Day1-5 10月10日 夜 大江戸病院 病棟
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コンビニに夕食を調達しにいく坂田さんと志村くんを見送って数分後、事務の人が病室の用意ができたと呼びに来た。
手荷物はありますか?と尋ねられたけど私は身一つだ。
エレベーターで外科病棟のフロアに上がり、突き当りのナースステーションで氏名を告げたら、すでに連絡を受けていた看護師さんが二人部屋の病室に案内してくれた。
運がいいことに、隣のベッドに患者さんはいない。
なにより声や物音に気を使わなくていいし、スペースを広く使えるのもうれしい。
ベッドを囲むカーテンを閉めて、支給された寝巻きに着替えてから店の制服をたたむ。
ワンピースの部分は、自分で見れなかった背中が想像以上によごれていた。
ドレープが多めの白いエプロンについた黒い斜線は洗濯しても落ちないだろう。
こりゃ両方とも弁償だなー。
リクライニングを起こしたベッドに入って二人を待つ。
「名字さん、お待たせしました。」
彼らがレジ袋を提げて病室にやってきた。
「僕、女の人が読むマンガがわからなくて、これでも一応気休めになるかと思って。」
ベッドの上を渡す移動式の細長いテーブルにコンビニのごはんを並べてから、志村くんが週刊少年ジャンプを、「ここ置きますね」と、ベッド脇の収納棚についてる小さなテーブルにのせた。
「ぱっつあん~、いたいけなメイドさんがジャンプ読むか。」
「姉上が近頃は女性も少年マンガをたしなむって言ってましたよ。」
「細々(こまごま)したもんは、これで足りるか?」
坂田さんが小さ目のレジ袋を差し出した。
袋の中には、フェイスタオルや、歯ブラシなどが入っていた。
1泊2日分のクレンジングと基礎化粧品がセットになったいわゆるお泊りセットもあった。
これは坂田さんが選んだっぽい。うまく言えないけど、なんかそんな気がする。
「大丈夫です、ありがとうございました。」
「そうだ、さっきの土方さん達って何者なんですか?」
「そりゃー、税金泥棒の暴力警察、真選組だよ。」
「警察?おまわりさん?」
「真選組を知らないなら、名字さんは最近江戸に上京してきた方ですね。」
「いやいやいや~、警察っていったら~、ちょうどここにジャンプが、ほら、国民的マンガの“こち亀”、警察官といったら両さんじゃないですか~、制服だって…」
志村くんにテーブルのジャンプをとってもらい、最後のページの目次に目を凝らす。
“こち亀”がない!!
数十年にわたり締め切りを落としたことがない伝説のマンガだって、ウィキペディアか何かで読んだことがある。
万が一休載したら、官房長官が記者会見でコメントを求められるレベルの一大事だ。
作者に一体何があったんだろう。
それだけじゃなかった…。
“ワンピース”がないんだけど!!“ワンパーク”って何??
“こち亀”と“ワンピース”が欠けたジャンプは、少年マンガに最低限の知識しかない私の中で、もはやジャンプと定義できない。
「どうかしたか?」
「これ、ほんとにジャンプですか?」
「あれっ、SQがよかった?名字さんメイドさんだからマンガ詳しい?」
何それ?マンガ雑誌なの?
