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Day12 10月21日 夕方 神社前交差点

夢小説設定

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「えっ?!何言ってんのか聞こえねェェェ!」

「…………を許可してほしいんだけどー!」

「だから降りたら話聞くから。っーか俺は認めねェェェ!」


スクーターの運転中にもかかわらず後部座席の名前さんはひどくうるさい。
今朝、バイト先の制服に着替えてから、元の性格が出て積極的になったっーか。
さっきから同じことの繰り返しだ。


待ち合わせ場所の駐車場には新八たちが先に到着していた。
神楽は定春に乗ったまま酢昆布をもさもさ食ってたが、飛び降りて駆け寄ってくる。

「どうアルか?銀ちゃんに一人歩き許してもらったアルか?」

「まだだけど、最終兵器がこの手にあるからいけるよ。今思いついた。」

と、彼女は白いエプロンのポケットから、あるものを取り出して俺に突きつけた。


「さて、これは何でしょう?」

「昨日の夜、みんなで撮った集合写真だろ。」

「銀さん、まだわからない?」

「っーか、それのどこが最終兵器??」

「万が一変な人に絡まれた時に、これを見せれば万事屋が後見人ってわかるでしょ?だから私に手出しできないというか…。とにかくこの写真があれば大丈夫!」


そーきたか。


「だから一人で出歩いていいかな?私、少しはかぶき町に慣れてきたし近所だけでいいから、すぐ帰ってくるから。お願い。」

「ふーん、いいんじゃねーの。」

「マジで??いい??いつから出かけていい?」

「いつか、な。」


彼女は、テキトーにあしらいながら足早に歩く俺を小走りに追いかけて立ちふさがった。
さすがに洋服だと機動力が上がるな。


「またー!『いつか』って言ってはぐらかすー!じゃなくて同じ『いつか』なら次の五日、二十五日からにしようよ~。交差点から向こうに行かないって約束するから。」

「留守番中に戸を開けるなって約束を守れねェ頭の弱い娘(こ)が一人で外出するなんて、お父さんは絶対許しませんんん!! 」

「それを言われるとちょっと…。でも『可愛い子には旅をさせよ』とか言うし!」

今日の名前さんは、やけに強気だ。

「ダメなものはダメだって言ってるだろォーが!そんなによその家がいいならよその家の子になりなさい!」

「…。」


反論できずに黙った彼女に代わり、新八と神楽が俺を取り囲んで応援する。


「心配するのもわかりますけど、そろそろ大丈夫じゃないですか?ここらじゃ名前さんが万事屋に住んでるって知られてきてるし、明るいうちなら許してあげてください。」

「そうアル。過保護も度が過ぎるアル。」

名前さんは子どもじゃないのに銀さんが束縛し過ぎなんですよ。ねぇー神楽ちゃん。」

「新八の言う通りネ。銀ちゃん子離れの時アル。」


二人は妙にニヤニヤしている。


「箱入り娘にしておきたいのは別の理由アルか?」

後ろから飛びついた神楽は両手で目をふさいだ。

「オイ、神楽!やめろ!!前見えねェェェ!!」

「銀ちゃんがいいって言うまでダメアル。」

「ああああーわかった、わかったから神楽降りろ。」


キャサリンのパシリと定春の散歩の成果で近所の地理はほぼ覚えたみてーだし、着物姿はそこそこさまになってきてるし、厳しいお父さん役は潮時か。


「銀さん、僕からもお願いします。」

「銀ちゃん~。」


三人はかたずをのんで俺の答えを待っている。


「しゃーねーな。出かける時は行き先を知らせること、暗くなる前に帰ってくること。」

「やったー!!銀さんありがとう!!」


顔をぱっと明るくした名前さんは神楽とハグして喜んでいる。

「どこ行きたいアルか?」

「決まってるよ~、ドラッグストアの『松尾と清』!!」

「全然ご近所じゃないですか。僕、もっと遠い所だと思ってましたよ。本当にそこでいいんですか?」


疑問を投げかける新八に対して、彼女は何がおかしいのか全く分からない様子だ。


「だってドラッグストア楽しいし、ずっといて飽きないし、欲しいコスメあるし。」

「銭湯の行き帰りに寄れるじゃねーか。」

名前ちゃんはお前らと一緒にいたくないだけアル。少しは察しろよクズ共が。」

「全然そんなんじゃないから本当誤解だって。ただ、時には一人でのんびりしたいんだ。」


確かに、ここにきてから彼女には一人になる時間がなかった。
っーか、作らせてこなかった。
不安にさせたくねーって、気ィ回したつもりが、テメーが空回りしてたな、俺。


「銀さん、信じてくれてありがとう。」

「あ…、ああ。なんかすまなかったな。」


名前さんはしっかりした娘だ。
この世界にずっといる事になったとしても、そばにいて手助けしてやりゃ、自力で前に進んでいける。

一人で悩み抱えこんでる時には、手をさし伸べてやりゃーいい。
歩けなくなった時には、背負ってやりゃーいい。
いいんだけどよォ。

なーんか、ひもが切れた風船みてーに、名前さんは、ある時パッと手元から離れてしまいそーな気がしないでもない。
出会ったきっかけがきっかけだけに、俺には一抹の不安が残る。
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