ふたりだけの落下速度
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大学2年生もそろそろ終わる1月。俺とあずさは成人式に出るため、少し長めの冬休みを堪能していた。
高校卒業後、俺は推薦で、あずさは一般受験で東京の大学に進学した。おかげで今も昔と変わらない付き合いが続いている。
そうだ。本当に変わっていない。俺たちはまだキスまでしかしていなかった。
未成年のうちは何かあっても責任とれねぇと思って、俺は今まで我慢した。というのは半分建前で、俺はずっとバレーに夢中だった。今もだけどな。
高校生の時、一度あずさにしてぇか聞いたら、「どっちでもいいけど、どうしてもしたいとは思わない」と言われた。少し傷ついたがよくよく尋ねてみると、無理したくないし、今問題が起きたら困るし、という意味だったらしく、俺と同じようなことを考えていたようだ。
思い返せば付き合い始めてからキスをするまでもずいぶんかかったし、あずさは俺のペースにかなり合わせてくれていたんだな、と今ならわかる。
大学生になってからも、大事な試合の時期には一切連絡を寄越さないし、急に会いたいと連絡するとよほどの用事がなければ時間を作ってくれる。
成人式2日前。今夜は烏野バレー部同期の集まりがある。確か日向が幹事だった気がする。店とか時間の連絡は谷地さんからだったが。同期だけだと人数が少ないので、先輩や先生が来てくれるはずだ。懐かしいな、と思える。それが少しうれしい。
ベッドに寝そべってボールをポンポンと頭上で弾きながら、高校の頃のいろいろを思い返していると、コンコンと部屋のドアをたたく音がした。
「あずさでーす」
「おー」
「ちょうど飛雄のお母さん出かけるとこでさ、お家に入れてもらえた。お母さん美容院行ってくるって。」
「そうか」
ドアを開けてあずさが入ってきた。
「今日は練習終わった?」
「さっき走ってきた」
「あ、ほんとだ。シャンプーの香りがする」
あずさはベッドに腕を乗せ、すんすんと俺の頭をかいだ。耳にあずさの息がかかるのを感じて、下半身に血がめぐった。
俺はベッドから起き上がるとあずさの腕を掴んでベッドに組み敷いた。あずさが目を見開いている。どんどん下半身に熱が集まる。
あずさの首筋に唇を寄せると、いいにおいがした。
「お前、風呂入ってきたのか」
「・・・別にこういうことを期待してたわけじゃないけど、一応、好きな人に会いに行くし、とか思って、っ」
目をそらしてごにょごにょと言い訳をこぼすあずさの口を塞いだ。初めはそっと合わせるだけのキス。そして舌で唇をこじ開け、舌を絡めた。
「ん、っ、今日、用事あるんでしょ?」
「夜だからまだ時間ある」
したい、という意味を込めてあずさの目を見つめると、あずさは頬を染めて俺の首に腕を回した。
「飛雄、大好きだよ」
それを肯定と捉えて、俺は再びあずさの唇に吸い付いた。
◇
「・・・そろそろお母さん帰って来るんじゃない?」
「そうだな・・・」
事を終えて、俺たちは布団に包まっていた。でも、そろそろ準備をしなければならない。
まだ離れたくなくて、あずさを抱きしめてその髪に指を通していると、あずさは目を細めてふんわりと笑った。
「なんだ」
「ふふ、幸せだなーと思って」
「・・・」
「そこは俺もって言うところでしょ」
「言えるかよ」
俺も、なんて俺が言えないのはわかっていたようで、あずさはさして気にしていないようだ。
付き合い始めたときも、初めて抱きしめた時も、キスした時も、いつだってこいつからだった。いつも余裕で、俺が驚いたり照れたりするのをにこにこ笑って見ている。
それが悔しいから、俺はあずさのほっぺに手を添えて、目をじっと見つめて言ってやった。
「あいしてる」
やっべぇ恥ずかしい。顔に熱が集中する。でもあずさは茶化すことなく微笑んだ。
「私も」
