Day4-1 10月13日 ターミナル
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ゆるキャラ??じゃないよね??」
最寄りの駅を降りて「ターミナル」へ向かう動く歩道に乗ると、我が物顔に闊歩(かっぽ)する、頭がオオカミだったり魚だったりする、ゆるキャラ=天人が沸いてきた。
「ゆるキャラ?溶けたキャラメルアルか?」
「ううん、何でもないよ。」
新八くんと神楽ちゃんは、ゆるキャラとしか思えない多種多様な天人たちが歩道にあふれているのを全く気に留めない。
「名前ちゃん酢昆布あげるネ。」
ポケットから酢昆布の箱を取り出す神楽ちゃんも天人だ。
だけど肌が人間より白いぐらいなので意識することはない。
「神楽ちゃんは渋い味覚してるね。」
「そうアルか?そよちゃんも大好物アル、江戸ではクールな食べ物ネ。」
もらった酢昆布はどこか懐かしくて、酸っぱい味がした。
今日は、新八くん、神楽ちゃん、定春くんと、超高層タワー「ターミナル」にやってきた。
この世界のテクノロジーは遥かに進んでいて、地球以外の星と行き来するのが当たり前になっている。
「ターミナル」は地球の玄関口、つまり宇宙へ開かれた空港だ。
私が他の星から入国した可能性を考慮して連れてきてくれたのだ。
どうしよう。
三人に正体を打ち明けられないまま数日が経ってしまった。
記憶喪失のふりをしたまま、あちこち案内してもらうのが心苦しい。
思い切って、みんなに別の世界からやってきたって言ってしまいたい。
この世界に私が帰る家は無いって打ち明けてしまいたい。
でも、頭がおかしくなったって思われるだけだ。
どうしたらいいのだろう。
と、高速エレベーターの中でぼんやり考えこんでいると、神楽ちゃんに手を引っ張られた。
「着いたアル。ここが『ターミナル』ネ。」
エレベーターの扉の先は、驚異のゆるキャラサミット状態だった。
入国・出国ロビー、隣接のお土産モール、江戸に向かうバス停、直結している地下鉄の駅などを新八くんの案内で巡る。
施設を大体一周した頃、観光気分だった神楽ちゃんが不安そうに顔をのぞき込んできた。
「どうアル?思い出したカ?」
「ごめん…、全然心当たりないや…。」
「そのうち思い出せますよ。実は、銀さんも記憶喪失になったことがあるんですよ。」
「えええっ!!」
新八くんは強烈に驚いた私がおかしいらしく、苦笑いして話してくれた。
「万事屋解散して工場に住み込みで働いてたんですよ。こっちは心配してたのに。」
「銀ちゃんは工場長目指してジャスタウェイ作ってたアル。」
「ジャスタウェイ?」
「その話は長くなるので帰りの電車の中で教えますね。万事屋は坂本さんに破壊されちゃうし、あの時は本当弱ったなあ。」