Day8 10月17日 昼 万事屋 留守番
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「ところで、名前殿は元気であらせられるのか?」
「………。」
「あの、私は留守番で、名字名前さんの詳しい事はよく知らないのですが、元気みたいですよ。」
「そ、そうか……、貴殿は確か、留守を預かる者であったな。」
「落ちこんだりもしたけど、私は元気です…、って言ってたらしいです。」
「それは朗報だ。カツーラ、ヅラじゃない桂だ…様もお喜びになるだろう。」
ふーん、キャプテンカツーラ様は通称で本名は「桂田」さんか。
桂田さん、こんな変態はクビにした方があなたのためだと思います。
「もう一つ伺いたいのだが。」
「はい?」
「バッグが名前殿のお手元に届いたか知ってはいまいか?」
よく知ってるなー。
銀さんと桂田さんはどうでもよさそうな事まで情報共有しているようだ。
長電話は見た事ないから、二人でファミレスに何時間もいるんだろうか、女子力高いな。
「はい、中身は何も盗られてなくて嬉しかった…みたいです。」
「キャプテンカツーラ様じゃない桂だ…様によい報告が出来そうだ。感謝する。」
「あのー、もういいですか?」
「名前殿によろしく伝えてくれぬか?」
しつこいよ!!ドラマの刑事かこの人は。
「カツーラ様はこれからも心強い味方であると。」
「はい、一応伝えます、本当にご苦労様でした!!」
私はとっとと戸を閉めて鍵をかけ、ほうきをつっかえ棒にして、布団を取り入れ窓を全部閉めた。
何なのあの人!!
とは言え、私はちゃっかりお見舞いの贈り物を取り入れるのを忘れてはいなかった。
包装紙には、「北斗心軒」のロゴが印刷されている。
以前、店の前を通ったことがある。おいしいラーメン屋さんらしい。
でも、
中身は「生蕎麦」だった。
あの店、「蕎麦」もやってるんだ
っていうか、お見舞いが「蕎麦」?
もしかして私が万事屋に引っ越したから「引っ越し蕎麦」??
あーどうでもいい!とりあえずお湯沸かそう。
既に炊飯器のタイマーは作動し、湯気といい匂いがたちこめている。
そろそろみんなが帰ってくる時間だ。
「帰ったぞ~。」
「ワン!」
「ただいま帰りましたー、アレ?開きませんよ。」
戸をガタガタゆする音がする。
「開かないアルか、任せるアル。」
「オイ、お前がやると壊すから止めろ!コラ、止めろって!」
「待って、今つっかえ棒外す……。お帰りなさい。」
三人と一匹が慌ただしく入ってきて急に部屋がにぎやかになった。
「おー、いい匂いすんなー。」
おなかが空いているのか、早速銀さんが台所にやってきて食材に目をつけてくる。
「頂きものしたから追加メニューがあるよ。」
「つっかえ棒してお留守番ってか~、俺がいなくてよっぽど怖かった?へぇー、蕎麦は誰からもらった?ババア?」
「銀さんのお友達の執事みたいな人がくれた。」
「オイ…、まさか戸開けたのかよ!!」
「クール便だから早く受け取らなくちゃって思って。でもでも、いなくなって数分たってから開けたよ。」
「ハア?どんだけいいつけ守れねーんだよ!!全く無事でいたからよかったものを。で、何でソイツが宅配業者のくせに俺のダチだってわかったんだ?」
「いなくなったってのは嘘で、宅配の人のふりして待ち構えてた執事さんと直接話した。」
私はげんこつをくらった。
「ガキ以下じゃねーか!!オイ、俺に言うことあんじゃねーの?」
「だからごめんなさ、痛い、痛
銀さんは頬をぐにーって引っ張ってガンガン叱ってくる。
抱きつかれたって知られたら火に油を注ぐから黙っておこう。
「で、ソイツがくれたのが蕎麦ってワケか?知らねェヤローから食いモンもらうなって寺子屋で教わんなかった?こりゃ当分一人歩きはさせらんねーな。」
「もうしないから、痛、痛いよ。」
「まあまあ、これくらいにおきましょうよ。」
「おなかすいてるからってイライラし過ぎネ。あと3分でごはん炊けるアル。」
二人がとりなしてくれたおかげで銀さんの体罰はようやくストップした。
本気でやられて頬が鈍く痛む私を新八くんが気づかって話題を少し変えてくれた。
「ところで名前さん、銀さんの知り合いって誰だったんですか?」
「桂田さん。」
「?」「?」「?」
三人に心当たりはないようだ。
「キャプテンカツーラさんって知ってる?その人の執事だって言ってた。」
三人は一斉に吹き出した。神楽ちゃんは床を転げまわって爆笑してる。
「えっ、そんなにすごい人なの桂田さん?」
「銀ちゃんのダチアル。」
「あの人のくれた物なら大丈夫ですよ。」
「さーて、お湯沸かすか。」
「もう沸くところだよ、で、何やってる人なの?」
銀さんは質問を無視して洗面所に行ってしまった。
神楽ちゃんはまだ床に転がって思い出し笑いをしている。
部下がああいう人だから桂田さんも変わった人なんだろう。
友だちにはなりたくないけど一度会ってみたいな。
先に手を洗った新八くんが台所に戻ってくる。
「僕も手伝います、何かすることありますか?」
「薬味用意しようか。神楽ちゃん~、つまみ食いの前に手洗ってきなよ。」
「グラグラしてるアル。入れていいアルか?」
神楽ちゃんなら答えてくれるかな?
「桂田さんはどういう身分の人なの?」
「江戸のいたるところにねぐらを持つ男ネ。」