Day3-1 10月12日 午後 万事屋 珍客
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「バーカ、冗談も大概にしろって。テメーのクソ真面目な審美眼が、時としてあさっての方向に行っちまうのは、今まで食ったパンの枚数なみに数えきれねーよ。」
「俺は、事故の瞬間、交差点で信号待ちをしていた。誓って言うが、彼女は横断歩道のどちら側にもいなかった。突如、ワープのように現れ、貴様と接触したのを見たのだ。SF映画のような光景に思わず目をこすったぐらいだぞ。考えてもみろ、普段なら、女子(おなご)の飛び出しぐらい眠っていても気づくだろうが。」
「いや、俺、神楽と風を受けないと死ぬ天人とピザ配達の忍者、はねたけど。」
「銀時、はぐらかすな。貴様も内心、その時と事情が異なると薄々気づいているのではないか?当時のいきさつに違和感を覚えているのではないか?」
ああ、そうだよ。
内心押し殺してた疑問があふれてくる。
俺はヅラの言葉を待ってたような気がした。
っーか、待ってた。
あの時、やっぱり、名字さんは、別世界から出現したんだ。
勘違いじゃなかった。
頭の中で、パズルのピースがはまった音がした。
「ほんの出来心で、財布を開けたのが全ての始まりだった。発行元を調べてみたが、エリザベスと俺の持てる限りのルートを使っても、こんなエセ通貨だか商品券は知らんと、どいつもこいつもかぶりを振るばかりでな。それどころか、ニセ札づくりを依頼したいので、印刷所と金型職人を教えろとしつこく迫られたぞ。なお、携帯電話もそれらしくできているが、充電できなかった。電源は切れたままになっている。」
ヅラが携帯電話を渡して確認するようすすめてきたが、もはや真剣に調べる気は起きない。
今までの物証と事故の記憶で、モヤモヤしていた問題の結論は決まってしまったからだ。
「こうなると信ぴょう性は高いっーか、名字さんが別世界の人間ってほぼ間違いねーな。」
「とまあ、ある日空から降ってきた名前殿は一人ぼっちなのだ。この世界に。」
「ヅラ、空から降ってきたとか勝手な設定付け足してんじゃねーよ、別世界からワープしてきたって言ったばかりじゃねーか!テメー先週の金曜ロードショー絶対見たろ??単にシータって言いたくなっただけだろ??」
「ヅラじゃない桂だ。そうだ銀時、ラピュタを見たのは否定しない。あれは何度見てもいいものだな。」
ヅラはこの場を和ませるために、わざとラピュタネタを持ち出してきたようが、俺は状況のシリアスさに、これ以上ツッコむことができなかった。
重い沈黙がたちこめる。
意を決したようにヅラが切り出した。
「銀時。」
「改まってなんだよ?」
「現時点でただ一つ言えるのは、俺たちは名前殿を故郷へ送り届けてやる術を知らない、ということだ。つくづく、己(おのれ)のふがいなさを恥じるよ。」
俺が紙パックに半分以上残っていたいちご牛乳を一気に飲み干したのと、ヅラの長いため息が終わったのは、ほぼ同時だった。
「俺は、事故の瞬間、交差点で信号待ちをしていた。誓って言うが、彼女は横断歩道のどちら側にもいなかった。突如、ワープのように現れ、貴様と接触したのを見たのだ。SF映画のような光景に思わず目をこすったぐらいだぞ。考えてもみろ、普段なら、女子(おなご)の飛び出しぐらい眠っていても気づくだろうが。」
「いや、俺、神楽と風を受けないと死ぬ天人とピザ配達の忍者、はねたけど。」
「銀時、はぐらかすな。貴様も内心、その時と事情が異なると薄々気づいているのではないか?当時のいきさつに違和感を覚えているのではないか?」
ああ、そうだよ。
内心押し殺してた疑問があふれてくる。
俺はヅラの言葉を待ってたような気がした。
っーか、待ってた。
あの時、やっぱり、名字さんは、別世界から出現したんだ。
勘違いじゃなかった。
頭の中で、パズルのピースがはまった音がした。
「ほんの出来心で、財布を開けたのが全ての始まりだった。発行元を調べてみたが、エリザベスと俺の持てる限りのルートを使っても、こんなエセ通貨だか商品券は知らんと、どいつもこいつもかぶりを振るばかりでな。それどころか、ニセ札づくりを依頼したいので、印刷所と金型職人を教えろとしつこく迫られたぞ。なお、携帯電話もそれらしくできているが、充電できなかった。電源は切れたままになっている。」
ヅラが携帯電話を渡して確認するようすすめてきたが、もはや真剣に調べる気は起きない。
今までの物証と事故の記憶で、モヤモヤしていた問題の結論は決まってしまったからだ。
「こうなると信ぴょう性は高いっーか、名字さんが別世界の人間ってほぼ間違いねーな。」
「とまあ、ある日空から降ってきた名前殿は一人ぼっちなのだ。この世界に。」
「ヅラ、空から降ってきたとか勝手な設定付け足してんじゃねーよ、別世界からワープしてきたって言ったばかりじゃねーか!テメー先週の金曜ロードショー絶対見たろ??単にシータって言いたくなっただけだろ??」
「ヅラじゃない桂だ。そうだ銀時、ラピュタを見たのは否定しない。あれは何度見てもいいものだな。」
ヅラはこの場を和ませるために、わざとラピュタネタを持ち出してきたようが、俺は状況のシリアスさに、これ以上ツッコむことができなかった。
重い沈黙がたちこめる。
意を決したようにヅラが切り出した。
「銀時。」
「改まってなんだよ?」
「現時点でただ一つ言えるのは、俺たちは名前殿を故郷へ送り届けてやる術を知らない、ということだ。つくづく、己(おのれ)のふがいなさを恥じるよ。」
俺が紙パックに半分以上残っていたいちご牛乳を一気に飲み干したのと、ヅラの長いため息が終わったのは、ほぼ同時だった。