Day8 10月17日 昼 万事屋 留守番
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ということは、豪邸を何軒も所有する富豪なのだろう。
でも、わざわざ部下に変装させて見舞いによこすなんていたずら好きにも程がある。
セレブの酔狂は理解できない。
昼食をみんなで囲んでいると、バラエティ番組が緊急報道番組に切り替わった。
― この顔にピンときたらスグに警察にお電話ください。―
「あっ…。」
「次の留守番から外に出れねーように首輪つけて縄で縛ってくからな。着物に首輪?どっちかーっーとメイド服に首輪の方が…」
「銀ちゃん絶対やらしい事考えてるアル、罰としてその蕎麦寄こすアル。」
「そんな事言うと本当に嫌われちゃいますよ!よかった…名前さん聞いてなくて。神楽ちゃん僕のお皿だよ!自分のまだあるでしょ!!」
「どんだけ平和な町に住んでたのか知らねーけど、マジで危なっかしーんだよ。名前さんは、どーにも自分の商品価値わかってねーフシがあるんだよな~。まあ俺としては自意識過剰な女は苦手っー……テメーら話聞けよ!」
「名前ちゃん蕎麦食べないアルか?嫌いアルか?」
「どうやら、あの人のニュースに夢中みたいだよ。ちょっと神楽ちゃんそれ僕の!」
― ……目印はうざったい長髪。死語を交えたオヤジギャグで話しかけてきます。なお、この時間は通常プログラムを変更してお送りしております。―
花野アナの憎しみのこもったナレーションをバックに容疑者の手配写真が映っている。
― 複数の容疑で指名手配中の桂小太郎容疑者は、先ほどかぶき町付近で目撃されたため、現在付近一帯では緊急配備を敷いていますが、依然として逃亡を続けており、真選組では防犯カメラの解析をすすめると共に、市民に広く情報提供を呼び掛けています。―
あの写真は昨日山崎さんが見せてくれた。
サラサラヘアーでヅラ疑惑の残念イケメンさん。
― …110番するか最寄りの交番へ通報してください。えー、たった今新しい情報が入りました、ここで現場からの中継です、かぶき町にはレポーターの… -
そういえば、さっきの変態執事も長髪ストレートだった。
― キャプテンカツーラ様じゃなくて「桂田」様だ。
男の言葉がよみがえる。
― キャプテンカツーラ様じゃなくて、桂だ。
まさか。
― 桂だ。
桂、小太郎?!
身長、細見の体型、髪型が、特徴にことごとく当てはまっている。
指名手配犯が銀さんの親友…?
「ヅラ」は「カツラ」じゃなくて「桂」?!
まさか。
ないないない。
まさか、ね。
「蕎麦おいしかったアル。おかわりアルか?」
神楽ちゃんの一言で私はテレビから引き戻された。
「テメーが全部食っちまったろ。」
テーブルには蕎麦を盛ってたはずの空のざるしかなかった。
中途半端な長さに切れてふやけた一本の蕎麦すら残っていない。
薬味の皿すらきれいになっていた。
「ひどいよ!!私がもらった蕎麦なのに…!」
「お客さん扱いはシメーだって言ったろ?テレビばっか見てねェでちったあ食事に集中しろ。」
銀さんはようじをくわえていたけど、私の反論を封じるように再び説教を始めた。
「名前さん、食事時にボーっとしてたら万事屋で生き抜いていけませんよ。特に大皿料理はあっという間になくなってしまうんです。この人たちに何を言っても聞かないんで自力で確保しなきゃダメですよ。ごちそうさまでした!」
新八くんは両手を合わせてからそそくさと食器を重ね台所へ運んでいく。
「だってさっきテレビに…あっCMになってる。」
「また留守番お願いしますね。すみません、時間がないので食器洗ってもらえますか?じゃ、行ってきまーす。」
「神楽ちゃん、さっきの桂田さんって桂容疑者と関係あ…
「神楽~遅いぞ~!」
「今行くアル~。」
みんなはあわただしく午後の仕事に出かけて行った。
CMが終わり特別番組が再開した。
かぶき町からレポーターが中継している。
さっきの自称執事が「狂乱の貴公子」??
大声を出されないよう口をふさいだのは逃亡中の身と解釈するとふに落ちる。
変装したのも偽名を使ったのも正体をばらしたくないからだ。
指名手配犯と幼なじみ…、っていうか銀さんって何者?
もしかして万事屋は裏の仕事も引き受けてるの?
まさか…。
まさか、ね。
「ピンポーン。」
また、玄関のチャイムが鳴った。
「こんにちは~、いらっしゃいますか~?」
ドンドンと戸を叩く音がする。
「坂田さんにクール便のお届け物です。坂田さーん。」
2015年3月6日UP