Day9-1 10月18日 午後 遠出
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「すごくうらやましいです~。でも、全然大丈夫なんで、私の方は気持ちだけでうれしいです!」
彼は頭をかきながら照れ笑いをしている。
こういうのって、いいなあ。
ウインドーショッピングで十分満足した様子をみると、山崎さんはメガネショップに連れて行った。
お店の標準価格帯は、自分が持ってたのよりはるかに高級で恐縮してしまう。
メガネは候補を三種選んで、スポンサーの山崎さんに最終的に選んでもらった。
それと会計の際に彼は店員さんにラッピングを頼んだ。
そこまでしてくれなくてもいいのにと思ったけど、病院でこっぴどく叱られて縮こまってた姿が思い浮かぶ。
相当気にしてたんだろうな。
引き渡しまでの待ち時間に、山崎さんのメガネ姿が見たかったのでお願いしたらいくつかかけてくれた。
不思議なことに、彼はメガネをかけると個性というか属性が変わってしまう。
地味なベースなのでフレームによっては完全に別人だ。
山崎さんを物に例えると、イラストを数十秒凝視したあと記憶しているものを書きだす知能テストで、忘れられてしまうアイテム、と表現すればいいだろうか。
でも、個性が地味な分山崎さんは気配りのエキスパートだ。
会うのが三回目なのに、こわいぐらい私の趣味嗜好や行動パターンを把握している。
メガネを買った後はカフェで疲れた足を休めようと誘ってくれた。
彼は席につくとすぐに、ケーキのサンプルを持ってくるよう伝えた。
シルバーのプレートには、定番品と季節のスイーツが一通り揃っている。
ああ~、みんなにケーキのおみやげ買って帰りたい、きっと喜んでくれるだろうな。
でもお金がない…。
そうだ!いいことを思いついた!
財布に収まっている「日本銀行券」つまり「お札」を骨董屋に売ればいい。
日本の紙幣は世界一偽造が難しい精巧な技術で作られていて、使用されてる和紙は世界遺産に登録されたばかりだ。
絶対高く売れるのは間違いない、換金しよう。
寄ってもらうよう頼もう。
「名字さん、どれもおいしそうで迷っちゃった?」
― ハッ。
この人は警察だ。
お札を一通りチェックしたら、必ず
「コレ、どこで手に入れたのかな?」
って尋問される。
そうしたら、押収されて、お札を各国の通貨と照合される。
当然、どこの国にもあてはまらないだろう。
で、
「君、本当はどこから来たの?」
に展開したら目も当てられない。
屯所に連行されて事情聴取される。
ー この人の前で鑑定してもらっちゃダメだ。
とっさに作り笑いをしたら、どのケーキにしようか迷い中と思ってくれたようだった。
「全部食べたそうな顔してるね。」
私の様子をずっと観察していたらしく笑っている。
「女の子は誰でもこんな感じですよ…。」
迷いに迷って私はモンブランとカフェラテを注文し、山崎さんは「彼女と同じものを」と注文した。
しばらくすると、崩すのがもったいない位キレイなモンブランとセンスのいいカップに入ったカフェラテが運ばれてきた。
撮りたかったけどバッテリー切れなので記憶に残そうとじっと見てたら、「俺、食べてもいいかな?」って明るく声をかけられた。
私が手をつけるのを待ってたらしい。で、私たちはようやく食べることになった。
カフェに入ってからの私の反応が面白いのか、ケーキが半分ぐらいなくなったところで、彼はプレートを持ってこさせ、もう一個頼むように勧めてきた。
こういうのって温かく見守られてるっていうのかな…むしろ遊ばれてる気もしないでもない。
一瞬断ろうかと思ったけど逆に失礼にあたりそうなので、さっき迷って頼まなかったのを注文した。
ここはバイトしているお店とコンセプトが異なるけど、雰囲気がよくて長居したくなるカフェだ。
夏はオープンカフェになるよう通路側がガラス張りなので、今は通りを行き交う人々と向かいのショップが見える。
私でさえ結構なもてなしを受けてるのだから、彼女さんはお姫様待遇なんだろうな~とか、浅はかな思考に陥っていた私は、モンブランが手なずけるためのエサで、二つ目のケーキが巧妙に仕掛けられたワナだということを全く気付かずに会話を続けていたのだった。
ケーキの高揚が落ち着き正気に戻ると、私はいつの間にか山崎さんにプライベートをあらいざらい打ち明けてしまった自分に気づいた。
なんだかよくわからないうちに、先月学校の手前の坂道がゲリラ豪雨で川みたいになって靴をダメにした事とか、ディズニーランドで一日中遊びまくってた事とか、いとこが飼ってる犬の種類までペラペラとしゃべっている。
ほぼ初対面なのに異様なくらい気を許してしまっている。
ー 忘れちゃいけない。
この人は真選組と呼ばれる警察の一員だ。
