケあるかって。つい酔った勢いで源外のジ…?何でテメーが知ってるんだ?!」
「どうした?びっくりした顔をしおって。ハハハ、そんなにネタばらしをしてほしいか?実を言うと、そこの通りで新八くん率いるハッピ姿の団体とすれ違ったので、彼と二言三言(ふたことみこと)、話をしたまでだ。」
「あんなの源外のジジイも真に受けちゃいねーよ。っーか名前さんが帰ったの新八から聞いたクセに『ボディーガードはお払い箱か?』なんて、したり顔で言うんじゃねー。まったくジジイもペラペラ新八にしゃべりやがって…。とにかくアレはタダの寝言だ。」
「寝言は案外本音がでるものだぞ。本当のことを話せ。」
いちいち上から目線のコイツに反撃するために、俺はヤローの未亡人好きをからかったが、張本人が戻ってきたので、ごまかそうと二人で一気にコップを空けた。
飲むペースが速いのか、あおった冷酒が効いたのか、次第に視界がぼんやりしてくる。
「…。だから俺はその後が気になるんだよ。ヅラ~、テメーは名前さんがあっちの世界でどうなってるのか確かめたくねーのかよ?」
「それは俺も知りたい。」
「でも、俺ァどんなにカネがあってもジジイに『どこでもドア』の開発を依頼するつもりはねーよ。」
「そうか。」
「万が一にでも幕府や天導衆の手に渡ったら絶対悪用されるし。」
「そうだな。」
「だからよォ、気になるっちゃ気になるけど…。イヤイヤイヤ、俺にはそもそも『どこでもドア』なんて必要ねーんだよ。俺はあっちの世界をのぞき見するつもりねーし、新八や神楽連れて名前さんのバイトしてる店にケーキ食いに行くとか考えたこともねーし、オィィィィ何て事言わせんだコノヤロー!!だからアレは酔った勢いのたわ言だって…。アレ??何で『どこでもドア』の話で俺たち熱く語ってンの??」
「銀時、熱く語っているのは貴様だけだ。幾松殿、おかわりをくれぬか?」
仕込みをしていた幾松は、ちょっと飲み過ぎじゃないかィ?とたしなめたが、俺たちがごねたので空いたコップに酒を注いだ。
「事件や依頼で知り合ったヤツらは大抵かぶき町に住んでるだろ?ほら、ハードボイルド気取りの同心とか、ホストの母ちゃんの息子とか、兄貴亡くした鍛冶屋(かじや)のねーちゃんとか、耳なしのボス猫とか。アイツらとは顔つき合わせることもあるし、気まぐれに飲みに行けるけどよ。」
「だが、名前殿とは文字通り住む世界が違った。」
他人にきっぱり口にされると彼女の消滅が現実だって身にしみる。
「別れはいつもあっけねーや。せっかく知り合いになれて、やっと心開いてくれたのに、切ないっーか。もう二度と会えねーんだよな。」
「もう一度会いたいと願う気持ちもわからないではない。話をしたのはわずかな時間だったが、貴様の言う通り感じのいい娘だったよ。」
「ヅラ~、俺ァ会いたいなんて一言も言ってねーぞ。俺は仮に名前さんがこの世界の住人だとしても、コンビニで一冊残ったジャンプに同時に手を伸ばしたり、居酒屋でビールのジョッキ運んで来たり、パチンコ屋の新装開店日にティッシュ配ってたり、ファミレスの離れた席でメニュー広げてたり、コンビニのレジでおつりを包み込むように渡してくれたり、街中でたまに出くわす以上の事は期待しちゃいねーよ。でも、名前さんは別の世界の人間だ。だから、彼女とはそういう関係にすらなれねェ。出会った時から縁が切れるのは決まってた。ただそれだけのことだ。」
「銀時…、定め(さだめ)を受け入れたと言いたいようだが、どこか未練がましく聞こえるぞ。ところで名前殿はジャンプを読まれるのか?女子は見かけによらぬものだな。」
「ジャンプは単なる例えだって。なんつーか、俺は…、これ以上はやめとく。」
そうだな、これ以上聞くのは野暮(やぼ)というものだな、とヅラは優越感たっぷりに笑うと再びおかわりを頼んだ。
洗い物を終えた幾松は、明日の仕込みの材料を倉庫に取りに行くからしばらくコイツでやっといてと言うと、冷蔵庫から一升瓶を取り出してガラスのコップに酒を注ぎ俺たちに配ってから裏へ行った。
