Day6 10月15日 朝 万事屋
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― 駄目だ。
絵空事のような話をするのは時期尚早だ。彼らとは出会って数日しかたってない。
それに絶対笑われる。もしくは頭の状態を心配されて病院に連れていかれる。
定春くんに神社周辺を調べてもらうのは、もっと仲良くなってからにしよう。
今は、常識の範囲内の事情だけ言えばいい。
「あの…。」
「何だ?」
「朝は卵かけごはんしか食べられない金欠状態なのに、万事屋に置いてもらって食費とか余計な負担をかけるのが悪いし、それと、仕事をキャンセルした電話を聞いちゃって、やっぱりみんなに迷惑だから、それで出ていこうって思って。」
私の一言で、雰囲気が変わった。
長い沈黙が続く。
土下座を中断した新八くんは、ため息をつくと寂しそうな表情をみせた。
銀さんと神楽ちゃんは、どことなくがっかりしたような顔をしている。
みんなは、お互いに目配せしたり耳打ちしてうなずいたりしている。
しばらくたって新八くんと神楽ちゃんは、銀さんに一任することにしたようだった。
「なんだ、そういう事かよ。俺らが仕事をできれば気が済むの?」
「まあ、そんな感じ…です。」
「どっちにしろ今の俺たちには賠償金払えねーから稼ぐ必要がある。それなら、外で仕事する間、留守番と掃除と料理を分担してもらおーか?とにかくウチに居ろ。」
「名前さん、くじけずに頑張りましょう。僕らがついてますよ。そういえば銀さん、山崎さんと何日に会うことになりました?」
「山崎くんって、誰?」
「メガネ弁償するって言ってたじゃないですか。」
「だから誰?」
「真選組の山崎さんですよ。」
「そんなヤツいたか?あ、そうだ、名前さんは格子つきのマイホームに入居したいんだっけ~?丁度いいや、俺から頼んでやるよ。」
「…。」
銀さんは真選組の屯所に電話して山崎さんを呼び出した。
「…なんだって?今は大部屋しか空いてない?風呂は週一回?トイレは部屋の中で仕切りなし?」
どうやら留置所の状況を聞いているようだ。こっちに聞こえるようわざとらしく大声で話している。
「あー、切らないでちょっと待ってて~。名前さん~、連続放火魔と強盗犯の相部屋でよけりゃ収容してくれるってよ~。なんなら今から行くか?」
王手だ。
終わった…。
銀さんは山崎さんと会う約束を取り付けて電話を切ると、勝手に出ていかないと指切りさせて手打ちにした。
「名前ちゃん、家事分担表書き換えるネ。一緒に消しゴムかけるアル。」
とりあえず真実を隠したままその場を取り繕うことができたけど、隠し事をしているのは私だけじゃなかった。
神楽ちゃんは嘘泣きだったのだ。
なだめすかし、脅迫、口説き、土下座、嘘泣きのコンビネーション攻撃で私を完封した三人は、気の抜けた私を放置して、俺に口で戦いを挑むなんざ甘ェ―よ、新八~たいした名演技だった、えっ当然本気ですよ銀さんは芝居だったんですか純粋な人をだまくらかしてひどいじゃないですか~でも僕の土下座が一番効いたみたいですね、などと成果を報告し合い、神楽ちゃんと銀さんにいたってはドヤ顔でハイタッチをしている。
美しいお嬢さんをお護りします~は丸め込むための演技だったのか。
一瞬ドキッとした私がバカだった。
みんなには、かなわないや。
そして、やっとわかった。
この人たちは夢の世界の住人じゃない。
私は彼らを創りだせるほど頭がよくできていないのだから。
お母さんの話は正しかった。
ここは、別世界だ。
現実の私は、ここで生きているんだ。
覚悟を決めよう。
みんなで相談して家事分担表を書き替えてから、この先当分お世話になりますとお登勢さんに改めてあいさつにいった。
今までお客さん気分だったけど、たまさんには着付けを本格的に教えてほしいとお願いした。
銀さんはセクハラのおわびに「バトルロイヤルホスト」というどこかで聞いたことのあるファミレスでおごってくれた。パフェを三つ並べて幸せそうに食べる姿をみてると、この人のことが余計わからなくなる。
でも、どこかおかしくて笑ってしまう。
「女の子は笑顔が一番ネってマミーが言ってたヨ。もっと笑うアル。」
「だろ、カルシウムと糖分さえとっときゃ世の中うまくいくんだよ。」
「この人の言う事いちいちマジメに取り合う必要ありませんよ、無視して構わないですから名前さんも溶けないうちに食べましょう。」
幸いなことに、万事屋のみんなは楽観的すぎるぐらい楽観的だ。
私が居候することは全く気にしてない。
今いる場所が、夢とか現実とか別世界とか、段々どうでもよくなってきた。
もういいや、明日の事は明日考えよう。
