Day10 10月19日 夜 定食屋
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一方、土方さんの前にはどんぶりにマヨネーズのようなものが乗った、正確にはマヨネーズをふんだんに使用したマヨネーズのハイクオリティというかマヨネーズがお米と渾然一体…なんだかマヨネーズがゲシュタルト崩壊していく固形物が置かれた。※渾然一体(こんぜんいったい)
マヨネーズは現代の日本人の食生活に欠かせない調味料だ。私もエビマヨは大好きだ。
でも、マヨはあくまでも調味料であって食材ではない。ましてやメインディッシュでもない。
トッピングさせようとしたのってマヨのことだったのか!!
ガンを飛ばしあってた二人は、ようやくどんぶりから手を放した。
彼らにとっての「至高の逸品」に目を奪われ一時休戦に入ったようだ。
「いつもの」に手を付けようと二人が箸を取ったとこまではよかった。
これで落ち着いて食事ができる、やっと定食屋に安息が訪れた。
でも、それは、刹那ではかない一瞬だった。
「おばちゃん、取り皿。」
「おばちゃん、取り皿くれ。」
― 嫌な予感がする…。
「エビと等価交換っーことで好きなだけ食っていいから。手つける前に分けてやるよ。」
「遠慮すんな。なんならミニ丼をおばちゃんに作ってもらうか?もちろん俺のおごりだ、食え。」
― ありがた迷惑だよ!!
おばさんは、
「まずは、一口だけにしたらどうかい?胃の小さいお嬢さんには天丼で精一杯じゃないの?」
と、取り皿とレンゲを各々に配りつつ、すかさず私にウインクしてきた。
彼らは創造主に逆らえないようで素直に従った。
マヨネーズのトッピングオーダーを無視したり、エビを仕入れ過ぎたから天丼にしてほしいと頼んできたのは私をかばうための方便だったんだ。
おばさん…なんていい人なんだ。
二人は、レンゲで物体をすくって取り皿に盛ると
「食え。」
「食え。」
とよこしてきた。
銀さんも土方さんも私をガン見している。
どっちも完食しないと殺される!!
どっちかおいしいって言ったらこの場で殺し合いが始まる!!
全身から冷や汗が噴出してきた。
それからしばらく記憶はない。
宇治銀時丼と土方スペシャルが胃に投入されて体調がおかしくなった私は、定食屋でしばらく休んでから帰ることになったのだった。
「おばちゃんの手前、犬のエサを口に入れさすハメになっちまって悪かったな。」
― うん…、悪かったよ…。
満面の笑みをたたえながら体調を心配してくれる銀さんは、自分が犯人の一人だと全く気づいていない。
「全然そんなことないよ、両方ともおいしかったよ。」
宇治銀時丼の方がおいしかったよ、ってお世辞を言う余裕はなかった。
っていうか言いたくない。
百歩ゆずってあれは食後のスイーツだ。主食とは絶対認めたくない。
「店出たとこで、はっきり言ってやってよかったんだぜ、犬のエサなんて食えたモンじゃありませんってさ。はした金程度で税金泥棒に気ィ使うことたァねーよ。」
上機嫌の銀さんは土方スペシャルが諸悪の根源だと完全に思い込んでる。
一方で土方さんは銀時丼のせいだと決めつけて帰って行った。
ケンカに巻き込まれる形になったおばさんは責任を感じて全部タダにしてくれたけど、おばさんに非はない。
悪いのはマヨラーと糖分王だ。そしてNOと言えなかった私も悪い。
どっちもおいしいとやさしい嘘をついたせいで、二人は対抗するようにおかわりを取り皿によそった。
その場を収めるために片方を残すわけにいかず、私は二種類の丼半分ずつ=銀時丼と土方スペシャルのハーフ&ハーフを完食するハメになってしまったのだった。
そして、一口も手をつけられなかった天丼は、銀さんが食べた。
奇怪な食べ物二種類が胃の中で化学反応を起こしてる…気持ち悪い。
「旨かったろ?」
「そ、そうだね…。」
「いやさ、前髪V字ヤローのせいで、食ったは食ったけど物足りねーっーか。また近いうちに連れてってやるよ。」
「あっ、でも新八くんがお金ないって言ってたからしばらくは家で食べようよ…。」
ヤバい…ヤバいよ!!
全身の血液が胃に集められているみたいで頭がクラクラしてきた。
「次は『銀時丼』な。俺も後味悪ィし名前さんに気分よく食わせてやりてーし。」
「…。銀さん…また気持ち悪くなってきた。」
血の気が引いてくる…。
「あのヤロー…、名前さんの繊細な体を傷つけやがって絶対許せねェ!なんなら毒消しに明日の昼でも食いに行くか?」
「…。」
「名前…?名前さん?オイ!しっかりしろ!!」
次に私が見たものは万事屋の天井と、不安そうにしている神楽ちゃんと、顔をボコボコに腫らした銀さんの姿だった。
2015年4月10日UP
マヨネーズは現代の日本人の食生活に欠かせない調味料だ。私もエビマヨは大好きだ。
でも、マヨはあくまでも調味料であって食材ではない。ましてやメインディッシュでもない。
トッピングさせようとしたのってマヨのことだったのか!!