俺はつまみと共に冷酒をやろうとしたが、ヅラは構ってほしいらしく、どこかソワソワしているのでコップを置いた。
「ところで銀時、某関係者によると『どこでもドア』を作ってくれと貴様が頼んだ情報が入っているが。アレは本気か?」
「アレ?ああアレか。アレが本気なワケあるかって。つい酔った勢いで源外のジ…?何でテメーが知ってるんだ?!」
「どうした?びっくりした顔をしおって。ハハハ、そんなにネタばらしをしてほしいか?実を言うと、そこの通りで新八くん率いるハッピ姿の団体とすれ違ったので、彼と二言三言(ふたことみこと)、話をしたまでだ。」
「あんなの源外のジジイも真に受けちゃいねーよ。っーか名前さんが帰ったの新八から聞いたクセに『ボディーガードはお払い箱か?』なんて、したり顔で言うんじゃねー。まったくジジイもペラペラ新八にしゃべりやがって…。とにかくアレはタダの寝言だ。」
「寝言は案外本音がでるものだぞ。本当のことを話せ。」
いちいち上から目線のコイツに反撃するために、俺はヤローの未亡人好きをからかったが、張本人が戻ってきたので、ごまかそうと二人で一気にコップを空けた。
飲むペースが速いのか、あおった冷酒が効いたのか、次第に視界がぼんやりしてくる。
「…。だから俺はその後が気になるんだよ。ヅラ~、テメーは名前さんがあっちの世界でどうなってるのか確かめたくねーのかよ?」
「それは俺も知りたい。」
「でも、俺ァどんなにカネがあってもジジイに『どこでもドア』の開発を依頼するつもりはねーよ。」
「そうか。」
「万が一にでも幕府や天導衆の手に渡ったら絶対悪用されるし。」
「そうだな。」
「だからよォ、気になるっちゃ気になるけど…。イヤイヤイヤ、俺にはそもそも『どこでもドア』なんて必要ねーんだよ。俺はあっちの世界をのぞき見するつもりねーし、新八や神楽連れて名前さんのバイトしてる店にケーキ食いに行くとか考えたこともねーし、オィィィィ何て事言わせんだコノヤロー!!だからアレは酔った勢いのたわ言だって…。アレ??何で『どこでもドア』の話で俺たち熱く語ってンの??」
「銀時、熱く語っているのは貴様だけだ。幾松殿、おかわりをくれぬか?」
仕込みをしていた幾松は、ちょっと飲み過ぎじゃないかィ?とたしなめたが、俺たちがごねたので空いたコップに酒を注いだ。
「事件や依頼で知り合ったヤツらは大抵かぶき町に住んでるだろ?ほら、ハードボイルド気取りの同心とか、ホストの母ちゃんの息子とか、兄貴亡くした鍛冶屋(かじや)のねーちゃんとか、耳なしのボス猫とか。アイツらとは顔つき合わせることもあるし、気まぐれに飲みに行けるけどよ。」
「だが、名前殿とは文字通り住む世界が違った。」
他人にきっぱり口にされると彼女の消滅が現実だって身にしみる。
「別れはいつもあっけねーや。せっかく知り合いになれて、やっと心開いてくれたのに、切ないっーか。もう二度と会えねーんだよな。」
「もう一度会いたいと願う気持ちもわからないではない。話をしたのはわずかな時間だったが、貴様の言う通り感じのいい娘だったよ。」
「ヅラ~、俺ァ会いたいなんて一言も言ってねーぞ。俺は仮に名前さんがこの世界の住人だとしても、コンビニで一冊残ったジャンプに同時に手を伸ばしたり、居酒屋でビールのジョッキ運んで来たり、パチンコ屋の新装開店日にティッシュ配ってたり、ファミレスの離れた席でメニュー広げてたり、コンビニのレジでおつりを包み込むように渡してくれたり、街中でたまに出くわす以上の事は期待しちゃいねーよ。でも、名前さんは別の世界の人間だ。だから、彼女とはそういう関係にすらなれねェ。出会った時から縁が切れるのは決まってた。ただそれだけのことだ。」
「銀時…、定め(さだめ)を受け入れたと言いたいようだが、どこか未練がましく聞こえるぞ。ところで名前殿はジャンプを読まれるのか?女子は見かけによらぬものだな。」
「ジャンプは単なる例えだって。なんつーか、俺は…、これ以上はやめとく。」
そうだな、これ以上聞くのは野暮(やぼ)というものだな、とヅラは優越感たっぷりに笑うと再びおかわりを頼んだ。