まあるく、やさしく
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「月島くん、山口くん!週末の夏祭り一緒に行こう!」
久原が月島たちに声をかけてきたのは、部活の昼休みだった。夏休みに入ってすぐ、月島たちは翌週に東京遠征を控えている時期だった。
この時期には毎年、烏野高校の近くで夏祭りが開催される。そのため例年、烏野高校の生徒が多数やって来るのだった。
月島は人混みは嫌いだし、休日に知り合いに会うのもうんざりする。そう思っていたが、春先に久原に誘われたのを思い出した。今思えばなんで自分が誘われたのか月島は不思議に思った。久原には、数は多くないようだが仲のよい友だちがいる。普通そうした女友達と行くものではないだろうか。
そんなことを考えていたら、山口が申し訳なさそうに話し出した。
「ごめん、俺日向たちと行く約束しちゃったんだ」
「そっかー、じゃあ仕方ないね。月島くんは?」
月島には日向たちと行く予定などない。誘われても断っていただろう。それがわかっていたから、山口は月島を誘わなかったのだ。そんな月島だが、久原の誘いだとなんとなく断れないのである。
「きみは一緒に行く友だちいないわけ」
「月島くん」
「女友だちで」
「なんかみんな彼氏いる」
月島の問いに冗談のようなそうでないような返事をする久原。全員彼氏がいることなんてあるだろうか、と月島は1人渋い顔をするのだった。
「行くのがきみだけなら行ってもいいよ」
先日行くと言ってしまったので断るのは気が引けた月島は、他の奴がいたら面倒だから嫌だ、という意味を込めて久原に返事をした。
「「えっ」」
久原と山口の声が重なる。不審に思いふたりを見ると、ふたりは目を丸くしていた。改めて自分の言葉を反芻した月島は、先ほど自分がまるで久原とふたりきりで行きたいとでもいうような台詞を口にしたことに思い至った。ふたりがそれを勘違いしていることに気付き、月島は心の中で舌打ちをした。
「別に深い意味はないから」
月島の言葉は、結局定型通りになってしまった。しかし、そんな月島の言葉を久原は意外に信じたらしい。久原は子供のように目をきらきらさせて素直に喜んでいる様子で言った。
「じゃあ17:30に公園集合ね!」
公園は月島と久原の帰り道にある。久原は約束をすると、「じゃあねぇ」と軽い足取りで去っていった。
2019.6.6
久原が月島たちに声をかけてきたのは、部活の昼休みだった。夏休みに入ってすぐ、月島たちは翌週に東京遠征を控えている時期だった。
この時期には毎年、烏野高校の近くで夏祭りが開催される。そのため例年、烏野高校の生徒が多数やって来るのだった。
月島は人混みは嫌いだし、休日に知り合いに会うのもうんざりする。そう思っていたが、春先に久原に誘われたのを思い出した。今思えばなんで自分が誘われたのか月島は不思議に思った。久原には、数は多くないようだが仲のよい友だちがいる。普通そうした女友達と行くものではないだろうか。
そんなことを考えていたら、山口が申し訳なさそうに話し出した。
「ごめん、俺日向たちと行く約束しちゃったんだ」
「そっかー、じゃあ仕方ないね。月島くんは?」
月島には日向たちと行く予定などない。誘われても断っていただろう。それがわかっていたから、山口は月島を誘わなかったのだ。そんな月島だが、久原の誘いだとなんとなく断れないのである。
「きみは一緒に行く友だちいないわけ」
「月島くん」
「女友だちで」
「なんかみんな彼氏いる」
月島の問いに冗談のようなそうでないような返事をする久原。全員彼氏がいることなんてあるだろうか、と月島は1人渋い顔をするのだった。
「行くのがきみだけなら行ってもいいよ」
先日行くと言ってしまったので断るのは気が引けた月島は、他の奴がいたら面倒だから嫌だ、という意味を込めて久原に返事をした。
「「えっ」」
久原と山口の声が重なる。不審に思いふたりを見ると、ふたりは目を丸くしていた。改めて自分の言葉を反芻した月島は、先ほど自分がまるで久原とふたりきりで行きたいとでもいうような台詞を口にしたことに思い至った。ふたりがそれを勘違いしていることに気付き、月島は心の中で舌打ちをした。
「別に深い意味はないから」
月島の言葉は、結局定型通りになってしまった。しかし、そんな月島の言葉を久原は意外に信じたらしい。久原は子供のように目をきらきらさせて素直に喜んでいる様子で言った。
「じゃあ17:30に公園集合ね!」
公園は月島と久原の帰り道にある。久原は約束をすると、「じゃあねぇ」と軽い足取りで去っていった。
2019.6.6