きみと謳う日常を
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6月下旬。来月は期末テストがあってその後すぐに夏休みなので、これが今学期最後の委員会だ。
今日は京谷くんも私も掃除当番ではないので早めに図書室に来て席に着いていた。
テストが近づいていたので私はテスト勉強をしていた。京谷くんも宿題をやっていたようだが、飽きてしまったのか問題集を閉じて突っ伏してしまった。
しかし突っ伏すのにも飽きたようで、京谷くんはすぐに体を起こした。そんな京谷くんを観察している時点で私も勉強に飽きていたのだろう。私も広げていたノートを閉じた。
「久原、部活やってんのか」
頬杖をついた京谷くんがこちらを向いて質問してきた。京谷くんが私について何か聞いてくるなんて初めてだ。手帳に記念日として後で書き込まねば。
「一応やってるよ。料理部」
そう、その名の通りレシピを見ながらみんなで料理をする部活だ。私にふさわしくゆるゆるの部活で、週1回しか活動がない上それすら自由参加だ。行きたければ行くし、忙しければ行かない。先輩たちも当然ゆるい。もちろん夏休みに活動なんてしない。私が安心して所属できる部活なのだ。週ごとの出欠は申告しないといけないけどね。
京谷くんに「何すんだその部活」と聞かれたので丁寧に説明すると、京谷くんは眉間に皺を寄せた。
「そんな部活あんのか」
京谷くんは信じられないとでも言いたげな視線を私に投げかけた。運動部や吹奏楽、それに茶道とか資格を取るタイプの部活は厳しいだろうけど、うちはそういうのないし、私は何も目指してないからいいのです!
私は初めて京谷くんにムッとしてしまい、少しいじけて「悪かったね、やる気なくて」と悪態をついてしまった。
しかし私の強気はすぐに引っ込んで、京谷くんを怒らせちゃったかなと不安になった。京谷くんはそんな私の態度を気にする様子もなく「別に」と言って話を続けた。
「何作るんだ」
「お菓子が多いかな。マフィンとかクッキーとか。クリスマスが近くなるとみんなでケーキ焼いてクリスマスパーティーするよ」
京谷くん怒ってないや、とほっとしたのも束の間、昨年の活動を思い出して話していたらだんだん楽しくなってきて、口角が上がったのが自分でもわかった。
「作ったやつは誰が食べるんだ」
「自分で食べるよ。量が多ければ家族にあげちゃう」
「・・・そうか」
京谷くんは基本的に表情からは何も読み取れない。けど、今は少ししょんぼりしているように見える。普段との違いが小さくてわかりにくいけど、女の勘ではたぶんそう。
「もしよかったら作ったやつあげようか?」
「・・・くれ」
やっぱり。少し京谷くんのことがわかるようになってうれしくなった。
「でも次の部活2学期なんだよね」
もうテスト前最後の部活は終わってしまったし、夏休みは活動がない。そう伝えると京谷くんはうらめしそうな顔をして私をにらんだ。やっぱり怖いって。ていうかそんなに欲しかったんかい。もしかしてさっきの信じられない、という顔は本当は「料理食べたい!」っていう顔だったのかな。それにしても不満はやたらと顔に出るよね、京谷くん。
そんな話をしていたら、今学期最後の委員会が始まった。
2019.3.23
今日は京谷くんも私も掃除当番ではないので早めに図書室に来て席に着いていた。
テストが近づいていたので私はテスト勉強をしていた。京谷くんも宿題をやっていたようだが、飽きてしまったのか問題集を閉じて突っ伏してしまった。
しかし突っ伏すのにも飽きたようで、京谷くんはすぐに体を起こした。そんな京谷くんを観察している時点で私も勉強に飽きていたのだろう。私も広げていたノートを閉じた。
「久原、部活やってんのか」
頬杖をついた京谷くんがこちらを向いて質問してきた。京谷くんが私について何か聞いてくるなんて初めてだ。手帳に記念日として後で書き込まねば。
「一応やってるよ。料理部」
そう、その名の通りレシピを見ながらみんなで料理をする部活だ。私にふさわしくゆるゆるの部活で、週1回しか活動がない上それすら自由参加だ。行きたければ行くし、忙しければ行かない。先輩たちも当然ゆるい。もちろん夏休みに活動なんてしない。私が安心して所属できる部活なのだ。週ごとの出欠は申告しないといけないけどね。
京谷くんに「何すんだその部活」と聞かれたので丁寧に説明すると、京谷くんは眉間に皺を寄せた。
「そんな部活あんのか」
京谷くんは信じられないとでも言いたげな視線を私に投げかけた。運動部や吹奏楽、それに茶道とか資格を取るタイプの部活は厳しいだろうけど、うちはそういうのないし、私は何も目指してないからいいのです!
私は初めて京谷くんにムッとしてしまい、少しいじけて「悪かったね、やる気なくて」と悪態をついてしまった。
しかし私の強気はすぐに引っ込んで、京谷くんを怒らせちゃったかなと不安になった。京谷くんはそんな私の態度を気にする様子もなく「別に」と言って話を続けた。
「何作るんだ」
「お菓子が多いかな。マフィンとかクッキーとか。クリスマスが近くなるとみんなでケーキ焼いてクリスマスパーティーするよ」
京谷くん怒ってないや、とほっとしたのも束の間、昨年の活動を思い出して話していたらだんだん楽しくなってきて、口角が上がったのが自分でもわかった。
「作ったやつは誰が食べるんだ」
「自分で食べるよ。量が多ければ家族にあげちゃう」
「・・・そうか」
京谷くんは基本的に表情からは何も読み取れない。けど、今は少ししょんぼりしているように見える。普段との違いが小さくてわかりにくいけど、女の勘ではたぶんそう。
「もしよかったら作ったやつあげようか?」
「・・・くれ」
やっぱり。少し京谷くんのことがわかるようになってうれしくなった。
「でも次の部活2学期なんだよね」
もうテスト前最後の部活は終わってしまったし、夏休みは活動がない。そう伝えると京谷くんはうらめしそうな顔をして私をにらんだ。やっぱり怖いって。ていうかそんなに欲しかったんかい。もしかしてさっきの信じられない、という顔は本当は「料理食べたい!」っていう顔だったのかな。それにしても不満はやたらと顔に出るよね、京谷くん。
そんな話をしていたら、今学期最後の委員会が始まった。
2019.3.23