※記憶喪失編は三週にわたり連載してたので三週間にしました。
2015年2月12日UP
絵空事のような話をするのは時期尚早だ。彼らとは出会って数日しかたってない。
それに絶対笑われる。もしくは頭の状態を心配されて病院に連れていかれる。
定春くんに神社周辺を調べてもらうのは、もっと仲良くなってからにしよう。
今は、常識の範囲内の事情だけ言えばいい。
「あの…。」
「何だ?」
「朝は卵かけごはんしか食べられない金欠状態なのに、万事屋に置いてもらって食費とか余計な負担をかけるのが悪いし、それと、仕事をキャンセルした電話を聞いちゃって、やっぱりみんなに迷惑だから、それで出ていこうって思って。」
私の一言で、雰囲気が変わった。
長い沈黙が続く。
土下座を中断した新八くんは、ため息をつくと寂しそうな表情をみせた。
銀さんと神楽ちゃんは、どことなくがっかりしたような顔をしている。
みんなは、お互いに目配せしたり耳打ちしてうなずいたりしている。
しばらくたって新八くんと神楽ちゃんは、銀さんに一任することにしたようだった。
「なんだ、そういう事かよ。俺らが仕事をできれば気が済むの?」
「まあ、そんな感じ…です。」
「どっちにしろ今の俺たちには賠償金払えねーから稼ぐ必要がある。それなら、外で仕事する間、留守番と掃除と料理を分担してもらおーか?とにかくウチに居ろ。」
「名前さん、くじけずに頑張りましょう。僕らがついてますよ。そういえば銀さん、山崎さんと何日に会うことになりました?」
「山崎くんって、誰?」
「メガネ弁償するって言ってたじゃないですか。」
「だから誰?」
「真選組の山崎さんですよ。」
「そんなヤツいたか?あ、そうだ、名前さんは格子つきのマイホームに入居したいんだっけ~?丁度いいや、俺から頼んでやるよ。」
「…。」
銀さんは真選組の屯所に電話して山崎さんを呼び出した。
「…なんだって?今は大部屋しか空いてない?風呂は週一回?トイレは部屋の中で仕切りなし?」
どうやら留置所の状況を聞いているようだ。こっちに聞こえるようわざとらしく大声で話している。
「あー、切らないでちょっと待ってて~。名前さん~、連続放火魔と強盗犯の相部屋でよけりゃ収容してくれるってよ~。なんなら今から行くか?」
王手だ。
終わった…。
銀さんは山崎さんと会う約束を取り付けて電話を切ると、勝手に出ていかないと指切りさせて手打ちにした。
「名前ちゃん、家事分担表書き換えるネ。一緒に消しゴムかけるアル。」
とりあえず真実を隠したままその場を取り繕うことができたけど、隠し事をしているのは私だけじゃなかった。
神楽ちゃんは嘘泣きだったのだ。
なだめすかし、脅迫、口説き、土下座、嘘泣きのコンビネーション攻撃で私を完封した三人は、気の抜けた私を放置して、俺に口で戦いを挑むなんざ甘ェ―よ、新八~たいした名演技だった、えっ当然本気ですよ銀さんは芝居だったんですか純粋な人をだまくらかしてひどいじゃないですか~でも僕の土下座が一番効いたみたいですね、などと成果を報告し合い、神楽ちゃんと銀さんにいたってはドヤ顔でハイタッチをしている。
美しいお嬢さんをお護りします~は丸め込むための演技だったのか。
一瞬ドキッとした私がバカだった。
みんなには、かなわないや。
そして、やっとわかった。
この人たちは夢の世界の住人じゃない。
私は彼らを創りだせるほど頭がよくできていないのだから。
お母さんの話は正しかった。
ここは、別世界だ。
現実の私は、ここで生きているんだ。
覚悟を決めよう。
みんなで相談して家事分担表を書き替えてから、この先当分お世話になりますとお登勢さんに改めてあいさつにいった。
今までお客さん気分だったけど、たまさんには着付けを本格的に教えてほしいとお願いした。
銀さんはセクハラのおわびに「バトルロイヤルホスト」というどこかで聞いたことのあるファミレスでおごってくれた。パフェを三つ並べて幸せそうに食べる姿をみてると、この人のことが余計わからなくなる。
でも、どこかおかしくて笑ってしまう。
「女の子は笑顔が一番ネってマミーが言ってたヨ。もっと笑うアル。」
「だろ、カルシウムと糖分さえとっときゃ世の中うまくいくんだよ。」
「この人の言う事いちいちマジメに取り合う必要ありませんよ、無視して構わないですから名前さんも溶けないうちに食べましょう。」
幸いなことに、万事屋のみんなは楽観的すぎるぐらい楽観的だ。
私が居候することは全く気にしてない。
今いる場所が、夢とか現実とか別世界とか、段々どうでもよくなってきた。
もういいや、明日の事は明日考えよう。
※記憶喪失編は三週にわたり連載してたので三週間にしました。
2015年2月12日UP