Day11-2 10月20日 夜 「お登勢」
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「お誕生日おめでとうございます!」
「おめでとうございます名前様!」
「名前ちゃん、ハッピーバースデー!」
「誕生日おめでとう!」
<準備中>の札がかかり薄暗くなっていた「お登勢」は、私の登場でお誕生日会会場へと様変わりした。
命の恩人に再会を果たせただけでもすごい日なのに、
その上、今日は私の誕生日で、みんながこうしてお祝いしてくれてる。
しかも完璧なサプライズで。
感動で胸がいっぱいだ、以外に言葉が見つからない。
「飾り付けが間に合わなくて困ってたんです。でもそんな時に長谷川さんと知り合いだって聞いたので、早目に戻って完成できたんですよ。」
「マダオも時には役に立つアル。」
「神楽ちゃん、めでたい日までおじさんをいじめないでくれるかな~ハハハ。」
床に散らばった紙ふぶきを掃除している新八くんの側で、神楽ちゃんと立ち話をしている長谷川さんは何歳なんだろう?
老けて見える無精ひげを差し引いても、銀さんとは10歳以上離れてそうだ。
でも銀さんは敬語を使ってない。不思議な関係だなぁ。
「長谷川さんとは年が大分離れてるけど友だちなの?」
「友だちっーか『ツレ』だな『ツレ』。それと、俺気になってたんだけど、名前さんを紹介したっけ?覚えねーんだよな…。」
「二人にも言ったけど、ちょっと道聞いただけだよ。」
公園からの帰り道、私は長谷川さんに、出会ったきっかけを万事屋のみんなに内緒にするよう頼んだ。
ターミナルに行ったあの日、拉致られそうになったのがバレてしまう。
新八くんと神楽ちゃんが怒られてしまう上に、この場で発覚したらお登勢さんを心配させてしまう。
適当にごまかさないといけない。
「ただのおっさんなのによく覚えてたな。」
明らかに不審がっている口調だ。
「ほら、サングラスかけた人珍しかったから覚えてたっていうか。」
ここでひるんだら余計怪しまれるので私は自信ありげに答えた。
「道案内?どっかで聞いたよーな…。」
長谷川さんは事の顛末(てんまつ)を居酒屋で話したらしい。
「私を」助けた、とは言っていないけどこれ以上は突っ込まれたくない。
「記憶違いじゃないの?ハツとの出会いに比べちゃ大したことねーよ。ハハハ。」
長谷川さんもうまくごまかしてくれているけど、勘のいい銀さんは、なかなか納得してくれない。
「頭の中でこー、何かと何かがリンクしそうなんだけど。ターミナルの近くで客引き…
「お待たせ致しました。」
丁度いいところで、たまさんが巨大と形容するのがふさわしい重量感たっぷりのケーキを慎重に運んできた。
「何コレすげーじゃん。こりゃーおじさんも何か持ってくりゃよかったな。名前ちゃん、悪いね手ぶらで。来週給料が入ったら欲しい物買ってあげるから。」
よかった、これで話題をずらせる。
「来週長谷川さんと一緒に買い物行っていい?」
「いいけど…あんま高いモンねだるんじゃねーぞ。」
「俺を見くびってもらっちゃ困るよ~。これでも最近は定職についてるんだからさ。」
長谷川さんが自嘲気味に笑っているうちに、銀さんの興味は巨大ケーキの方に移ったようだった。
「名前様、どうぞこちらに。ごゆるりとご覧ください。」
たまさんは、もっと近くでケーキを見られるように他の人をどけさせた。
プレートには一部鏡文字になった、つたない字で、
「名前ちゃん&銀ちゃんおめでとう」
と描いてある。
「名前ちゃん&銀ちゃん」?
連名??
疑問を先読みするようにお登勢さんが説明してくれた。
「今日は銀時の誕生祝いも兼ねてるのさ。」
「銀さんも20日?」
「俺は10日。」
「私が10日遅れなんだ。10月10日…?それって!」
「俺と名前さんが出会った日。」
「…、私のせいでバースデーパーティーが中止になっちゃったんだ…ゴメ
「ゴメンは言わねー約束だろ?」
頭を軽くコツンとされた。
「銀ちゃんが名前ちゃんはねたからダブルでお祝いできるアル。結果オーライアル。」
「神楽ちゃん…加害者の僕たちが言えるセリフじゃないよね。ごめんなさい。」
「そんなことないよ、こうしてお祝いしてもらえてうれしいよ。」
「人をはねて縁を結ぶのが銀さんの得意技というか、実は、神楽ちゃんと知り合ったのも交通事故がきっかけなんです。」
「美少女ばかり狙う当たり屋ネ。」
「どこに美少女がいるってンだ??あっ名前さんは違うからね、酢昆布娘の事だからね。」
さっきから「お登勢」は笑いが絶えない。
「このサイズだと特注だよね。よくお店引き受けてくれたなあ、どこで予約したの?」
と言った先から気づいたけど、つたない手書きのプレートは多分神楽ちゃんによるものだし、プロの手にしては少し雑なところがある。
でも、素人がこんな巨大なケーキ作れるかな…。