愛する者たちのために
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螺旋階段のようなスカイプラントを登り、天候や猛獣にもあったがグルメ界で戦い抜いた俺の敵じゃなかった。ベジタブルスカイのときよりも速く雲の上まで辿り着き、フルーツスカイまで来たのはいいが……。
『……おいおい、嘘だろ』
リンゴ、モモ、オレンジ、パイナップル、マンゴー、バナナ、レモン、ブドウ、ナシなど、季節問わず実っている果物はどれもとにかくうまい。瑞々しく果汁とうまさが共に溢れ出している。梅も実っていたから食べてみれば、これもいい酸味があって梅干しにしても最適なのに違いない。
だが、どれも伝説の果実じゃない。オゾン草のときのようなインパクトが感じられなかったからだ。探しても探しても見つけられず、それらしい匂いもしない。
そうこうしている間に、もうすっかり夜になってしまった。幸い今夜は満月だから月明かりのおかげで一面が見えるが、結局目ぼしい物は何もなかった。
☆☆☆☆☆
「このままじゃ瑞貴が……! なんで伝説の果実も七つの光も現れねぇんだよ!」
ドゴッ!
悔しさと歯がゆさで俺は地面に拳を撃ちつけた。その衝撃でクレーターができたが、今の俺に構う余裕はなかった。何が足りないんだ? それとも『天国の果樹園』はここじゃなかったのか!?
「……待てよ? 伝説には確か、愛する者『たち』とあったな」
小松から聞いた話じゃどう考えても夫婦は男と女が一人ずつだったはずだ。なら夫が示していた愛する者が妻以外だとすると……。
「そうか! 俺はなんてバカなんだ!」
パンッ!
俺は勢いよく両頬を叩いた。そうだ、伝説にあった夫は『妻のため』に果実を探しに行ったんじゃない――『妻と子供のため』に探しに行ったんだ! 俺はまだ見ぬ自分と瑞貴の子供を蔑ろにしてしまった!
後悔と反省をして、もう一度探そう。今度は俺の愛する瑞貴と子供のために!
「よし!」
キランッ!
「!」
突然月明かりとも星とも違う一つの光が俺の前に現れた。その発光は眩しくなくてまるでサンサングラミーのようだ。
キラキラッ……!
すると次々と光が現れた。その数は七つ……これが伝説にあった『七つの光』なのか!?
「こいつは月光蝶! いや、それにしては光が金色……ということは、この灯りは別名・感情の灯りと呼ばれるフィーリングロウか!」
蛾のようだがこいつの分類は蝶だ。月の光を栄養にして羽根から銀色の光を放ち、リンプンは甘くうまいスパイスのようだと言われている。どこにでもいる蝶だが、フィーリングロウを放つ月光蝶の光は金色で極稀にしか発見されない。そりゃあこんな天空にいたら見つけられないはずだ。
俺の周りにいた月光蝶はそのまま七羽共どこかへ飛び立って行く。伝説通りならと思って俺はすぐにあとを追い掛けた。そして何もない広場に着くと、前方にいる月光蝶は円を描くように舞いながらリンプンを放ち始める。
「これは!」
月光蝶のように光を放ちながら現れたのは大樹だった。俺の鼻にも反応しないのはスプナッシュと同じ効果を持っているかもしれない。大樹の全体が見えるようになると、枝には優しい光を放つハート型の透明な果実が実っていた。
「そうか……こいつはクリアフルーツか!」
透明のあまり発見が困難で希少だということで名前は聞いたことがあったが、まさかここでお目にかかれるとは思わなかった。月が近いこのフルーツスカイと、光を分け与える月光蝶のリンプン、これがそろってなかったら手に入らない代物ってわけだ。
俺はそっと果実を枝についたまま手に取ると、透明だった果実が白くなった。それでも淡く光って目にもダメージを受けず、いつまでも見られるような優しい光だ。俺の直観が間違いないと告げている――これが伝説にあった果実だ!
