高校２年生。新しいクラスになって初めての席替えが行われた。ラッキーなことに私は窓際の一番後ろの席。
幸先いいな～なんて思っていたら、恐ろしいことに私の隣の席に移動してきたのは金髪の男の子だった。

青城にはあまりいないタイプだ。そしてビビりで定評のある私はまず絶対に近寄らない人種。去年は違うクラスだった。廊下とかでもかなり目立っていたので存在は知ってたけど・・・。

これからお隣同士、小テストの答え合わせなどを彼と答案を交換して行うのだと思うと今から胃が痛い。

隣になったというのにガン無視もおかしいので、勇気を出して挨拶してみた。冷や汗ダラダラだ。

「あの、久原あずさです！よろしくね！」

私がそう声をかけると、彼はぎろっとこっちを見た。迫力あるな～。

「・・・京谷。」
「ん！？あっ、京谷くんね！うん、よろしく！」

挙動不審にもほどがある私を京谷くんはじっと見つめて（睨んで？）いたが、すぐに前を向いてしまった。

心臓がどくどくと鳴っている。怖いよー！だって私アホみたいにしゃべったのに京谷くんは「京谷」の二文字しかしゃべってないからね！

必要以上には関わらないようにしよう・・・。私はそう思い気持ちを落ち着けたのだった。

だが、そこで終わりはしなかったのである。



「このまま委員会と係も決めるからな～。やりたいのに手ぇ挙げろよ～。」

LHRの時間、席替えをしてもまだ時間が余っていたので、先生の声で委員会決めが始まった。
私は中学の時から図書委員をやると決めているので、図書委員に手を挙げた。図書委員だと自分と似たタイプの子がやってることが多い・・・気がするから。図書委員は各クラス２名必要なんだけど、私ひとりしか挙げなかったので、ひとりは私で確定だ。

各委員会・係が順当に決まったり、時に人数が多くじゃんけんになったりしながら１回目の希望調査が終わった。その間、京谷くんが委員会や係をやる姿がなぜか想像できず、どうするのかなぁと横目で眺めていたが、京谷くんは１回も手を挙げなかった。

２巡目。決まっていない人たちが余っているところに手を挙げていく。京谷くんはやっぱり挙げない。

２巡目の後に残ったのは図書委員と美化委員だった。最後に残っていた２人のうち京谷くんでない方の子が美化委員にしたので、京谷くんは自動的に図書委員になった。

京谷くんとふたりで図書委員。

胃がきりきりと痛んだ高校２年生の幕開けだった。





2019.2.24