それと私はメイドじゃないんだけど。いちいち訂正するのがめんどくさい。
「全然詳しくないですよ~、それより、ごはん食べませんか。」
「そうですよ、いただきましょう。」
空いているベッドに腰掛けた二人は食事をとりながら、家で待っている女の子とおばさんについての話とか、捜索範囲をメイド喫茶に広げるかなどと盛り上がっている。
ひょんなことから出会ってしまったけど、坂田さんと志村くんと一緒にいるとなぜか和む。感じのいい人たちだ。
変な世界に一人で放り込まれて頭が混乱してるけど、彼らがいてくれて心強い。
土方さんの口振りからしてお金がない人たちらしい、でも誠意が伝わってくる。
「あのー、お取込み中のところ悪いんですけど。ここってどこですか?」
「どこって?大江戸病院だけど。」
「そういう意味じゃなくて。広い意味での。」
「ここは、江戸のかぶき町ですよ。」
「江戸?」
手荷物はありますか?と尋ねられたけど私は身一つだ。
エレベーターで外科病棟のフロアに上がり、突き当りのナースステーションで氏名を告げたら、すでに連絡を受けていた看護師さんが二人部屋の病室に案内してくれた。
運がいいことに、隣のベッドに患者さんはいない。
なにより声や物音に気を使わなくていいし、スペースを広く使えるのもうれしい。
ベッドを囲むカーテンを閉めて、支給された寝巻きに着替えてから店の制服をたたむ。
ワンピースの部分は、自分で見れなかった背中が想像以上によごれていた。
ドレープが多めの白いエプロンについた黒い斜線は洗濯しても落ちないだろう。
こりゃ両方とも弁償だなー。
リクライニングを起こしたベッドに入って二人を待つ。
「名字さん、お待たせしました。」
彼らがレジ袋を提げて病室にやってきた。
「僕、女の人が読むマンガがわからなくて、これでも一応気休めになるかと思って。」
ベッドの上を渡す移動式の細長いテーブルにコンビニのごはんを並べてから、志村くんが週刊少年ジャンプを、「ここ置きますね」と、ベッド脇の収納棚についてる小さなテーブルにのせた。
「ぱっつあん~、いたいけなメイドさんがジャンプ読むか。」
「姉上が近頃は女性も少年マンガをたしなむって言ってましたよ。」
「細々(こまごま)したもんは、これで足りるか?」
坂田さんが小さ目のレジ袋を差し出した。
袋の中には、フェイスタオルや、歯ブラシなどが入っていた。
1泊2日分のクレンジングと基礎化粧品がセットになったいわゆるお泊りセットもあった。
これは坂田さんが選んだっぽい。うまく言えないけど、なんかそんな気がする。
「大丈夫です、ありがとうございました。」
「そうだ、さっきの土方さん達って何者なんですか?」
「そりゃー、税金泥棒の暴力警察、真選組だよ。」
「警察?おまわりさん?」
「真選組を知らないなら、名字さんは最近江戸に上京してきた方ですね。」
「いやいやいや~、警察っていったら~、ちょうどここにジャンプが、ほら、国民的マンガの“こち亀”、警察官といったら両さんじゃないですか~、制服だって…」
志村くんにテーブルのジャンプをとってもらい、最後のページの目次に目を凝らす。
“こち亀”がない!!
数十年にわたり締め切りを落としたことがない伝説のマンガだって、ウィキペディアか何かで読んだことがある。
万が一休載したら、官房長官が記者会見でコメントを求められるレベルの一大事だ。
作者に一体何があったんだろう。
それだけじゃなかった…。
“ワンピース”がないんだけど!!“ワンパーク”って何??
“こち亀”と“ワンピース”が欠けたジャンプは、少年マンガに最低限の知識しかない私の中で、もはやジャンプと定義できない。
「どうかしたか?」
「これ、ほんとにジャンプですか?」
「あれっ、SQがよかった?名字さんメイドさんだからマンガ詳しい?」
何それ?マンガ雑誌なの?
それと私はメイドじゃないんだけど。いちいち訂正するのがめんどくさい。
「全然詳しくないですよ~、それより、ごはん食べませんか。」
「そうですよ、いただきましょう。」
空いているベッドに腰掛けた二人は食事をとりながら、家で待っている女の子とおばさんについての話とか、捜索範囲をメイド喫茶に広げるかなどと盛り上がっている。
ひょんなことから出会ってしまったけど、坂田さんと志村くんと一緒にいるとなぜか和む。感じのいい人たちだ。
変な世界に一人で放り込まれて頭が混乱してるけど、彼らがいてくれて心強い。
土方さんの口振りからしてお金がない人たちらしい、でも誠意が伝わってくる。
「あのー、お取込み中のところ悪いんですけど。ここってどこですか?」
「どこって?大江戸病院だけど。」
「そういう意味じゃなくて。広い意味での。」
「ここは、江戸のかぶき町ですよ。」
「江戸?」