Day9-1 10月18日 午後 遠出
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ちょっと失礼しますと席を立って化粧室でタイムを取る。
メイクを直して、いつもより念入りに手を洗い、鏡の向こうの自分に気合いを入れる。
優しそうに見えるけど山崎さんは策士だ。このままじゃ陥落する。
冷静になって今後の対策を練らないと危険だ。
彼は私の存在に疑いを持っているのは間違いない。
記憶喪失の迷子なのに、一向に親やバイト先から連絡が来ないのを相当怪しいと思っているはずだ。
おととい、指名手配写真の件で私を攘夷志士の仲間扱いするな、と新八くんと神楽ちゃんが抗議していた。
まさか、別世界から来た人間とまでは感づいてないだろう。
でも、私の背後関係を調べようとしてるのは確かだ。
「名字さん、本当はどこから来たの?」
その質問だけは言わせちゃだめだ。
連行されて、よくわからない病院に閉じ込められるかよくわからない研究機関に送られてよくわからない人体実験の材料にされてしまう。
事情聴取の訓練を受けたプロに嘘はつけない。確実に矛盾点を突いてくる。
だって、ドラマの刑事は「あと一つだけ。」とか「あと三分だけ時間をください。」と絡んで、カマをかけて犯人を追いつめるのだ。
口車に乗っちゃいけない。さっさと話を切り上げなければ。
何か聞かれても、思い出そうとすると頭が痛くなるとかで乗り切ることにしよう。
化粧室から戻ってきたら、山崎さんは飲み物のお代わりを頼もうと手をあげたところだった。
作戦開始だ。
「今、何時ですか?」
と注文を取りに来たウェイターさんに尋ねる。
「XX時XX分です。ごゆっくりおくつろぎください。」とウェイターさんは、必要最低限の回答をする。
もうひと押しだ!!
「あー、もうこんな時間になってる。」
と残念そうにつぶやけば、圧倒的不利な形勢をイーブンに戻せるはずだ。
「雨が止むまでいるつもりだったけど、そろそろ帰ろうか、あんまり引き留めたら、俺、旦那に消されるよ…。」
作戦は成功し、あっさりカフェを出ることに決まった。
あとは万事屋までの道のりに行われる聴取を適当にかわせばいい。
モール内のコンビニで彼はビニール傘を二つ買おうとしたけど、すぐに晴れそうだし送ってくれるなら十分と言って一つの傘で帰ることにした。
雨は、傘を閉じると気になる程度にぽつぽつ降っている。
止みそうで、なかなか止まない。
交差点をわたってすぐ
「よぉ、お二人さん。」
「…銀さん?」
大き目の傘を差した銀さんに声をかけられた。偶然仕事先が近くだったらしい。
「これで俺は用済みかな、じゃ、旦那、後はよろしくお願いします。名字さん、今日は付き合ってくれてありがとう。」
山崎さんは、銀さんの傘にシフトした私にメガネショップの紙袋を手渡した。
「こちらこそありがとうございました。買ってもらったメガネ、大切にします。」
「元はと言えば俺が悪いんだけど、そう言ってもらえると助かるよ。」
「あと、ごちそうさまでした、ケーキおいしかったです。」
「よかったら、また会ってもらえるかな?俺、名字さんともっと話がしたいし…
銀さんは最後まで言わせずに山崎さんの話をさえぎった。
「ジミーくん、うちの娘(こ)にデートを申し込むなら、まず事務所社長兼プロデューサーの俺の許可を得てからにしてくれない?っーか許可出すワケないのわかって聞いてるんだよな?」
「今日は朝から事務所とかプロデューサーとか全然意味不明なんだけど。」
「事務所は万事屋に決まってんだろ、帰るぞ。」
「じゃあ、名字さん、またね。」
「山崎さん、ありがとうございました。ちょっと銀さん、待って!」
銀さんはあいさつもそこそこにスタスタ歩いていってしまうのでついていくしかない。
でも、キリが悪い所で別れたのが心残りで、少し歩いた所で袖をつかんで止まるようお願いした。
振りむくと、山崎さんはまだ見送ってくれていた。
私が手を振ると彼も笑顔で手を振り、反対の方向へ歩いて行った。
「仕事の帰り?」
「まあな。」
傘の位置が高くて、山崎さんより銀さんは背が高いんだなと思った。
「傘持ってけって言ってくれればよかったのに、今日は何の仕事?」
「あーアレだ。ボディーガードを頼まれちまって。」
「そっかー、あの時強くてかっこよかったなー。映画のヒーローみたいにかっこよかった!!」
私は昨日目撃した剣のすご腕をほめまくった。
すると、照れ隠しなのか、銀さんは傘を持ってない方の手で自分の頭をわしゃわしゃかくと、
「そーか?そんなにカッコよかった?」
と、かなりうれしそうに言ってから、しばらく下ネタに近いオヤジギャグを飛ばしていた。
