Day10 10月19日 夜 定食屋
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それからもお妙さんの話をしてると、食べ終わったお客さんが下膳の棚に食器を重ねてから、カウンターに置いてある箱にお金を入れていく。
横目で観察していると、殆どの人はお釣りなし、そうでない人はお札を入れてから小銭を取り、おばさんに「ごちそうさん」と声をかけて出ていった。
常連客と思しき(おぼしき)おじいさんは、自分のテーブル以外も台拭きでキレイにして店を後にした。
愛されている店だなあ。
ピークが終わって客は私と銀さんだけになった。
「ソレどうした?」
後ろの壁に貼ってあるメニューを読むために振り向いたので、髪飾りに気づいたらしい。
「あ~これ?お妙さんと色違いで買ってもらった。こうするとキラキラ光ってかわいいよね。」
私は髪飾りが揺れるように頭を軽く動かしてみせた。
不意に銀さんは、髪に触れた。
大きくて無骨な指で、しきりに髪飾りをもてあそんでいる。
「仲良くなった記念におそろいにしましょうって言ってくれてうれしかった。」
銀さんが髪飾りを揺らすたびに、ゆるめにまとめた髪もかすかに揺れる。
普段から何気なく銀さんは無遠慮に触れてくる。
ぐにーって頬を引っ張ってきたり、昨日は成り行きで手をつないでしまった。
でも、こんなに距離が近かったことはない。
じっと見られてるのは私じゃなくて髪飾りだって自分に言い聞かせるけど緊張する。
「…あの………、もういいかな?」
「ヤベェ、いじりすぎてズレた。」
そう言うと、髪飾りの位置を直しはじめた。
「コレくらいの場所だっけ?」
「もっと上かな?感触的に。」
緩みかけた髪の毛を片方の手でまとめて別の手で挿し直すけど、うまくいかないようだ。
前を向いたままの私は、銀さんのしてることが感覚でしかわからない。
「かえってぐちゃぐちゃになっちゃうってば。ヘーキヘーキ自分で直すから。」
「いいからじっとしてろ。」
「銀さん、くすぐったいよ。」
「動くなってんの。」
収拾がつかなくなったらしく、とうとう銀さんは髪飾りをはずすと全部ほどいてしまった。
「やり方が全然違うってば。」
「こう見えても俺は器用なんだよ~、ここで留めりゃァいいんだろ?ほら出来た。アレ??なんか違うんだけど??」
「かなり違うよ。そうじゃなくて、私の手見て。反対側からこーんな感じでまとめて留めるの。」
さっきから銀さんの手と指がずっと私に触れている。
ヘアカットの担当はずっと女の人で、男のアシスタントさんに髪を洗ってもらうのは苦手なのに。こういう風に髪の毛をいじられても、なぜか嫌じゃない。
多分、それは銀さんだからだ。
普段スプーンを持ったり剣を振るうための手が今、私の髪を手ぐしで梳いてまとめている。
髪が持ち上げられたと思った瞬間、銀さんは、うなじに太い指をスーッとすべらせて後れ毛をすくった。
触れられた部分に熱が伝わってくる。
でも、それは全くの間違いだ。
熱を発しているのは私だ、私の方なんだ。
これ以上はまずい。
本当にまずい。
ふと、油に何か投入される音がした。
どれくらい時間が経ったのだろう。
手が離れた。
「直った?」
「悪ィ悪ィ。」
私たちは何もなかったかのようにさっきの会話に戻る。
「それでゴリラにみえた男の人が『お妙さ~ん、新しいお友達ができたんですか?俺に紹介してください!』て飛び込んできたけど返り討ちにあってた。」
「俺が言った事わかったろ?」
「うん、ものすごく強かった。お妙さんじゃなかったらあんなガタイのいい人撃退できないよ。」
「ゴリラは油断してると家に上がり込みやがるから始末におえねェ。」
「110番して追い払ってもらおうよ。」
「ヤローがポリ公だから話がメンドクセーんだ。」
「ここは銀さんが婚約者のふりをするとか…。」
「とっくにやった。」
おばさんがエビを揚げはじめたところだった。
引き戸が開く音がして、誰かが店に入ってくる。
「あっ…!」
「何でテメーがここにいるんだ!!」
「何でテメーがここにいるんだ!!」
この人、お金をくれたくわえタバコのお兄さんだ。
今日は隊服を着ていない。和服に刀をさげている。
彼に見えないようにカウンターの下でバッグを開き、先日もらった名刺を探す。
「真選組…土方??」
これって偶然?親が幕末歴史マニア?…さすがにそこまで変えられないか。
「チッ、店がニコチン臭くなってきやがった。」
急に銀さんの機嫌が悪くなった。
「うっせーな、どうして俺の行くとこ行くとこテメーがいやがるんだ!オフの日に汚ねーツラ見せるんじゃねーよ。」
