波乱万丈の中の幸せ
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瑞貴は舞獣姫の姿をしてホテルグルメに入ると、フロントマンがレストランの厨房に連絡してくれた。何度も来ているせいかもう顔を見せるだけで小松へ連絡してくれる。そして小松もユンと共にわざわざフロントへ迎えに来てくれるのだ。
「み…じゃなかった。舞獣姫さん、来てくれてありがとうございます!」
〈ユンユーン!〉
「こちらこそ呼んでくれてありがとう、小松さん。ユンちゃんも久しぶり。それにしてもセンチュリースープの人気は鰻登りだね」
「はい。みなさん伝説のスープを飲みたいと次々注文してくれるので、仕込んだそばからどんどん減っていきます」
「……完成して食べるなら、トリコの食欲に比べると可愛いものだよ」
「〈?〉」
遠い目をする瑞貴に小松とユンは首を傾げた。あと半日で完成する仕込み料理が全て食べられてしまうのだ、完成してなくなるのが数倍マシである。
――センチュリースープのレシピを知るのは小松と瑞貴だけなので、誰もいない別の厨房で作っている。もちろん扉の窓にはカーテンを閉めて瑞貴の守護壁も使い、防音設備状態になっていた。何かあれば内線で連絡される。
トントントン、グツグツ――。
手分けして作業している姿は二人にとって慣れた状態だ。センチュリースープならず今までトリコとの旅で共に調理しているので息ピッタリである。
「そういえば瑞貴さん、トリコさんとの『同棲生活』はどうですか?」
「ハアッ!?」
「ヒエッ!」
他に人目もいないので小松も本名で呼んでいる。しかし瑞貴は小松が突拍子のないことを言ったので驚くと、その形相に小松が逆に驚くハメになった。
確かにトリコが瑞貴の家に下宿することは小松にも世間話として言ったが、『下宿』であり『同棲』という気持ちはない。結婚してない男女が一緒に住んでいるという意味は合っているものの、瑞貴にとっては心外だと言わんばかりだ。
「誰? そんなこと言ったの。リンちゃんにだって下宿って言ったはずなのに」
「ト、トリコさんがこの間『新築が完成したらセンチュリースープを持ってきてほしい』って連絡をくれたんです。それまで瑞貴さんと同棲するって機嫌よく言っていたので……」
「それは誤解。トリコはただの下宿としてうちにいるだけ。それに私はトリコにそんな気持ちを抱いてないよ」
「そ、そうなんですか……」
小松は先日トリコに連絡をもらったとき、瑞貴との生活を嬉しそうに語っていたことを思い出した。自分も瑞貴に好意を持つ者だからこそ、本気で瑞貴がトリコに好意を抱いてしまったらどうしようかと思ったが、杞憂に終わったようでホッとした。
瑞貴はここ数日トリコのせいで食糧難になるし、たまにイビキがうるさいなどと愚痴を言っているが、小松は表情の変化を見逃さない。