ガンを飛ばしあってた二人は、ようやくどんぶりから手を放した。
彼らにとっての「至高の逸品」に目を奪われ一時休戦に入ったようだ。
「いつもの」に手を付けようと二人が箸を取ったとこまではよかった。
これで落ち着いて食事ができる、やっと定食屋に安息が訪れた。
でも、それは、刹那ではかない一瞬だった。
「おばちゃん、取り皿。」
「おばちゃん、取り皿くれ。」
― 嫌な予感がする…。
「エビと等価交換っーことで好きなだけ食っていいから。手つける前に分けてやるよ。」
「遠慮すんな。なんならミニ丼をおばちゃんに作ってもらうか?もちろん俺のおごりだ、食え。」
― ありがた迷惑だよ!!
おばさんは、
「まずは、一口だけにしたらどうかい?胃の小さいお嬢さんには天丼で精一杯じゃないの?」
と、取り皿とレンゲを各々に配りつつ、すかさず私にウインクしてきた。
彼らは創造主に逆らえないようで素直に従った。
マヨネーズのトッピングオーダーを無視したり、エビを仕入れ過ぎたから天丼にしてほしいと頼んできたのは私をかばうための方便だったんだ。
おばさん…なんていい人なんだ。
二人は、レンゲで物体をすくって取り皿に盛ると
「食え。」
「食え。」
とよこしてきた。
銀さんも土方さんも私をガン見している。
どっちも完食しないと殺される!!
どっちかおいしいって言ったらこの場で殺し合いが始まる!!
全身から冷や汗が噴出してきた。
それからしばらく記憶はない。
宇治銀時丼と土方スペシャルが胃に投入されて体調がおかしくなった私は、定食屋でしばらく休んでから帰ることになったのだった。
「おばちゃんの手前、犬のエサを口に入れさすハメになっちまって悪かったな。」
― うん…、悪かったよ…。
満面の笑みをたたえながら体調を心配してくれる銀さんは、自分が犯人の一人だと全く気づいていない。
「全然そんなことないよ、両方ともおいしかったよ。」
宇治銀時丼の方がおいしかったよ、ってお世辞を言う余裕はなかった。
っていうか言いたくない。
百歩ゆずってあれは食後のスイーツだ。主食とは絶対認めたくない。
「店出たとこで、はっきり言ってやってよかったんだぜ、犬のエサなんて食えたモンじゃありませんってさ。はした金程度で税金泥棒に気ィ使うことたァねーよ。」
上機嫌の銀さんは土方スペシャルが諸悪の根源だと完全に思い込んでる。
一方で土方さんは銀時丼のせいだと決めつけて帰って行った。
ケンカに巻き込まれる形になったおばさんは責任を感じて全部タダにしてくれたけど、おばさんに非はない。
悪いのはマヨラーと糖分王だ。そしてNOと言えなかった私も悪い。
どっちもおいしいとやさしい嘘をついたせいで、二人は対抗するようにおかわりを取り皿によそった。
その場を収めるために片方を残すわけにいかず、私は二種類の丼半分ずつ=銀時丼と土方スペシャルのハーフ&ハーフを完食するハメになってしまったのだった。
そして、一口も手をつけられなかった天丼は、銀さんが食べた。
奇怪な食べ物二種類が胃の中で化学反応を起こしてる…気持ち悪い。
「旨かったろ?」
「そ、そうだね…。」
「いやさ、前髪V字ヤローのせいで、食ったは食ったけど物足りねーっーか。また近いうちに連れてってやるよ。」
「あっ、でも新八くんがお金ないって言ってたからしばらくは家で食べようよ…。」
ヤバい…ヤバいよ!!
全身の血液が胃に集められているみたいで頭がクラクラしてきた。
「次は『銀時丼』な。俺も後味悪ィし名前さんに気分よく食わせてやりてーし。」
「…。銀さん…また気持ち悪くなってきた。」
血の気が引いてくる…。
「あのヤロー…、名前さんの繊細な体を傷つけやがって絶対許せねェ!なんなら毒消しに明日の昼でも食いに行くか?」
「…。」
「名前…?名前さん?オイ!しっかりしろ!!」
次に私が見たものは万事屋の天井と、不安そうにしている神楽ちゃんと、顔をボコボコに腫らした銀さんの姿だった。
2015年4月10日UP