ヒーロー
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初めての見学から一週間。
見学した翌日から仮入部という形で部活に参加している。
約1か月後にインターハイ一次予選を控え、少し緊張感が漂っている。
毎日きつい練習をしているみんなを見ていると、本当にすごいなぁ、と素直に尊敬してしまう。
土日もがっつり練習があり、運動部が初めての私はマネージャーとはいえ疲れてしまった。
初見学の日は灰羽くんが駅まで送ってくれる予定だったけど、他の人も同じ駅から帰路へ着くので、結局自主練をしていた人みんなで帰った。
そして今日もまた、自主練で残っていたメンバーと帰っているところだ。
「久原チャンはそろそろ慣れた~?」
黒尾さんはさすが主将という感じで、よくこうして気にかけてくれる。
「えーと、ハイ・・・」
「帰宅部だったのに急に夜遅くなって疲れるよなぁ」
「私は、まぁ、見てるだけなんで大丈夫です」
「んなことねーだろ、雑用やらせた上にリエーフのお守りまでやらせちまって」
そうなのだ。
灰羽くんの自主練は主にレシーブの練習だ。音駒のスタメンはレシーブができるのが当たり前のようで、戦力として期待されている灰羽くんも当然、その能力が求められる。
そのため毎日夜久さんにレシーブ指導されているのだ。
しかし、灰羽くんはレシーブ練が嫌いなようでよく脱走する。それを夜久さんが追いかけるのが日常茶飯事となっている。
私が仮入部してからというもの、灰羽くんは夜久さんが追いかけてくると私を盾にするようになった。
今日も今日とて、使った道具を片付けていたら後ろから突然肩を捕まれ、ぐんっと引っ張られたと思ったら目の前に夜久さんがいたのだ。
「リエーフてめぇ女子を盾にするなんてずりぃぞ!」
「だって夜久さんが追いかけてくるからじゃないですか!」
「・・・・」
毎日これをやっていたら、そら疲れますわ。
「あーもう離してやれって!久原ちゃん白目むきそう」
「えっどんなですか!」
「・・・あとちょっとなんだから、練習しておいでよ・・・」
とは言っても灰羽くんはすごくやる気があるから、逃げ出すのは自主練を切り上げなくちゃいけない時間の10分前。それまでは渋々練習している。
一応は練習しているから、きっと夜久さんも憎めないんだろうなぁ。
今日の回想でどっと疲れたところで、私と黒尾さんのもとに元凶の灰羽くんが加わった。
「久原、部活入るだろ!もう入ろうぜ!」
「あーでも急がなくていいからな。もう1週間くらいゆっくり考えていいから。」
黒尾さんは本当に他人をよく見ているものだと感心してしまう。
私が他人と接するのが得意じゃないの、なんとなくわかるんだろうな。
でも。
本気で何かをがんばっているのはかっこいい。
私は何かをがんばりたいと思ったことはないし、こんなに努力したこともない。
私にはなんにもない。
でも、本気で何かを目指す人たちを応援することなら私にもできるのではないか?
ほんの1週間みんなの練習を見ただけだけど、やったことが報われてほしいと思った。
強くなってほしいと思った。
私にもできることがあるなら、やってみたいと思ってしまった。
「マネージャー、やってみてもいいですか」
私は黒尾さんに入部届を差し出した。
見学した翌日から仮入部という形で部活に参加している。
約1か月後にインターハイ一次予選を控え、少し緊張感が漂っている。
毎日きつい練習をしているみんなを見ていると、本当にすごいなぁ、と素直に尊敬してしまう。
土日もがっつり練習があり、運動部が初めての私はマネージャーとはいえ疲れてしまった。
初見学の日は灰羽くんが駅まで送ってくれる予定だったけど、他の人も同じ駅から帰路へ着くので、結局自主練をしていた人みんなで帰った。
そして今日もまた、自主練で残っていたメンバーと帰っているところだ。
「久原チャンはそろそろ慣れた~?」
黒尾さんはさすが主将という感じで、よくこうして気にかけてくれる。
「えーと、ハイ・・・」
「帰宅部だったのに急に夜遅くなって疲れるよなぁ」
「私は、まぁ、見てるだけなんで大丈夫です」
「んなことねーだろ、雑用やらせた上にリエーフのお守りまでやらせちまって」
そうなのだ。
灰羽くんの自主練は主にレシーブの練習だ。音駒のスタメンはレシーブができるのが当たり前のようで、戦力として期待されている灰羽くんも当然、その能力が求められる。
そのため毎日夜久さんにレシーブ指導されているのだ。
しかし、灰羽くんはレシーブ練が嫌いなようでよく脱走する。それを夜久さんが追いかけるのが日常茶飯事となっている。
私が仮入部してからというもの、灰羽くんは夜久さんが追いかけてくると私を盾にするようになった。
今日も今日とて、使った道具を片付けていたら後ろから突然肩を捕まれ、ぐんっと引っ張られたと思ったら目の前に夜久さんがいたのだ。
「リエーフてめぇ女子を盾にするなんてずりぃぞ!」
「だって夜久さんが追いかけてくるからじゃないですか!」
「・・・・」
毎日これをやっていたら、そら疲れますわ。
「あーもう離してやれって!久原ちゃん白目むきそう」
「えっどんなですか!」
「・・・あとちょっとなんだから、練習しておいでよ・・・」
とは言っても灰羽くんはすごくやる気があるから、逃げ出すのは自主練を切り上げなくちゃいけない時間の10分前。それまでは渋々練習している。
一応は練習しているから、きっと夜久さんも憎めないんだろうなぁ。
今日の回想でどっと疲れたところで、私と黒尾さんのもとに元凶の灰羽くんが加わった。
「久原、部活入るだろ!もう入ろうぜ!」
「あーでも急がなくていいからな。もう1週間くらいゆっくり考えていいから。」
黒尾さんは本当に他人をよく見ているものだと感心してしまう。
私が他人と接するのが得意じゃないの、なんとなくわかるんだろうな。
でも。
本気で何かをがんばっているのはかっこいい。
私は何かをがんばりたいと思ったことはないし、こんなに努力したこともない。
私にはなんにもない。
でも、本気で何かを目指す人たちを応援することなら私にもできるのではないか?
ほんの1週間みんなの練習を見ただけだけど、やったことが報われてほしいと思った。
強くなってほしいと思った。
私にもできることがあるなら、やってみたいと思ってしまった。
「マネージャー、やってみてもいいですか」
私は黒尾さんに入部届を差し出した。