Day1-3 10月10日 黄昏(たそがれ)大江戸病院
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
志村くんと坂田さんは携帯電話を持っていなかったので、くわえタバコのお兄さんが貸してくれた。
それにしても病院でタバコ?いいのかな?
とりあえずお店に電話して無事を知らせないと、急にいなくなったから店長が心配してあたりを探しているに違いない。
「ここ、なんて名前の病院ですか?」
「病院?大江戸病院だけど。」
― どこだ、そんな病院聞いたことない。ロビーの広さから大規模病院なのは推測できる。
でも大江戸病院?初耳だ。
「大江戸病院?」
「病院までの道筋は俺が案内するわ。名字さんに怪我させちまったお詫びの件もあるんで、タイミングいいところで電話かわってくれ。」
「03-XXXX-XXXX」
― ツ、ツッ、ツッ、ツッ、ツー、
― おかけになった電話番号は、現在、使われておりません。もう一度…
再ダイヤル
― おかけになった電話番号は、現在、使わ…
発信画面を再確認して再ダイヤル
― おかけになった電話番号は…
「話し中か?親御さんも心配するだろーから、家に電話してみたらどうか?」
自宅に電話してみよう。
「03-YYYY-YYYY」
― おかけになった電話…
再ダイヤル
― おかけになった…
つながらない。
お母さんのケータイならどうかな。
「090-ZZZZ-ZZZZ」
― おかけ…
おかしい。そんなわけない。話し中ですらない。
ありえない。つながらない。
頭打ったから番号忘れた、わけない。
そうだ、私、スマホを持ってたんだ。
それなら番号間違えないからつながる。
電話がつながらないのを察するようにタバコのお兄さんが口を挟んだ。
「家も話し中か?」
「そ、その、番号が使われておりませんになっちゃって、あの、ええと、何でもないです。それと、」
「ん?何だ?」
「これくらいの~、そう、ちょうどこれくらいの、バッグ、知りませんか?あと、メガネが無くなってしまって。」
今更思い出したけど、私は事故の瞬間までバッグを持っていたのだ。
バッグにはスマホが入っている。
そう、それと、メガネがない。
事故の衝撃で外れてしまったようだ。
「あのさ…メガネなら、これかな?」
優しそうだけど没個性的といった表現がぴったりあてはまる、存在感の薄いお兄さんが、気まずそうにジップロックに入ったメガネを差し出してくる。
メガネはフレームがひしゃげて、片方のレンズにヒビが入っていた。
「ごめん、俺、車両移動の際にメガネ潰しちゃった…。」
「山崎~!!!」
くわえタバコはぐしゃっと携帯灰皿に押し込まれた。