Day1-2 10月10日 夕方 神社前交差点 接触
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
何か、大事になってきた。
私だけが、静かだ。
声が、まだ、出ない。息が、うまく出せない。
あちこちで、フラッシュがパチパチ光ってる、リツイートがどうこう、とか、騒いでる。
あー、撮られてるのか、私。うぜぇぇえええ。
腹立つんだけど。
「すみません、すみません、メイドさん。ごめんなさい。」
メガネをかけた、多分私より年下の男の子は、半ば泣き出しそうな表情で謝罪の言葉を繰り返している。
気まずい。
風に飛ばされた子どもの帽子を追いかけて、道路に飛び出したのは私なのだ。
信号無視したのは、私。
本当に気まずい。
「メイドさん?むやみに女の子の体に触れられねーから、コイツで勘弁な。スカートめくれちまって寒かったよな。
はぁ~、ほんと俺って気がきかねェ。」
ふわふわ頭のお兄さんは頭をかきつつひとしきりぼやいてから、ロングコート的な上着を脱いで、ふんわりと私の体にかけた。
様子を見に来た制服姿の男の人は私を一瞥(いちべつ)すると、お兄さんの服の上に、ずっしりと重くてタバコの香りのする黒い上着をかけてくれた。
二人は、私の顔をのぞき込んでからメガネの男の子に何か指示して、すぐどこかに行ってしまった。
風にさらされて冷えた体がほんのり温まる。
「あぁ…あ、は、はぁい。」
「よかった…お名前、言えますか?わかりますか?」
「名字。名字、名前、で、す。」
「名字、名前さん?救急車がもうすぐきます。しっかりしてください。」
メガネの男の子の声は震えていた。
― ピーポーピーポー、ピーポーピーポー ―
― 道をあけてください、救急車が右に曲がります。道をあけてください…
― ピーポーピーポー、ピーポーピーポー ―
― 救急車が交差点に進入します、道を譲ってください。救急車が交差点に進入…
サイレンの音と進行方向を告げる自動音声が段々大きくなってくる。
救急車が来た。
― ピーポーピーポー、ピーポーピーポー、ピッ。―
「もう大丈夫ですよ、僕、志村、志村新八と言います。」
「しむら…くん?」
私が救急車に乗せられたのはそれから間もなくのことだった。
2014年9月13日UP
私だけが、静かだ。
声が、まだ、出ない。息が、うまく出せない。
あちこちで、フラッシュがパチパチ光ってる、リツイートがどうこう、とか、騒いでる。
あー、撮られてるのか、私。うぜぇぇえええ。
腹立つんだけど。
「すみません、すみません、メイドさん。ごめんなさい。」
メガネをかけた、多分私より年下の男の子は、半ば泣き出しそうな表情で謝罪の言葉を繰り返している。
気まずい。
風に飛ばされた子どもの帽子を追いかけて、道路に飛び出したのは私なのだ。
信号無視したのは、私。
本当に気まずい。
「メイドさん?むやみに女の子の体に触れられねーから、コイツで勘弁な。スカートめくれちまって寒かったよな。
はぁ~、ほんと俺って気がきかねェ。」
ふわふわ頭のお兄さんは頭をかきつつひとしきりぼやいてから、ロングコート的な上着を脱いで、ふんわりと私の体にかけた。
様子を見に来た制服姿の男の人は私を一瞥(いちべつ)すると、お兄さんの服の上に、ずっしりと重くてタバコの香りのする黒い上着をかけてくれた。
二人は、私の顔をのぞき込んでからメガネの男の子に何か指示して、すぐどこかに行ってしまった。
風にさらされて冷えた体がほんのり温まる。
「あぁ…あ、は、はぁい。」
「よかった…お名前、言えますか?わかりますか?」
「名字。名字、名前、で、す。」
「名字、名前さん?救急車がもうすぐきます。しっかりしてください。」
メガネの男の子の声は震えていた。
― ピーポーピーポー、ピーポーピーポー ―
― 道をあけてください、救急車が右に曲がります。道をあけてください…
― ピーポーピーポー、ピーポーピーポー ―
― 救急車が交差点に進入します、道を譲ってください。救急車が交差点に進入…
サイレンの音と進行方向を告げる自動音声が段々大きくなってくる。
救急車が来た。
― ピーポーピーポー、ピーポーピーポー、ピッ。―
「もう大丈夫ですよ、僕、志村、志村新八と言います。」
「しむら…くん?」
私が救急車に乗せられたのはそれから間もなくのことだった。
2014年9月13日UP