Day2-1 10月11日 昼 「お登勢」
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「お登勢」では、女主人で万事屋さんの大家でもあるお登勢さんと、チャイナ服を着た小柄な女の子、エプロンをかけた年齢不詳のキレイなお姉さんが待っていた。
扉を開けて向かって右に、奥まで続くといっても数人で満席になる長さのカウンター、左にテーブル席がいくつかある小さな飲み屋さんだ。
カウンターに入っているお登勢さんの後ろに、沢山のキープボトルと一升瓶がずらっと並んでいる。
ここは飲み屋というか、正確に言うとスナックだろう。
カラオケが置いてあるし、何よりエプロンのお姉さんが素敵だ。
志村くんが、お登勢さん、万事屋で働いている神楽ちゃん、たまさん、と一人一人紹介してくれた。
キャサリンさんという猫耳さんはまだ出勤してないらしい。
「初めまして、名字名前と申します。」
「話は聞いてるよ。それにしても、あんたもえらい災難に遭ったもんだねェ。」
お登勢さんに言われるままにカウンターの背の高いイスに腰掛ける。
ウーロン茶をグラスに注いでいるお登勢さんは、人情味あふれるママさん、というよりお店に君臨する女帝って感じだ。
私の前にスッとグラスを出してから、タバコに火をつけた。
「はぁ、まあ、何というか。」
「ま、ここで会ったのも何かの縁さ。いいかい、気を大きく持つんだよ。遠慮はいらないからね、困った時はお互い様って言うだろ。」
「お登勢さん、皆さん、どうぞよろしくお願いします。」
「名前ちゃんは心配することないヨ。大船に乗った気でいるアル。悪いのはすべて銀ちゃんネ。昨日ボコボコにしばいたアル。」
私の左に座った神楽ちゃんが、あいさつもそこそこに真面目な顔してピシャっと言った。
かわいらしい女の子だから、多分、“しばく”っていってもボコボコじゃなくて、じゃれ合うみたいに“ポカポカ”叩いたって感じなんだろうな。
想像するとちょっと笑えてくる。
「それはそうと、まずは着物を着がえたらどうだい。」
お登勢さんが口をはさむ。
「名字さん、姉上が用意してくれたのがここに。」
テーブル席に離れて座っていた志村くんが手招きをして呼びかけたので、イスを降りる。
大きくて重そうな風呂敷包みが何個もテーブルの上に置かれていた。
「姉上に事情を話したら着物を貸してくれました。どうぞ使ってください。」
「本当にありがとう。」
「これ、姉上からです。」
私への手紙を渡された。
―名字 名前様
前略 お加減はその後いかがですか?
当座必要な着物を用意したので、取り急ぎ、新ちゃんに持たせます。
私の着古しでごめんなさい。名字さんに似合うといいのだけど。
元気、出してくださいね。
かしこ
志村 妙
女性らしい綺麗な字でしたためられている。しかも毛筆で。
「このたびは、服を貸してもらって助かりましたありがとうございますって、お姉さんに伝えてもらえるかな。お手紙の文字すごいキレイ。一度会ってみたいな~。きっと自慢のお姉さんなんだよね。本当にありがとう。」
彼は、まんざらでもなさそうに照れている。お姉さんが大好きなんだな。
しかし、
風呂敷包みの中身は洋服じゃなかった。
また、着物だった。
ここは袴や振袖がデフォルトの世界なんだろうか。
「江戸」だから着物なのだろうか。
折りたたんである着物の形を崩さないようにめくってみる。
どれも柄は控えめだけど洗練されている。
お姉さんの優しくて上品な人柄というか大和撫子って雰囲気が伝わってくるようだ。
とりあえずダメージ満載の制服から着替えられるのはありがたい。
でも、困った。
「奥の部屋が空いているから、そこで着替えておいで。」
お登勢さんは私に発生した致命的な問題に全く気づいていない様子で、私に着替えを促す。
正直に言おう。
「あの、お登勢さん…。」
「何だィ?」
「私、着物を一人で着たことないんです、もしよければ手伝ってもらえないでしょうか。」