多分、銀さんは強いのが当然と思われてるので、普段全然ほめられてないのだろう。
メイクを直して、いつもより念入りに手を洗い、鏡の向こうの自分に気合いを入れる。
優しそうに見えるけど山崎さんは策士だ。このままじゃ陥落する。
冷静になって今後の対策を練らないと危険だ。
彼は私の存在に疑いを持っているのは間違いない。
記憶喪失の迷子なのに、一向に親やバイト先から連絡が来ないのを相当怪しいと思っているはずだ。
おととい、指名手配写真の件で私を攘夷志士の仲間扱いするな、と新八くんと神楽ちゃんが抗議していた。
まさか、別世界から来た人間とまでは感づいてないだろう。
でも、私の背後関係を調べようとしてるのは確かだ。
「名字さん、本当はどこから来たの?」
その質問だけは言わせちゃだめだ。
連行されて、よくわからない病院に閉じ込められるかよくわからない研究機関に送られてよくわからない人体実験の材料にされてしまう。
事情聴取の訓練を受けたプロに嘘はつけない。確実に矛盾点を突いてくる。
だって、ドラマの刑事は「あと一つだけ。」とか「あと三分だけ時間をください。」と絡んで、カマをかけて犯人を追いつめるのだ。
口車に乗っちゃいけない。さっさと話を切り上げなければ。
何か聞かれても、思い出そうとすると頭が痛くなるとかで乗り切ることにしよう。
化粧室から戻ってきたら、山崎さんは飲み物のお代わりを頼もうと手をあげたところだった。
作戦開始だ。
「今、何時ですか?」
と注文を取りに来たウェイターさんに尋ねる。
「XX時XX分です。ごゆっくりおくつろぎください。」とウェイターさんは、必要最低限の回答をする。
もうひと押しだ!!
「あー、もうこんな時間になってる。」
と残念そうにつぶやけば、圧倒的不利な形勢をイーブンに戻せるはずだ。
「雨が止むまでいるつもりだったけど、そろそろ帰ろうか、あんまり引き留めたら、俺、旦那に消されるよ…。」
作戦は成功し、あっさりカフェを出ることに決まった。
あとは万事屋までの道のりに行われる聴取を適当にかわせばいい。
モール内のコンビニで彼はビニール傘を二つ買おうとしたけど、すぐに晴れそうだし送ってくれるなら十分と言って一つの傘で帰ることにした。
雨は、傘を閉じると気になる程度にぽつぽつ降っている。
止みそうで、なかなか止まない。
交差点をわたってすぐ
「よぉ、お二人さん。」
「…銀さん?」
大き目の傘を差した銀さんに声をかけられた。偶然仕事先が近くだったらしい。
「これで俺は用済みかな、じゃ、旦那、後はよろしくお願いします。名字さん、今日は付き合ってくれてありがとう。」
山崎さんは、銀さんの傘にシフトした私にメガネショップの紙袋を手渡した。
「こちらこそありがとうございました。買ってもらったメガネ、大切にします。」
「元はと言えば俺が悪いんだけど、そう言ってもらえると助かるよ。」
「あと、ごちそうさまでした、ケーキおいしかったです。」
「よかったら、また会ってもらえるかな?俺、名字さんともっと話がしたいし…
銀さんは最後まで言わせずに山崎さんの話をさえぎった。
「ジミーくん、うちの娘(こ)にデートを申し込むなら、まず事務所社長兼プロデューサーの俺の許可を得てからにしてくれない?っーか許可出すワケないのわかって聞いてるんだよな?」
「今日は朝から事務所とかプロデューサーとか全然意味不明なんだけど。」
「事務所は万事屋に決まってんだろ、帰るぞ。」
「じゃあ、名字さん、またね。」
「山崎さん、ありがとうございました。ちょっと銀さん、待って!」
銀さんはあいさつもそこそこにスタスタ歩いていってしまうのでついていくしかない。
でも、キリが悪い所で別れたのが心残りで、少し歩いた所で袖をつかんで止まるようお願いした。
振りむくと、山崎さんはまだ見送ってくれていた。
私が手を振ると彼も笑顔で手を振り、反対の方向へ歩いて行った。
「仕事の帰り?」
「まあな。」
傘の位置が高くて、山崎さんより銀さんは背が高いんだなと思った。
「傘持ってけって言ってくれればよかったのに、今日は何の仕事?」
「あーアレだ。ボディーガードを頼まれちまって。」
「そっかー、あの時強くてかっこよかったなー。映画のヒーローみたいにかっこよかった!!」
私は昨日目撃した剣のすご腕をほめまくった。
すると、照れ隠しなのか、銀さんは傘を持ってない方の手で自分の頭をわしゃわしゃかくと、
「そーか?そんなにカッコよかった?」
と、かなりうれしそうに言ってから、しばらく下ネタに近いオヤジギャグを飛ばしていた。
多分、銀さんは強いのが当然と思われてるので、普段全然ほめられてないのだろう。