Day5-2 10月14日 昼 万事屋
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「まずは銀ちゃんから模範を示すネ。」
ジャンプを神楽ちゃんから取り上げた銀さんはもう一つの束を完成させると、ふざけた様子で神楽ちゃんをあしらう。
「えっ、何?例の曲でも歌えばいいの?俺、うろ覚えでよければ歌うけど、『あり…
「歌は必要ないアル。名前ちゃんの前で鼻毛抜けヨ。」
銀さんは凍りついた。
「オイぃぃぃ!いきなりなんてこと言うんだよ!無理無理無理!!それだけは絶対勘弁して、ほら、300円あげるから、300円。」
財布を取り出した銀さんは小銭を探したが、持ち合わせがない様で千円札を探し始めた。
「じゃあ名前ちゃんの前でオナラしろヨ。」
「神楽ァァァ!!図に乗ってるんじゃねーぞ!!」
「ちょっといいとこ見せようとしてもムダアル。年頃の男はすぐ色気づきやがって、これだからモテねーんだヨ、お前らは。」
「何で『お前ら』なんだよ、さらっと僕まで含めないでよ。」
「バレンタインデーのチョコが身内以外ゼロだったヤツに反論の権利ないアル。」
ひどいよ神楽ちゃん…。
銀さんはやれやれといった表情で、束ねた資源ごみを両手にぶらさげ、振り切るように玄関に行こうとした。
「銀ちゃん~。」
神楽ちゃんがドス黒い笑みを浮かべながら両手を後ろに隠して、いかにも聞いてほしそうに近づいてくる。
「だから今度は何だってんだよ!」
手には銀さんが崇拝している結野アナのフィギュアが握られていた。
「神楽ァァァ!!神聖な結野アナに汚ねー手で触るんじゃねェェェ!!」
「引き出しにフィギュアをコソコソ隠すのやめるアル。定位置に戻すネ。」
銀さんは新聞とジャンプの束を放り投げると神楽ちゃんにつかみかかった。
「結野アナのファンで何が悪いアル?フィギュア飾って毎日拝んでる痛いファンで何が悪いアルか?銀ちゃん、ありのままを見せるネ!」
「痛いとか言うんじゃねェェェ!!俺の結野アナを返せェェェ!!」
神楽ちゃんはひょいひょい動くので銀さんはなかなかフィギュアを奪取できない。
「パチ恵~!」
「だからパチ恵って誰だよ。」
「パチ恵はお通ちゃんの抱き枕持ってこいヨ。」
「オイぃぃぃ!!」
「ちょっとちょっと三人で取っ組み合いして何が起きたんですか?」
僕たちはケンカに夢中で定春が鳴いて名前さんが帰ってきたのに、全く気付かなかったのだった。
とりあえず苦笑いするしかない。
「何っーか、これが俺たちの日常っーか。」
「ありのままネ。」
名前さんは銀さんのモジャモジャにされた髪型がおかしいのか、僕たちにあきれはてたのか大笑いを始めた。
恥ずかしいな…。
「あの…名字さん、いつもはこんなにひどくないんで、せめて僕だけは、嫌わないでください。」
「一人だけカッコつけてんじゃねーよボケ!!」
「一人だけカッコつけてんじゃねーよボケ!!」
ごめんなさい…。
一番カッコつけてたのは僕だった。
そう思ったのと、僕の体が宙に浮いて壁の方に飛んでいったのはほぼ同時だった。
2015年1月19日UP