Day12 10月21日 夕方 神社前交差点
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「新八??いきなりどーした、確変か?」
「どういう事アルか??」
「そ…、そーなんだ、そーなの??」
新八は得意げにメガネのフレームをクィっと上げて賢いキャラぶっている。
似合ってねェェェ!
「名前さんの御母上が語られた、『あなたのおじいさんのおじいさんの以下略』は僕らの世界にやってきました。そしてその人は、神社の絵巻に描いてあった謎の男性と同一人物です。ここまではいいですか?」
「うん。」
「男性=名前さんのご先祖様は宮司のお嬢さんと結婚して子どもたちと暮らしていたけど、ある日子どもの一人と共に消えてしまったと言う話が神社に伝わっています。一方で、名前さんの御母上の話には、『元の世界に戻ってきた』というオチが何故か欠けてるんですよ。」
「新八くん、最初の話は直感的にわかるんだけど、オチのあたりがわからないよ。もっと詳しく説明してくれるかな?」
「ご先祖様が戻らない限り、名前さんの世界では、『あなたの』おじいさんではなく『どこかの』おじいさんが消えてそれっきり、って赤の他人が語るホラーになっていますよ。もちろん名前さんの一族はあっちの世界にいません。」
新八は小難しい自説を語る度にメガネのフレームをクィっとやってる。
何だかイラッとするからやめろォォォ!
「ややこしいけど、ご先祖様が銀さんたちの世界にとどまってたら、私もここで生まれてるってこと?だから『おじいさんのおじいさんの以下略』は元の世界に戻れて、その子孫が私ってこと?」
「そういうことです。だから、名前さんは絶対に帰れます。『おじいさんのおじいさんの以下略』が戻れたように、その方法が必ず見つかるはずなんです。」
「それだ!俺、それが言いたかったんだわ。」
「銀さん単に僕の話に乗っかってるだけじゃないですか。」
新八の言う通り、俺は理解できてねェ。
でも、彼女にようやく笑顔は戻った。
「新八くんすごいよー、フフフ、定春くんくすぐったいってば。でも、なんで戻ってきましたって結末の部分が抜けたんだろう。お母さんが忘れただけなのかな?もしかして、子どもを残しておじいさんは再び消えちゃったとか?」
「うーん、僕もそこまで考えていませんでした。」
「だからお前は新一じゃなくて新八ネ。」
「だから新一って誰だよ。」
「難しい事はよくわからないけど、なんだか希望が出てきた。そうだ、この前ここに来た時、私お願いごとするの忘れてた、せっかく神社に来てたのに。お参りしようよ神楽ちゃん。」
その言葉を残すと、久しぶりに洋装で思いきり動けるのがうれしいらしく、名前さんは神楽や定春と競争するように鳥居に向かう階段を駆け上がって行った。
新八と俺は顔を見合わせて苦笑いしてから後を追った。
手水場のひしゃくで手を清めてから、全員でお社に並んで立つ。
「オイ神楽、カネ貸せ。」
「銀ちゃんに貸したら返ってこないアル。」
「五円くらいいいじゃねーか。この前三百円やったの忘れたのか?」
ひじ打ちしながらコソコソ話してたのが耳に入ったらしく、名前さんの表情が暗くなった。
「銀さん、やっぱり万事屋は生活に困ってるの?私が居候してるせいで家計に負担掛けちゃって…
「いやいやいや銀さんはこう見えても金持ちだからさっきのはウソだから。」
俺は必死に否定してサイフから五円を取り出した。
横並びに一礼するやいなや、名前さんは数歩前に進んで迷う素振りを全く見せず、財布から札を全部抜き、小銭を乗せると有り金全額をジャラジャラとさい銭箱に投入していく。
俺たちはあっけにとられて行動を見守っていた。
「意外と大胆アルな。」
「地獄の沙汰も金次第ってことわざがあるし、ここは神様に本気を見せないと。」
「いや地獄に行くんじゃなくね?っーか神様買収しようとしてね?」
「えー、でも神様も収入多い方が喜ぶよ。…でも私のお金はこっちじゃ換金できないからタダの紙切れと変わんないか…。」
いくら願いをかなえたいとはいえ俺には絶対真似できねー行動だ。
ギャンブルでよくやるけど神様は馬やパチンコじゃねーし。
「全額おさい銭にして、あっちで大丈夫ですか?」
万事屋の家計を預かる新八は人一倍金銭にうるさいので、心配そうにしている。
「向こうに着いたら、誰かに電話借りて親に迎えに来てもらうよ。だから平気だって。」