「フルーツスカイよ、月光蝶よ、クリアフルーツよ、感謝する!」
『……おいおい、嘘だろ』
リンゴ、モモ、オレンジ、パイナップル、マンゴー、バナナ、レモン、ブドウ、ナシなど、季節問わず実っている果物はどれもとにかくうまい。瑞々しく果汁とうまさが共に溢れ出している。梅も実っていたから食べてみれば、これもいい酸味があって梅干しにしても最適なのに違いない。
だが、どれも伝説の果実じゃない。オゾン草のときのようなインパクトが感じられなかったからだ。探しても探しても見つけられず、それらしい匂いもしない。
そうこうしている間に、もうすっかり夜になってしまった。幸い今夜は満月だから月明かりのおかげで一面が見えるが、結局目ぼしい物は何もなかった。
☆☆☆☆☆
「このままじゃ瑞貴が……! なんで伝説の果実も七つの光も現れねぇんだよ!」
ドゴッ!
悔しさと歯がゆさで俺は地面に拳を撃ちつけた。その衝撃でクレーターができたが、今の俺に構う余裕はなかった。何が足りないんだ? それとも『天国の果樹園』はここじゃなかったのか!?
「……待てよ? 伝説には確か、愛する者『たち』とあったな」
小松から聞いた話じゃどう考えても夫婦は男と女が一人ずつだったはずだ。なら夫が示していた愛する者が妻以外だとすると……。
「そうか! 俺はなんてバカなんだ!」
パンッ!
俺は勢いよく両頬を叩いた。そうだ、伝説にあった夫は『妻のため』に果実を探しに行ったんじゃない――『妻と子供のため』に探しに行ったんだ! 俺はまだ見ぬ自分と瑞貴の子供を蔑ろにしてしまった!
後悔と反省をして、もう一度探そう。今度は俺の愛する瑞貴と子供のために!
「よし!」
キランッ!
「!」
突然月明かりとも星とも違う一つの光が俺の前に現れた。その発光は眩しくなくてまるでサンサングラミーのようだ。
キラキラッ……!
すると次々と光が現れた。その数は七つ……これが伝説にあった『七つの光』なのか!?
「こいつは月光蝶! いや、それにしては光が金色……ということは、この灯りは別名・感情の灯りと呼ばれるフィーリングロウか!」
蛾のようだがこいつの分類は蝶だ。月の光を栄養にして羽根から銀色の光を放ち、リンプンは甘くうまいスパイスのようだと言われている。どこにでもいる蝶だが、フィーリングロウを放つ月光蝶の光は金色で極稀にしか発見されない。そりゃあこんな天空にいたら見つけられないはずだ。
俺の周りにいた月光蝶はそのまま七羽共どこかへ飛び立って行く。伝説通りならと思って俺はすぐにあとを追い掛けた。そして何もない広場に着くと、前方にいる月光蝶は円を描くように舞いながらリンプンを放ち始める。
「これは!」
月光蝶のように光を放ちながら現れたのは大樹だった。俺の鼻にも反応しないのはスプナッシュと同じ効果を持っているかもしれない。大樹の全体が見えるようになると、枝には優しい光を放つハート型の透明な果実が実っていた。
「そうか……こいつはクリアフルーツか!」
透明のあまり発見が困難で希少だということで名前は聞いたことがあったが、まさかここでお目にかかれるとは思わなかった。月が近いこのフルーツスカイと、光を分け与える月光蝶のリンプン、これがそろってなかったら手に入らない代物ってわけだ。
俺はそっと果実を枝についたまま手に取ると、透明だった果実が白くなった。それでも淡く光って目にもダメージを受けず、いつまでも見られるような優しい光だ。俺の直観が間違いないと告げている――これが伝説にあった果実だ!
「フルーツスカイよ、月光蝶よ、クリアフルーツよ、感謝する!」