Day12 10月21日 夕方 神社前交差点
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定春が鈴を鳴らして、柏手を打ち、全員で名前さんが無事に元の世界に戻れるよう祈った。
「明日会う阿音さんってどんな感じの人?」
「見た目は巫女だけど、いけ好かねーヤツだから何言われても気にすんなよ。」
「コロナミンC飲むアル。」
「お前は留守番。アイツに席料いくらふんだくられるかわかんねーし。」
「やっぱり清らかなオーラが漂ってる感じなの?」
「全然話聞いてねーだろ。今じゃ巫女のツラした単なる金の亡者だって。」
「そうなの?でも家をはみ出すぐらい巨大化した定春くんを小さくしたん…あっ!
参道の石畳を後ろ向きに歩きながら話していた名前さんがガクッと崩れ落ちそうになったので、神楽が腕を支えた。
「大丈夫アルか?ケガないアルか?」
彼女は平気といいつつ足を引きずっている。
そして身をかがめると片方の靴を脱いだ。
「見せてみろ。」
手渡された靴は、かかとの部分が根元からバキッと折れて、ブラブラと本体からはずれかけている。
「ヒールがいっちゃうとかありえない!結構高かったのに…。もう二度とあのブランドのは買わない!」
「それはひどいですね。天人の靴屋さんがターミナルの近くにあるんで、修理に出しましょう。」
神楽はしゃがんで名前さんの足首を触って確認している。
「ここ痛いアルか?ここも痛いアルか?」
「…痛い。」
どうやら足をひねったようだ。
「ほら、乗れ。」
「えっ?」
「おぶってやっから。」
「ええ~いいってば。銀さん、私は大丈夫だって。それと…いい年しておぶってもらうのは…。見られたら恥ずかしいよ。」
名前さんはためらっている。
「駐車場までだし、そんな足でどーやって歩くんだ?見ろ、俺たち以外いやしねェ。」
社務所が閉まり真っ暗になった神社はひっそりしている。
大通りのクルマの音が遠く聞こえるだけだ。
「私がお姫様だっこしてあげるヨ。」
「確かに神楽ちゃんは力持ちだけど、他人の目からは虐待にしか見えないし…。」
「それとも定春がいいアルか?」
定春が姿勢を低くして人を乗せる準備をした。
「ありがとう…。でもちょっと遠慮したい。昔ラクダに乗った時、視界が高くて恐かったから。定春くんが嫌いなわけじゃないからね。」
ごめんね、と言うと定春を何度もやさしくなでた。
神楽がバッグと壊れた靴を預かる。
「ぐだぐだ言うな、ほら。」
「えーと、重いとか絶対言わないでよ。」
なんやかんやで、ようやく彼女は俺の後ろに回った。
「平気だって、名前さん全然軽いから。鳥の羽根みてーに薄くて軽いから。」
「……、逆に嫌味だって!でも、子どもの頃を思い……懐かし…
「言い過ぎたわ、早く乗れって。」
「神楽ちゃん…。これって僕の見間違いじゃないよね…。」
「銀ちゃん、もう立っていいアル…だって名前ちゃんは…。」
「新八??神楽??」
「オイ…どういうことだ…。」
俺の肩にかけられた一瞬の重みを最後に、名前さんの姿は見えなくなった。
2015年5月17日UP
「明日会う阿音さんってどんな感じの人?」
「見た目は巫女だけど、いけ好かねーヤツだから何言われても気にすんなよ。」
「コロナミンC飲むアル。」
「お前は留守番。アイツに席料いくらふんだくられるかわかんねーし。」
「やっぱり清らかなオーラが漂ってる感じなの?」
「全然話聞いてねーだろ。今じゃ巫女のツラした単なる金の亡者だって。」
「そうなの?でも家をはみ出すぐらい巨大化した定春くんを小さくしたん…あっ!
参道の石畳を後ろ向きに歩きながら話していた名前さんがガクッと崩れ落ちそうになったので、神楽が腕を支えた。
「大丈夫アルか?ケガないアルか?」
彼女は平気といいつつ足を引きずっている。
そして身をかがめると片方の靴を脱いだ。
「見せてみろ。」
手渡された靴は、かかとの部分が根元からバキッと折れて、ブラブラと本体からはずれかけている。
「ヒールがいっちゃうとかありえない!結構高かったのに…。もう二度とあのブランドのは買わない!」
「それはひどいですね。天人の靴屋さんがターミナルの近くにあるんで、修理に出しましょう。」
神楽はしゃがんで名前さんの足首を触って確認している。
「ここ痛いアルか?ここも痛いアルか?」
「…痛い。」
どうやら足をひねったようだ。
「ほら、乗れ。」
「えっ?」
「おぶってやっから。」
「ええ~いいってば。銀さん、私は大丈夫だって。それと…いい年しておぶってもらうのは…。見られたら恥ずかしいよ。」
名前さんはためらっている。
「駐車場までだし、そんな足でどーやって歩くんだ?見ろ、俺たち以外いやしねェ。」
社務所が閉まり真っ暗になった神社はひっそりしている。
大通りのクルマの音が遠く聞こえるだけだ。
「私がお姫様だっこしてあげるヨ。」
「確かに神楽ちゃんは力持ちだけど、他人の目からは虐待にしか見えないし…。」
「それとも定春がいいアルか?」
定春が姿勢を低くして人を乗せる準備をした。
「ありがとう…。でもちょっと遠慮したい。昔ラクダに乗った時、視界が高くて恐かったから。定春くんが嫌いなわけじゃないからね。」
ごめんね、と言うと定春を何度もやさしくなでた。
神楽がバッグと壊れた靴を預かる。
「ぐだぐだ言うな、ほら。」
「えーと、重いとか絶対言わないでよ。」
なんやかんやで、ようやく彼女は俺の後ろに回った。
「平気だって、名前さん全然軽いから。鳥の羽根みてーに薄くて軽いから。」
「……、逆に嫌味だって!でも、子どもの頃を思い……懐かし…
「言い過ぎたわ、早く乗れって。」
「神楽ちゃん…。これって僕の見間違いじゃないよね…。」
「銀ちゃん、もう立っていいアル…だって名前ちゃんは…。」
「新八??神楽??」
「オイ…どういうことだ…。」
俺の肩にかけられた一瞬の重みを最後に、名前さんの姿は見えなくなった。
2015年5月17日UP