これからも、ずっと一緒にいられるといい。強くそう思った、20歳の冬だった。
高校卒業後、俺は推薦で、あずさは一般受験で東京の大学に進学した。おかげで今も昔と変わらない付き合いが続いている。
そうだ。本当に変わっていない。俺たちはまだキスまでしかしていなかった。
未成年のうちは何かあっても責任とれねぇと思って、俺は今まで我慢した。というのは半分建前で、俺はずっとバレーに夢中だった。今もだけどな。
高校生の時、一度あずさにしてぇか聞いたら、「どっちでもいいけど、どうしてもしたいとは思わない」と言われた。少し傷ついたがよくよく尋ねてみると、無理したくないし、今問題が起きたら困るし、という意味だったらしく、俺と同じようなことを考えていたようだ。
思い返せば付き合い始めてからキスをするまでもずいぶんかかったし、あずさは俺のペースにかなり合わせてくれていたんだな、と今ならわかる。
大学生になってからも、大事な試合の時期には一切連絡を寄越さないし、急に会いたいと連絡するとよほどの用事がなければ時間を作ってくれる。
成人式2日前。今夜は烏野バレー部同期の集まりがある。確か日向が幹事だった気がする。店とか時間の連絡は谷地さんからだったが。同期だけだと人数が少ないので、先輩や先生が来てくれるはずだ。懐かしいな、と思える。それが少しうれしい。
ベッドに寝そべってボールをポンポンと頭上で弾きながら、高校の頃のいろいろを思い返していると、コンコンと部屋のドアをたたく音がした。
「あずさでーす」
「おー」
「ちょうど飛雄のお母さん出かけるとこでさ、お家に入れてもらえた。お母さん美容院行ってくるって。」
「そうか」
ドアを開けてあずさが入ってきた。
「今日は練習終わった?」
「さっき走ってきた」
「あ、ほんとだ。シャンプーの香りがする」
あずさはベッドに腕を乗せ、すんすんと俺の頭をかいだ。耳にあずさの息がかかるのを感じて、下半身に血がめぐった。
俺はベッドから起き上がるとあずさの腕を掴んでベッドに組み敷いた。あずさが目を見開いている。どんどん下半身に熱が集まる。
あずさの首筋に唇を寄せると、いいにおいがした。
「お前、風呂入ってきたのか」
「・・・別にこういうことを期待してたわけじゃないけど、一応、好きな人に会いに行くし、とか思って、っ」
目をそらしてごにょごにょと言い訳をこぼすあずさの口を塞いだ。初めはそっと合わせるだけのキス。そして舌で唇をこじ開け、舌を絡めた。
「ん、っ、今日、用事あるんでしょ?」
「夜だからまだ時間ある」
したい、という意味を込めてあずさの目を見つめると、あずさは頬を染めて俺の首に腕を回した。
「飛雄、大好きだよ」
それを肯定と捉えて、俺は再びあずさの唇に吸い付いた。
◇
「・・・そろそろお母さん帰って来るんじゃない?」
「そうだな・・・」
事を終えて、俺たちは布団に包まっていた。でも、そろそろ準備をしなければならない。
まだ離れたくなくて、あずさを抱きしめてその髪に指を通していると、あずさは目を細めてふんわりと笑った。
「なんだ」
「ふふ、幸せだなーと思って」
「・・・」
「そこは俺もって言うところでしょ」
「言えるかよ」
俺も、なんて俺が言えないのはわかっていたようで、あずさはさして気にしていないようだ。
付き合い始めたときも、初めて抱きしめた時も、キスした時も、いつだってこいつからだった。いつも余裕で、俺が驚いたり照れたりするのをにこにこ笑って見ている。
それが悔しいから、俺はあずさのほっぺに手を添えて、目をじっと見つめて言ってやった。
「あいしてる」
やっべぇ恥ずかしい。顔に熱が集中する。でもあずさは茶化すことなく微笑んだ。
「私も」
これからも、ずっと一緒にいられるといい。強くそう思った、20歳の冬だった。
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