巧みに自供を引き出す「落としのプロ」だ。
今のペースでは、自分が別世界からやってきたことまで白状してしまう。
彼は頭をかきながら照れ笑いをしている。
こういうのって、いいなあ。
ウインドーショッピングで十分満足した様子をみると、山崎さんはメガネショップに連れて行った。
お店の標準価格帯は、自分が持ってたのよりはるかに高級で恐縮してしまう。
メガネは候補を三種選んで、スポンサーの山崎さんに最終的に選んでもらった。
それと会計の際に彼は店員さんにラッピングを頼んだ。
そこまでしてくれなくてもいいのにと思ったけど、病院でこっぴどく叱られて縮こまってた姿が思い浮かぶ。
相当気にしてたんだろうな。
引き渡しまでの待ち時間に、山崎さんのメガネ姿が見たかったのでお願いしたらいくつかかけてくれた。
不思議なことに、彼はメガネをかけると個性というか属性が変わってしまう。
地味なベースなのでフレームによっては完全に別人だ。
山崎さんを物に例えると、イラストを数十秒凝視したあと記憶しているものを書きだす知能テストで、忘れられてしまうアイテム、と表現すればいいだろうか。
でも、個性が地味な分山崎さんは気配りのエキスパートだ。
会うのが三回目なのに、こわいぐらい私の趣味嗜好や行動パターンを把握している。
メガネを買った後はカフェで疲れた足を休めようと誘ってくれた。
彼は席につくとすぐに、ケーキのサンプルを持ってくるよう伝えた。
シルバーのプレートには、定番品と季節のスイーツが一通り揃っている。
ああ~、みんなにケーキのおみやげ買って帰りたい、きっと喜んでくれるだろうな。
でもお金がない…。
そうだ!いいことを思いついた!
財布に収まっている「日本銀行券」つまり「お札」を骨董屋に売ればいい。
日本の紙幣は世界一偽造が難しい精巧な技術で作られていて、使用されてる和紙は世界遺産に登録されたばかりだ。
絶対高く売れるのは間違いない、換金しよう。
寄ってもらうよう頼もう。
「名字さん、どれもおいしそうで迷っちゃった?」
― ハッ。
この人は警察だ。
お札を一通りチェックしたら、必ず
「コレ、どこで手に入れたのかな?」
って尋問される。
そうしたら、押収されて、お札を各国の通貨と照合される。
当然、どこの国にもあてはまらないだろう。
で、
「君、本当はどこから来たの?」
に展開したら目も当てられない。
屯所に連行されて事情聴取される。
ー この人の前で鑑定してもらっちゃダメだ。
とっさに作り笑いをしたら、どのケーキにしようか迷い中と思ってくれたようだった。
「全部食べたそうな顔してるね。」
私の様子をずっと観察していたらしく笑っている。
「女の子は誰でもこんな感じですよ…。」
迷いに迷って私はモンブランとカフェラテを注文し、山崎さんは「彼女と同じものを」と注文した。
しばらくすると、崩すのがもったいない位キレイなモンブランとセンスのいいカップに入ったカフェラテが運ばれてきた。
撮りたかったけどバッテリー切れなので記憶に残そうとじっと見てたら、「俺、食べてもいいかな?」って明るく声をかけられた。
私が手をつけるのを待ってたらしい。で、私たちはようやく食べることになった。
カフェに入ってからの私の反応が面白いのか、ケーキが半分ぐらいなくなったところで、彼はプレートを持ってこさせ、もう一個頼むように勧めてきた。
こういうのって温かく見守られてるっていうのかな…むしろ遊ばれてる気もしないでもない。
一瞬断ろうかと思ったけど逆に失礼にあたりそうなので、さっき迷って頼まなかったのを注文した。
ここはバイトしているお店とコンセプトが異なるけど、雰囲気がよくて長居したくなるカフェだ。
夏はオープンカフェになるよう通路側がガラス張りなので、今は通りを行き交う人々と向かいのショップが見える。
私でさえ結構なもてなしを受けてるのだから、彼女さんはお姫様待遇なんだろうな~とか、浅はかな思考に陥っていた私は、モンブランが手なずけるためのエサで、二つ目のケーキが巧妙に仕掛けられたワナだということを全く気付かずに会話を続けていたのだった。
ケーキの高揚が落ち着き正気に戻ると、私はいつの間にか山崎さんにプライベートをあらいざらい打ち明けてしまった自分に気づいた。
なんだかよくわからないうちに、先月学校の手前の坂道がゲリラ豪雨で川みたいになって靴をダメにした事とか、ディズニーランドで一日中遊びまくってた事とか、いとこが飼ってる犬の種類までペラペラとしゃべっている。
ほぼ初対面なのに異様なくらい気を許してしまっている。
ー 忘れちゃいけない。
この人は真選組と呼ばれる警察の一員だ。
巧みに自供を引き出す「落としのプロ」だ。
今のペースでは、自分が別世界からやってきたことまで白状してしまう。