ヒーロー
name change
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テスト期間が終わって初めての土曜日。今日は久しぶりに一日がっつり部活ができる。6月はいよいよインターハイ予選なので、私も気を引き締めなくてはいけない。もう一通りの仕事は覚えたので、みんながバレーをする横で私もせっせと働いた。夏はもう少し先だというのに、気温はもうかなり高く、運動をしない私でも汗をかいていた。
午前の練習が終わると昼休憩になった。午後の作業の用意だけして昼ご飯を食べようと道具を移動させたとき、黒尾さんに話しかけられた。
「なぁ、やっぱリエーフと付き合ってんの?」
「いいえ。なんでですか。」
「リエーフが久原ちゃんを下の名前で呼んでたから。」
黒尾さん目敏いな。リエーフに名前で呼ばれることにもはや違和感を全く感じないので、名前を呼ばれていることさえ忘れていた。
「仲良くなりたいそうで、名前を呼ぶと宣言されました。」
「ふーん?」
黒尾さんがニヤニヤしている。
「・・・なんですか?」
「あずさー!昼飯食べよー!」
黒尾さんを問いただそうとしたら体育館の外からリエーフに呼ばれた。
「はーい!」
体育館の外に向かって叫んだ。私は大抵リエーフや犬岡くんと昼食を食べるので今日も呼ばれたのだ。
「仲いいなー。」
「そうなんですよね。もうけっこう仲いいので、リエーフの意図がよくわかりません。」
「・・・マジで言ってる?」
「どういう意味ですか。」
黒尾さんはさっきまでニヤニヤしていたが、今はその顔が引きつっている。
「あずさ!まだ!?黒尾さん、もう連れてっていいですか!」
黒尾さんと話し込んでいたらリエーフがもう一度呼びに来た。
「どうぞどうぞ。」
「待たせてごめ、うわっ!」
待たせたことを謝ろうとしたら、なんと、リエーフが私を担いだのだ。
私のおなかがリエーフの肩に乗っている。
うおお、目線が高いよ、怖いよ。っていうか女の子急に担ぐとかどういうことだ。
「あずさ、けっこう重いな」
「はぁ!?」
「リエーフ、それは言っちゃダメなやつだろ。重くても軽いって言っといたほうが好感度上がるぞ。」
「あっ、そうですね!軽いぞ、あずさ!」
「もういいです・・・」
全くフォローになっていない黒尾さんに抗議すらできないまま私は諦めた。なんて失礼な人たちだ・・・。
「じゃ、あずさもらっていきますねー!」
そう言って米俵のように私を担いだままリエーフは体育館の外へと走っていった。
「青春だねぇ。」
黒尾さんの独り言は、体育館に吸い込まれた。
◇
「もーなんなの・・・。」
私をおろしたリエーフを、げっそりしながら咎めた。するとリエーフはまじめな顔をして言った。
「黒尾さんはキケン」
「は?」
「かっこいいだろ」
「あぁ、うん。大人っぽくてかっこいいね。」
性格はなかなかだけど、と心の中で付け足す。先輩の悪口(?)をこんなところで言ったら誰が聞いているかわからない。
「ぜってー負けねぇ!」
突然リエーフが叫んだ。
かっこよさでは無理だよなぁと思いながら、私はお弁当を取りに女子更衣室へと向かうのだった。
午前の練習が終わると昼休憩になった。午後の作業の用意だけして昼ご飯を食べようと道具を移動させたとき、黒尾さんに話しかけられた。
「なぁ、やっぱリエーフと付き合ってんの?」
「いいえ。なんでですか。」
「リエーフが久原ちゃんを下の名前で呼んでたから。」
黒尾さん目敏いな。リエーフに名前で呼ばれることにもはや違和感を全く感じないので、名前を呼ばれていることさえ忘れていた。
「仲良くなりたいそうで、名前を呼ぶと宣言されました。」
「ふーん?」
黒尾さんがニヤニヤしている。
「・・・なんですか?」
「あずさー!昼飯食べよー!」
黒尾さんを問いただそうとしたら体育館の外からリエーフに呼ばれた。
「はーい!」
体育館の外に向かって叫んだ。私は大抵リエーフや犬岡くんと昼食を食べるので今日も呼ばれたのだ。
「仲いいなー。」
「そうなんですよね。もうけっこう仲いいので、リエーフの意図がよくわかりません。」
「・・・マジで言ってる?」
「どういう意味ですか。」
黒尾さんはさっきまでニヤニヤしていたが、今はその顔が引きつっている。
「あずさ!まだ!?黒尾さん、もう連れてっていいですか!」
黒尾さんと話し込んでいたらリエーフがもう一度呼びに来た。
「どうぞどうぞ。」
「待たせてごめ、うわっ!」
待たせたことを謝ろうとしたら、なんと、リエーフが私を担いだのだ。
私のおなかがリエーフの肩に乗っている。
うおお、目線が高いよ、怖いよ。っていうか女の子急に担ぐとかどういうことだ。
「あずさ、けっこう重いな」
「はぁ!?」
「リエーフ、それは言っちゃダメなやつだろ。重くても軽いって言っといたほうが好感度上がるぞ。」
「あっ、そうですね!軽いぞ、あずさ!」
「もういいです・・・」
全くフォローになっていない黒尾さんに抗議すらできないまま私は諦めた。なんて失礼な人たちだ・・・。
「じゃ、あずさもらっていきますねー!」
そう言って米俵のように私を担いだままリエーフは体育館の外へと走っていった。
「青春だねぇ。」
黒尾さんの独り言は、体育館に吸い込まれた。
◇
「もーなんなの・・・。」
私をおろしたリエーフを、げっそりしながら咎めた。するとリエーフはまじめな顔をして言った。
「黒尾さんはキケン」
「は?」
「かっこいいだろ」
「あぁ、うん。大人っぽくてかっこいいね。」
性格はなかなかだけど、と心の中で付け足す。先輩の悪口(?)をこんなところで言ったら誰が聞いているかわからない。
「ぜってー負けねぇ!」
突然リエーフが叫んだ。
かっこよさでは無理だよなぁと思いながら、私はお弁当を取りに女子更衣室へと向かうのだった。