籠の中の鳥
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あれから数年経ち、私は20歳になった。脱出しようにも必ず副料理長の誰かに捕まるし、時に何故か三虎が直々にやって来るし、もう何がしたいのかわからない。四神を出そうにも三虎に敵う気がしないし、逆に私に関する情報を与えてしまう気がして開放できないでいた。
ちなみに現在は、食材の資料もある図書室の机に向かいながら食材の勉強をしている。
ピピピピピッ!
「あっ、そろそろ行かなきゃ……」
アラーム付きの懐中時計が鳴ったので、私は椅子から立ち上がり、資料を棚に全て戻した。
この場所では私はとりあえず料理人として扱われている。初日にどうすれば脱出できるか考えていた私の前に現れたアルファロは、三虎からの伝言を預かって来た。
『ボスが、あなたにも作れと』
『ハ、ハァ……』
というわけで、本当に何故か三虎の食事を作ることになってしまった。
この施設で働いている職員の人数も相当だけど、一番は三虎の食欲で、かなりの量の調理が必要となっている。いくら元の世界の施設で結構な人数の料理をしていたとはいえ、私がいても大した戦力にならないと思うんだけど……。
さらに言えば食事は必ず三虎と共にしている。それも三虎の希望で私はますます頭を悩ませていた。それにあまりに速過ぎてちゃんと見ないとわからないけど、三虎は食卓の上にあるいくつもの料理の中で申し訳なさそうに置いている私の料理を真っ先に食べている。私の見間違いじゃなくてアルファロもしっかり見たので教えてくれた。
「来たか。今日はフグ鯨を捌くぞ」
「はい……」
厨房に入って来た私に気づいたスタージュンが、ノッキングされたフグ鯨を前にしてそう言った。
グルメ界の食材もあるとはいえ、私の腕はまだまだ未熟だ。特殊調理食材は大して調理できないと知ると、第一支部長・エルグもだけど、スタージュンが主に教えてくれる。
「フグ鯨の毒袋は個体によって違う。1ミリでもズレれば毒化してしまうから気をつけろ」
「はい!」
でもスタージュンは料理のことになると真剣に教えてくれる。この世界の食材は人間界やグルメ界問わずまだまだ私にとって未知のモノも多いし、教えてくれる相手がいるのはありがたい。……このときだけ、私はスタージュンのことを師匠と思っている。
それにしてもフグ鯨って十年に一度しか捕れない珍味じゃなかった? なんか大事なことがあった気がする……?
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「ホーレ瑞貴~! 早く逃げないと殺されちゃうよ~?」
「みぎゃあぁぁあああ!」
今日はトミーロッドが私を見るなり虫を産み出して飛ばして来た! こいつは機嫌が悪かったりするとこうして虫を出して来るからとても大嫌いだ。
「おっ、瑞貴~。ちょうどよかった~。今から外に行くけど来るか~?」
「行きますー!」
曲がり角で鉢合わせしたグリンパーチの提案に私は即了承した。こうして誰かと一緒なら外に出ることは許されている。それに今はトミーロッドから逃げたい。あいつとあいつの出す虫に比べたら、グリンパーチのペット・ジャックエレファントのほうがマシだ!