土方さんも不愉快な表情をしている。
そういえば初めて出会った時も二人はいがみ合っていた。
余程相性が悪いのだろう。
その割には同じ言葉を口走ってるけど。
横目で観察していると、殆どの人はお釣りなし、そうでない人はお札を入れてから小銭を取り、おばさんに「ごちそうさん」と声をかけて出ていった。
常連客と思しき(おぼしき)おじいさんは、自分のテーブル以外も台拭きでキレイにして店を後にした。
愛されている店だなあ。
ピークが終わって客は私と銀さんだけになった。
「ソレどうした?」
後ろの壁に貼ってあるメニューを読むために振り向いたので、髪飾りに気づいたらしい。
「あ~これ?お妙さんと色違いで買ってもらった。こうするとキラキラ光ってかわいいよね。」
私は髪飾りが揺れるように頭を軽く動かしてみせた。
不意に銀さんは、髪に触れた。
大きくて無骨な指で、しきりに髪飾りをもてあそんでいる。
「仲良くなった記念におそろいにしましょうって言ってくれてうれしかった。」
銀さんが髪飾りを揺らすたびに、ゆるめにまとめた髪もかすかに揺れる。
普段から何気なく銀さんは無遠慮に触れてくる。
ぐにーって頬を引っ張ってきたり、昨日は成り行きで手をつないでしまった。
でも、こんなに距離が近かったことはない。
じっと見られてるのは私じゃなくて髪飾りだって自分に言い聞かせるけど緊張する。
「…あの………、もういいかな?」
「ヤベェ、いじりすぎてズレた。」
そう言うと、髪飾りの位置を直しはじめた。
「コレくらいの場所だっけ?」
「もっと上かな?感触的に。」
緩みかけた髪の毛を片方の手でまとめて別の手で挿し直すけど、うまくいかないようだ。
前を向いたままの私は、銀さんのしてることが感覚でしかわからない。
「かえってぐちゃぐちゃになっちゃうってば。ヘーキヘーキ自分で直すから。」
「いいからじっとしてろ。」
「銀さん、くすぐったいよ。」
「動くなってんの。」
収拾がつかなくなったらしく、とうとう銀さんは髪飾りをはずすと全部ほどいてしまった。
「やり方が全然違うってば。」
「こう見えても俺は器用なんだよ~、ここで留めりゃァいいんだろ?ほら出来た。アレ??なんか違うんだけど??」
「かなり違うよ。そうじゃなくて、私の手見て。反対側からこーんな感じでまとめて留めるの。」
さっきから銀さんの手と指がずっと私に触れている。
ヘアカットの担当はずっと女の人で、男のアシスタントさんに髪を洗ってもらうのは苦手なのに。こういう風に髪の毛をいじられても、なぜか嫌じゃない。
多分、それは銀さんだからだ。
普段スプーンを持ったり剣を振るうための手が今、私の髪を手ぐしで梳いてまとめている。
髪が持ち上げられたと思った瞬間、銀さんは、うなじに太い指をスーッとすべらせて後れ毛をすくった。
触れられた部分に熱が伝わってくる。
でも、それは全くの間違いだ。
熱を発しているのは私だ、私の方なんだ。
これ以上はまずい。
本当にまずい。
ふと、油に何か投入される音がした。
どれくらい時間が経ったのだろう。
手が離れた。
「直った?」
「悪ィ悪ィ。」
私たちは何もなかったかのようにさっきの会話に戻る。
「それでゴリラにみえた男の人が『お妙さ~ん、新しいお友達ができたんですか?俺に紹介してください!』て飛び込んできたけど返り討ちにあってた。」
「俺が言った事わかったろ?」
「うん、ものすごく強かった。お妙さんじゃなかったらあんなガタイのいい人撃退できないよ。」
「ゴリラは油断してると家に上がり込みやがるから始末におえねェ。」
「110番して追い払ってもらおうよ。」
「ヤローがポリ公だから話がメンドクセーんだ。」
「ここは銀さんが婚約者のふりをするとか…。」
「とっくにやった。」
おばさんがエビを揚げはじめたところだった。
引き戸が開く音がして、誰かが店に入ってくる。
「あっ…!」
「何でテメーがここにいるんだ!!」
「何でテメーがここにいるんだ!!」
この人、お金をくれたくわえタバコのお兄さんだ。
今日は隊服を着ていない。和服に刀をさげている。
彼に見えないようにカウンターの下でバッグを開き、先日もらった名刺を探す。
「真選組…土方??」
これって偶然?親が幕末歴史マニア?…さすがにそこまで変えられないか。
「チッ、店がニコチン臭くなってきやがった。」
急に銀さんの機嫌が悪くなった。
「うっせーな、どうして俺の行くとこ行くとこテメーがいやがるんだ!オフの日に汚ねーツラ見せるんじゃねーよ。」
土方さんも不愉快な表情をしている。
そういえば初めて出会った時も二人はいがみ合っていた。
余程相性が悪いのだろう。
その割には同じ言葉を口走ってるけど。