運転手が山崎さんに代わり、「パトカー」で私たちはお店に向かうことになった。
坂田さんと志村くんが後部座席に乗るとぎゅうぎゅうになってしまうので、彼らはタクシーで追いかけてくる。

「お店の住所はどこだっけ？」

「東京都千代田区…」

「とうきょうとちよだく？」

「はねられた交差点の神社の隣です。」

「了解。副長、時間大丈夫ですか？」

「まだ平気だろ、近藤さんから電話あったら抜けるわ。」

店長、どんな顔してるかな。
今頃、近所の病院に電話かけまくってるかな。
怒られるかな。
そういえば、帽子の男の子とお母さんはどうしてるんだろう。
心配してるだろうな、私のせいで逆に迷惑かけちゃったな。
あーあ、エプロンが真っ黒に汚れてる。スカートが所々すり切れて破けてる。
制服の弁償いくらかかるのかな。
坂田さんは店長にお詫びして、その足でうちに寄って謝るって言ってたなあ。
お母さんは同窓会で帰り遅くなるんだった、早く電話しないと。
お父さんの電話番号覚えてないし…、お父さんごめん。
そういえば、明日は語学のテストだ！


「名字さん、神社についたよ、ここから先の道を教えてくれるかな？」

「神社の隣のケーキ屋なんですけど？」

「この路地入るの？」

「えっと、山崎さん、神社…？ちょっと待って、ここじゃないです。」

「あれ？でもここだよ、君がはねられたの。」

お店のある場所はコインパーキングになっていた。