きみと謳う日常を
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京谷くんは土日に部活があって、月曜日は休みだけど自主練だったり溜まった宿題を片付けたりと忙しい。
だから、私たちはデートというものをまだ一回もしていなかった。何なら手すら繋いだことがない。
付き合って1ヶ月。季節は秋から冬へと変わり、クリスマスも近づいてきた。私は男の子とお付き合いするのが初めてなので、これが変なのかどうかよくわからない。でも不満はなかった。
京谷くんは部活、私は居残り勉強をして、時々一緒に帰るのがけっこう楽しいから。
「久原」
京谷くんが現れた。一緒に帰る日は校門で待ち合わせることになっていた。
「わっ」
京谷くんに突然、鼻の頭を軽くつままれた。外にいたせいで冷たくなった鼻先に、京谷くんの温度は暖かい。
「なに、急に...」
「鼻が赤い」
そういう京谷くんの鼻も赤かったが、さすがにつまむ気にはなれなかった。
校門を出て歩き出すと、冷たい風が顔を撫でていく。吐く息が白い。冬になったのだ。
それを特に感じたのは、指先の冷たさだった。今朝はちょっと寝坊しちゃって、急いで支度したものだから手袋を忘れてた登校してしまったのだ。
「手袋どうした」
はーっと息で指先を暖める私を見て京谷くんが尋ねた。
「今日は忘れちゃったの」
今朝の出来事を話すと京谷くんは立ち止まった。「京谷くん?」と声をかけても、京谷くんは考え込んだ顔をしていたが、すぐに決心したように自分の手袋を片方だけはずした。
そして、それを私に差し出す。
「え、つけていいの?」
私の質問にこくりとうなずく京谷くん。これじゃ京谷くんの片手が寒いし、申し訳ないと思ったんだけど、京谷くんが有無を言わさぬ眼光で私を見ているので、私は断れなかった。
手袋は、京谷くんの体温で暖かかった。かじかんだ指先が少しずつほぐれていく。
ありがとう、と言おうとしたその瞬間、今度は手袋をはめていない方の手がするりとぬくもりに包まれた。
私の指先を守るように握る京谷くんの手。私はびっくりしすぎて声も出なかった。
無言で歩き出す京谷くんは少し早足だった。耳がほんのり赤くて、照れていることがわかる。わかりやすいなぁ。
初めて手を繋いだのに急ぐのはもったいないので、私は京谷くんの手をにぎって引っ張った。すると京谷くんは少し速度を緩めてくれた。
照れ屋さんだからもう今日はこっちを向いてくれなかったけど、家につくまで私の手をぎゅっと握っていてくれた。
だから、私たちはデートというものをまだ一回もしていなかった。何なら手すら繋いだことがない。
付き合って1ヶ月。季節は秋から冬へと変わり、クリスマスも近づいてきた。私は男の子とお付き合いするのが初めてなので、これが変なのかどうかよくわからない。でも不満はなかった。
京谷くんは部活、私は居残り勉強をして、時々一緒に帰るのがけっこう楽しいから。
「久原」
京谷くんが現れた。一緒に帰る日は校門で待ち合わせることになっていた。
「わっ」
京谷くんに突然、鼻の頭を軽くつままれた。外にいたせいで冷たくなった鼻先に、京谷くんの温度は暖かい。
「なに、急に...」
「鼻が赤い」
そういう京谷くんの鼻も赤かったが、さすがにつまむ気にはなれなかった。
校門を出て歩き出すと、冷たい風が顔を撫でていく。吐く息が白い。冬になったのだ。
それを特に感じたのは、指先の冷たさだった。今朝はちょっと寝坊しちゃって、急いで支度したものだから手袋を忘れてた登校してしまったのだ。
「手袋どうした」
はーっと息で指先を暖める私を見て京谷くんが尋ねた。
「今日は忘れちゃったの」
今朝の出来事を話すと京谷くんは立ち止まった。「京谷くん?」と声をかけても、京谷くんは考え込んだ顔をしていたが、すぐに決心したように自分の手袋を片方だけはずした。
そして、それを私に差し出す。
「え、つけていいの?」
私の質問にこくりとうなずく京谷くん。これじゃ京谷くんの片手が寒いし、申し訳ないと思ったんだけど、京谷くんが有無を言わさぬ眼光で私を見ているので、私は断れなかった。
手袋は、京谷くんの体温で暖かかった。かじかんだ指先が少しずつほぐれていく。
ありがとう、と言おうとしたその瞬間、今度は手袋をはめていない方の手がするりとぬくもりに包まれた。
私の指先を守るように握る京谷くんの手。私はびっくりしすぎて声も出なかった。
無言で歩き出す京谷くんは少し早足だった。耳がほんのり赤くて、照れていることがわかる。わかりやすいなぁ。
初めて手を繋いだのに急ぐのはもったいないので、私は京谷くんの手をにぎって引っ張った。すると京谷くんは少し速度を緩めてくれた。
照れ屋さんだからもう今日はこっちを向いてくれなかったけど、家につくまで私の手をぎゅっと握っていてくれた。
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