意外な相手とハントに!?
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ガシッ。
「大丈夫か?」
「えっ……」
受け身を取る前にスタージュンが横抱きにして受け止めてくれた。彼の足場はガッシリしているとはいえ、枝の上で瑞貴を抱えて安定のバランスを取っているのは実力の差とも言えるかもしれない。
思わぬ出来事と、スタージュンはよく見れば(見なくてもわかるが)端正な顔をしているので、近くまで見たことのなかった瑞貴は思わず頬を赤くする。
「だ、大丈夫! あ、ありがとう! だから降ろして!」
暴れたら自分だけでなくスタージュンも落ちてしまうとわかっているのか、瑞貴は訴えるのを叫ぶだけで済ませているが、好機と思ったのかスタージュンはフッと笑った。
「また落ちても面倒だからな。このまま行くぞ」
「もう落ちないから! 降ろせー!」
瑞貴が叫ぶ甲斐もなく、スタージュンならば高速で行くこともできるだろうにこの状況を楽しんでいるのか、普通に駆け足でてっぺんへ向かうのだった。
――二人がてっぺんに辿り着くと、前回以上ににBBコーンがたくさん実っていた。しかもその中にはビルと同じくらいの大きさのBBコーンがかなりある。
足場を確認したスタージュンは、瑞貴を優しく降ろしてくれた。その際瑞貴は礼を言うこともちゃんと忘れずに。
「おおっ! こんなにたくさんBBコーンがあるなんてラッキー!」
「ホォ……まさかこのような光景が見られるとはな。お前のおかげか」
「えっ?」
「言い直せばお前の食運のおかげということだろう。私には食運がない……私一人で来れば本当にBBコーンがあったかもわからない。感謝しよう」
「!」
そのときのスタージュンの表情がどこか悲しげで、弱々しく笑っていた。いつもの余裕な表情ではないので、不覚にもギャップにやられた瑞貴はドキッとしてしまった。
瑞貴は前回と同じように通常のトウモロコシと同じサイズのBBコーンをグルメケースにいくつか詰め、スタージュンはビルサイズのBBコーンを切った。
「……あんた、まさかそのまま持って行くの?」
「パートナーが迎えに来てくれる」
バサッ――!
大きな翼を羽ばたく音と同時に風が舞い上がると、二人の頭上にスタージュンのパートナーアニマル・ブラガドラゴンが現れた。瑞貴は初めて見るが、ひと目見ただけでこの猛獣がグルメ界の出身であり、かなりのレベルを持っていることがわかる。
瑞貴がBBコーンを抱え出したブラガドラゴンを見ていると、スタージュンが目の前にやってきた。
「予想もしないことだったが、お前に会えたことが幸運だということに嘘はない。いずれまた会おう」
「次会ったときは容赦しないからね」
「それは私の台詞だ」
グイッ。
「えっ――」
チュッ。
なんとスタージュンは瑞貴の後頭部に手を当てると自分に引き寄せ、そのまま唇にキスをした。1秒も満たない動きだったので瑞貴が気づいたときはスタージュンの唇は離れ、目の前には彼の端正な顔があるだけだ。
「お前をさらうことに、容赦はしない」
「な、ななななな何すんだバカ――ッ!!」
顔を真っ赤にした瑞貴は反射的に拳を突きだすが、スタージュンはヒラリとかわしてブレガドラゴンの背に飛び乗った。
「では、また会えることを楽しみにしておこう」
「二度と来るな――っ!!」
今にも疾風斬をくらわさんとばかりに瑞貴は怒りを露わにするも、スタージュンは今まで見たことのない瑞貴の表情が見れて嬉しそうだ。
……結局、瑞貴は目的の食材は捕獲できたもののスタージュンに終始遊ばれていた。その日を境に瑞貴が修業にさらに勢いがつき、次のハントでトリコたちが目を見開くほどの実力をつけたのは、また別の話である。
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