きみと謳う日常を
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うちの学校では、9月の中旬に学園祭があり、土日の2日間行われる。今年、私たちのクラスではミュージカルをやる。春頃にアメリカのミュージカル映画がヒットしたためか、他にもミュージカルをやるクラスがあるようだ。私はもちろん裏方で、小道具の色塗りなどを手伝っている。
今日は学園祭3日前なので、放課後も準備をすることになった。出演する人は演技や歌の練習をするらしい。一方で、これから大会を控えている運動部の人たちは放課後の準備を免除されている。学園祭前日は1日中準備に充てられるので、みんな揃って作業するとしたらその日になるはずだ。
だから、京谷くんはいない。ちょっと寂しいな、なんて思ってしまう。
先日一緒に帰って以来、私は京谷くんを意識している。目が合うとついそらしてしまうし、委員会の時も前みたいに話せない。たぶん、好きなんだと思う。
学園祭準備のため教室に残っていた私は、ホームルーム後の掃除が終わり元の位置に配置された自分の机に突っ伏した。
「あー、どうしよ」
「何が」
「わっ」
京谷くんのことを考えながら独り言を言っていたら、いつの間にか京谷くんが私の傍に立っていた。
「な、なんでもない!どどどどうしたの!?」
明らかに動揺を隠せていない私に、京谷くんは顔をしかめながら聞いた。
「今日、夜遅いだろ」
「うん」
「・・・」
京谷くんの眉間の皺が一層深くなる。
もしかして、夜遅くなるのに私が連絡しなかったから怒ってる・・・!?
「ご、ごめ・・・」
「送ってく」
下を向いて謝っていた私はばっと顔を上げた。京谷くんはあさっての方向を向いている。これはたぶん照れているのだ。
「・・・ありがとう。校門のあたりにいるね」
私がそう言うと、京谷くんは静かに頷いて部活へ向かった。
「じゃー準備始めるよ~!」
学園祭委員の声で私も立ち上がった。
◇
校門で待っていたら、京谷くんがひとりで歩いてきた。この前みたいに、みんなで来るんだと思ってた。
「お疲れ様!」
「っス」
簡単に言葉を交わすと、私たちは歩き出した。
「今日は先輩たちいないんだね」
「また絡まれたらめんどくせぇから早く出てきた」
そう言って京谷くんがうんざりした顔をするので、思わず笑ってしまった。京谷くんはそんな私をちらっと見ると、再び目線を前に戻した。
私たちは今日の学園祭準備の話を少しだけして、あとは無言で歩いていた。この前一緒に帰った時よりも近く、腕が触れるか触れないかの距離を歩きながら。
2019.4.20
今日は学園祭3日前なので、放課後も準備をすることになった。出演する人は演技や歌の練習をするらしい。一方で、これから大会を控えている運動部の人たちは放課後の準備を免除されている。学園祭前日は1日中準備に充てられるので、みんな揃って作業するとしたらその日になるはずだ。
だから、京谷くんはいない。ちょっと寂しいな、なんて思ってしまう。
先日一緒に帰って以来、私は京谷くんを意識している。目が合うとついそらしてしまうし、委員会の時も前みたいに話せない。たぶん、好きなんだと思う。
学園祭準備のため教室に残っていた私は、ホームルーム後の掃除が終わり元の位置に配置された自分の机に突っ伏した。
「あー、どうしよ」
「何が」
「わっ」
京谷くんのことを考えながら独り言を言っていたら、いつの間にか京谷くんが私の傍に立っていた。
「な、なんでもない!どどどどうしたの!?」
明らかに動揺を隠せていない私に、京谷くんは顔をしかめながら聞いた。
「今日、夜遅いだろ」
「うん」
「・・・」
京谷くんの眉間の皺が一層深くなる。
もしかして、夜遅くなるのに私が連絡しなかったから怒ってる・・・!?
「ご、ごめ・・・」
「送ってく」
下を向いて謝っていた私はばっと顔を上げた。京谷くんはあさっての方向を向いている。これはたぶん照れているのだ。
「・・・ありがとう。校門のあたりにいるね」
私がそう言うと、京谷くんは静かに頷いて部活へ向かった。
「じゃー準備始めるよ~!」
学園祭委員の声で私も立ち上がった。
◇
校門で待っていたら、京谷くんがひとりで歩いてきた。この前みたいに、みんなで来るんだと思ってた。
「お疲れ様!」
「っス」
簡単に言葉を交わすと、私たちは歩き出した。
「今日は先輩たちいないんだね」
「また絡まれたらめんどくせぇから早く出てきた」
そう言って京谷くんがうんざりした顔をするので、思わず笑ってしまった。京谷くんはそんな私をちらっと見ると、再び目線を前に戻した。
私たちは今日の学園祭準備の話を少しだけして、あとは無言で歩いていた。この前一緒に帰った時よりも近く、腕が触れるか触れないかの距離を歩きながら。
2019.4.20