Day5-1 10月14日 真選組屯所 副長室
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「桂は通行人を装い、運び屋の名字名前と接触しようとした。おおかた道でも聞くふりをして、数列、つまり暗号とバッグの中身を受け取る手はずだったんだろう。だが、女は万事屋にはねられ、現場は大騒ぎになった。偶然俺たちも居合わせた。そこで、桂は暗号の受け取りをあきらめバッグごと回収して逃げたってシナリオだろーな。」
「俺も同意見です。彼女が運び屋にしては、やけに目立つ服装をしていた以外、現時点で否定できる材料はありませんね。本当に残念です。」
「本当に残念だァ?テメーまた監視対象者にホレたのか?万事屋ンとこのからくりで散々懲りたばかりだろーが!私情で手加減する悪い癖は直せ。」
「副長…、まだ癒えてないキズに触れるのやめてくださいよ~。同じミスは二度としませんってば。そりゃ、感じのいいお嬢さんだって思ったのは認めま…
「テメーの女の趣味をいちいち聞いてる暇はねーんだよ!!とにかくだ。もはやコイツはただの『記憶喪失のお嬢さん』じゃねェ。なあ総悟、昼寝のフリして聞いてるンだろ?」
振り向くといつの間にか、沖田隊長が例の他人をおちょくったアイマスクをして寝ころんでいた。
隊長は、隠密を生業(なりわい)とする俺でも感知できないくらい、気配を消して近づいてくるから、絶対に敵にまわしたくない。
「……。」
沖田隊長は目下「昼寝」中だ。
「オイ起きろ!見舞いの挨拶もそこそこにミスドの半額セールに並んだテメーが、些末な事故に関心を持つとは随分と仕事熱心だな。」
隊長はアイマスクをずり上げると、嫌々そうに起き上がる。
「おとつい、屯所に罰金払いに来た旦那にでくわしたんで、詳しい話聞かせてもらったんでさァ。巷(ちまた)で人気急上昇中の名字さんについて、とっておきの情報がありやすぜィ。」
「ヤローが真選組に協力するとかありえねーんだけど。」
「土方さん、聞きたくないんなら、俺は公務に戻るんで。」
再び、わざとらしく横たわろうとするのを副長がにらみつけたので、沖田隊長は渋々寝るのをやめて話を続けた。
「それじゃァ、一言も聞き洩らさねーように耳の穴かっぽじって、よぉく聞いてくだせィ。」
「『彼女をはねるつもりはなかった。とても反省している。代わりに土方の野郎を始末すりゃァよかった。チッ、しくじった。』って言えば300円くれるって言ってやした。」
副長が不機嫌になった。
「総悟、くだらねーゴタク並べる暇あったら口つぐんで寝ろ。」
「じゃぁ、寝る前にもう一つだけ。」
「名字さんが『私の代わりに土方さんがマヨまみれになって死ねばよかったのに死ね土方コノヤロー』ってギャーギャーわめいてたそうですぜィ。」
結局いつものパターンかよ。
「与太話はシメーだ!もう寝ろ!…じゃねェ。総悟!さっさと仕事に戻りやがれ!」
隊長は、ぐいーんと体を伸ばしてから立ち上がり、隊服の乱れを直すと、
「ヘェイ、でもあの鈍臭ェ娘を手駒にするほど、桂も落ちぶれたとは思えないんでさァ。俺はシロとふみますがねィ。」
と言い残すと、「公務」に戻るべくどこかに行ってしまった。
「ったく、とっつあんと近藤さん待たせてる貴重な時間をガセネタで使っちまった。ザキ、どこまで話したっけ?総悟はロクな情報持ってきやしねー。」
「名字さんの経歴の一切が不明であること、桂が何らかの目的でバッグを持ち去ったこと、そして、先日押収した謎の数列表と彼女が電話番号として申告した数字に暗号の疑いがあること、以上です。」
「そういや、名字名前のメガネ潰したろ?アレはどう始末つけたんだ?」
いつの間にか呼び捨てになってるよ…、完全に容疑者扱いだな。
「事故の翌日お詫びに行ったら寝込んでたんで面会はあきらめました。今朝も万事屋に寄ってきましたが、新八くんが、記憶が戻らない彼女がふさぎこんで他人と会える状態じゃないと言ってたんで、書置きを残してきました。」