「名字さんはよその星で育ったのかィ。たま、昼の支度(したく)を代わりにしておいてくれ。」
「かしこまりましたお登勢様。」
お登勢さんは手早くタバコの火を消すと、奥の部屋に私を連れて行った。
扉を開けて向かって右に、奥まで続くといっても数人で満席になる長さのカウンター、左にテーブル席がいくつかある小さな飲み屋さんだ。
カウンターに入っているお登勢さんの後ろに、沢山のキープボトルと一升瓶がずらっと並んでいる。
ここは飲み屋というか、正確に言うとスナックだろう。
カラオケが置いてあるし、何よりエプロンのお姉さんが素敵だ。
志村くんが、お登勢さん、万事屋で働いている神楽ちゃん、たまさん、と一人一人紹介してくれた。
キャサリンさんという猫耳さんはまだ出勤してないらしい。
「初めまして、名字名前と申します。」
「話は聞いてるよ。それにしても、あんたもえらい災難に遭ったもんだねェ。」
お登勢さんに言われるままにカウンターの背の高いイスに腰掛ける。
ウーロン茶をグラスに注いでいるお登勢さんは、人情味あふれるママさん、というよりお店に君臨する女帝って感じだ。
私の前にスッとグラスを出してから、タバコに火をつけた。
「はぁ、まあ、何というか。」
「ま、ここで会ったのも何かの縁さ。いいかい、気を大きく持つんだよ。遠慮はいらないからね、困った時はお互い様って言うだろ。」
「お登勢さん、皆さん、どうぞよろしくお願いします。」
「名前ちゃんは心配することないヨ。大船に乗った気でいるアル。悪いのはすべて銀ちゃんネ。昨日ボコボコにしばいたアル。」
私の左に座った神楽ちゃんが、あいさつもそこそこに真面目な顔してピシャっと言った。
かわいらしい女の子だから、多分、“しばく”っていってもボコボコじゃなくて、じゃれ合うみたいに“ポカポカ”叩いたって感じなんだろうな。
想像するとちょっと笑えてくる。
「それはそうと、まずは着物を着がえたらどうだい。」
お登勢さんが口をはさむ。
「名字さん、姉上が用意してくれたのがここに。」
テーブル席に離れて座っていた志村くんが手招きをして呼びかけたので、イスを降りる。
大きくて重そうな風呂敷包みが何個もテーブルの上に置かれていた。
「姉上に事情を話したら着物を貸してくれました。どうぞ使ってください。」
「本当にありがとう。」
「これ、姉上からです。」
私への手紙を渡された。
―名字 名前様
前略 お加減はその後いかがですか?
当座必要な着物を用意したので、取り急ぎ、新ちゃんに持たせます。
私の着古しでごめんなさい。名字さんに似合うといいのだけど。
元気、出してくださいね。
かしこ
志村 妙
女性らしい綺麗な字でしたためられている。しかも毛筆で。
「このたびは、服を貸してもらって助かりましたありがとうございますって、お姉さんに伝えてもらえるかな。お手紙の文字すごいキレイ。一度会ってみたいな~。きっと自慢のお姉さんなんだよね。本当にありがとう。」
彼は、まんざらでもなさそうに照れている。お姉さんが大好きなんだな。
しかし、
風呂敷包みの中身は洋服じゃなかった。
また、着物だった。
ここは袴や振袖がデフォルトの世界なんだろうか。
「江戸」だから着物なのだろうか。
折りたたんである着物の形を崩さないようにめくってみる。
どれも柄は控えめだけど洗練されている。
お姉さんの優しくて上品な人柄というか大和撫子って雰囲気が伝わってくるようだ。
とりあえずダメージ満載の制服から着替えられるのはありがたい。
でも、困った。
「奥の部屋が空いているから、そこで着替えておいで。」
お登勢さんは私に発生した致命的な問題に全く気づいていない様子で、私に着替えを促す。
正直に言おう。
「あの、お登勢さん…。」
「何だィ?」
「私、着物を一人で着たことないんです、もしよければ手伝ってもらえないでしょうか。」
「名字さんはよその星で育ったのかィ。たま、昼の支度(したく)を代わりにしておいてくれ。」
「かしこまりましたお登勢様。」
お登勢さんは手早くタバコの火を消すと、奥の部屋に私を連れて行った。