「明日で当初の予定通り、今回の潜入捜査はひとまず終了だ。さっさとメガネの弁償を口実に接触しろ。あの女が手先なら、桂のヤローがコンタクトしてこねーとも限らねェ。不穏分子を一網打尽にひっ捕まえるチャンスだ。」
「俺も同意見です。彼女が運び屋にしては、やけに目立つ服装をしていた以外、現時点で否定できる材料はありませんね。本当に残念です。」
「本当に残念だァ?テメーまた監視対象者にホレたのか?万事屋ンとこのからくりで散々懲りたばかりだろーが!私情で手加減する悪い癖は直せ。」
「副長…、まだ癒えてないキズに触れるのやめてくださいよ~。同じミスは二度としませんってば。そりゃ、感じのいいお嬢さんだって思ったのは認めま…
「テメーの女の趣味をいちいち聞いてる暇はねーんだよ!!とにかくだ。もはやコイツはただの『記憶喪失のお嬢さん』じゃねェ。なあ総悟、昼寝のフリして聞いてるンだろ?」
振り向くといつの間にか、沖田隊長が例の他人をおちょくったアイマスクをして寝ころんでいた。
隊長は、隠密を生業(なりわい)とする俺でも感知できないくらい、気配を消して近づいてくるから、絶対に敵にまわしたくない。
「……。」
沖田隊長は目下「昼寝」中だ。
「オイ起きろ!見舞いの挨拶もそこそこにミスドの半額セールに並んだテメーが、些末な事故に関心を持つとは随分と仕事熱心だな。」
隊長はアイマスクをずり上げると、嫌々そうに起き上がる。
「おとつい、屯所に罰金払いに来た旦那にでくわしたんで、詳しい話聞かせてもらったんでさァ。巷(ちまた)で人気急上昇中の名字さんについて、とっておきの情報がありやすぜィ。」
「ヤローが真選組に協力するとかありえねーんだけど。」
「土方さん、聞きたくないんなら、俺は公務に戻るんで。」
再び、わざとらしく横たわろうとするのを副長がにらみつけたので、沖田隊長は渋々寝るのをやめて話を続けた。
「それじゃァ、一言も聞き洩らさねーように耳の穴かっぽじって、よぉく聞いてくだせィ。」
「『彼女をはねるつもりはなかった。とても反省している。代わりに土方の野郎を始末すりゃァよかった。チッ、しくじった。』って言えば300円くれるって言ってやした。」
副長が不機嫌になった。
「総悟、くだらねーゴタク並べる暇あったら口つぐんで寝ろ。」
「じゃぁ、寝る前にもう一つだけ。」
「名字さんが『私の代わりに土方さんがマヨまみれになって死ねばよかったのに死ね土方コノヤロー』ってギャーギャーわめいてたそうですぜィ。」
結局いつものパターンかよ。
「与太話はシメーだ!もう寝ろ!…じゃねェ。総悟!さっさと仕事に戻りやがれ!」
隊長は、ぐいーんと体を伸ばしてから立ち上がり、隊服の乱れを直すと、
「ヘェイ、でもあの鈍臭ェ娘を手駒にするほど、桂も落ちぶれたとは思えないんでさァ。俺はシロとふみますがねィ。」
と言い残すと、「公務」に戻るべくどこかに行ってしまった。
「ったく、とっつあんと近藤さん待たせてる貴重な時間をガセネタで使っちまった。ザキ、どこまで話したっけ?総悟はロクな情報持ってきやしねー。」
「名字さんの経歴の一切が不明であること、桂が何らかの目的でバッグを持ち去ったこと、そして、先日押収した謎の数列表と彼女が電話番号として申告した数字に暗号の疑いがあること、以上です。」
「そういや、名字名前のメガネ潰したろ?アレはどう始末つけたんだ?」
いつの間にか呼び捨てになってるよ…、完全に容疑者扱いだな。
「事故の翌日お詫びに行ったら寝込んでたんで面会はあきらめました。今朝も万事屋に寄ってきましたが、新八くんが、記憶が戻らない彼女がふさぎこんで他人と会える状態じゃないと言ってたんで、書置きを残してきました。」
「明日で当初の予定通り、今回の潜入捜査はひとまず終了だ。さっさとメガネの弁償を口実に接触しろ。あの女が手先なら、桂のヤローがコンタクトしてこねーとも限らねェ。不穏分子を一網打尽にひっ捕まえるチャンスだ。」