皆で囲む食卓!!
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春の陽気に包まれたホテルグルメ。小松が料理長として働いているここは、グルメ界の食材やGODを始めとする数々のフルコースを調理し、その功績が称えられてついに最高ランクである十星レストランとなった。
しかしそのホテルの上階の一室で、小松は衝撃的な言葉を瑞貴から告げられる。
「えー! トリコさん、まだ来てないんですかー!?」
「うん……。一応時間はまだあるけどね……」
「いや、大事な日なんですから余裕持って来るべきですよ!」
「たぶん、この間三虎さんから教えてもらった場所に行ってると思う。今から行けば時間に間に合うと思うから、一緒に迎えに行こう――」
バンッ!
「絶対ダメだし!」
「「リ、リンちゃん/さん……」」
勢いよく扉を開けて入って来たのは、マンサムからグルメ研究所の所長を継ぎ、瑞貴の親友でもあるリンだ。今日は瑞貴の準備の手伝いのために部屋に訪れてきたのだが、聞き捨てならない言葉を外から聞こえたので、つい強く開けてしまったらしい。
「瑞貴には準備がいっぱいあるんだし! トリコは小松だけで連れて来てほしいし!」
「そ、そういうわけみたい。小松さん、ごめんだけど一人でお願いできるかな?」
「わ、わかりました」
「さあ行くしー! 今日のためにとびっきり可愛くするしー!」
「お手柔らかに~……」
「アハハハ……」
ズルズルとリンに引きずられていく瑞貴。その様子を小松は苦笑しつつ見送ったあと、トリコの元へと向かったのだった。
――草花が広がる平和な場所で、ただ一人立ち尽くしている男がいた。彼は何もしていないが、その空気と風の心地よさを全身に感じて気持ちよさそうにしていた。
「いた! もー! 何やってるんですか、トリコさん!」
「ん? おー小松! 迎えに来てくれたのか?」
「瑞貴さんがここにいるんじゃないかって教えてくれたんです」
「お見通しだな。なんとなく、ここに来たかったんだよ。……会長(オヤジ)たちが修業した場所にさ」
ここは若い頃に一龍、次郎、三虎が、アカシアに師事してもらったり自主練などして修業した場所だ。
「そういや、瑞貴は一緒じゃないのか?」
「ホントは一緒に行くつもりだったんですが、準備のためにリンさんに連れて行かれました」
「ハハッ」
ピリリリッ!
「あっ、瑞貴さんからだ! もうみんな待ちくたびれてますって! トリコさん、早く行きましょう! ――トリコさんと瑞貴さんの結婚披露宴ですよ!」
「ああ」
自身の腕に着けていたリドルチャプターのメールを見て小松は声を上げると、トリコはわかったと了承した。――そう、今日はトリコと瑞貴の結婚披露宴。人間界とグルメ界での数々の冒険と試練を乗り越え、ついに二人は正式に結ばれるのだ。
☆☆☆☆☆
タキシードを身につつみ、ヘアセットされたトリコは、ホテルグルメの出入口で招待客からお祝いの言葉を受け取りながら囲まれている、ウェディングドレス姿の女性の背中を見つける。
「瑞貴!」
「っ! トリコ!」
「!」
その背に向けていつも通りに声をかけたトリコ。そしていつも通り「ワリィな、遅れて!」と笑って言うつもりだったが……言えなかった。
ドレス姿はこの数年で何度も見たし、メイクするのだって珍しくない。だけど『今日のため』と用意されたウェディングドレス、ヘアセット、メイク……サニー風に言えば『調和』された彼女は、ガラにもなく美しいと感じた。
「トリコ?」
「あっ、すまん、言葉が一瞬出て来なかった。――綺麗だ。今までで一番な」
「っ、ありがとう……」
真っ直ぐな目で褒められたせいか照れてしまい、瑞貴は軽くチークを施しているにもかかわらず、さらに頬が赤くなった。
「トリコも、その……――カッコいいよ。私の旦那様」
「っ!」
今度はトリコが顔を赤くする番だった。もちろん『カッコいい』と褒められたことも嬉しかったが、まさか彼女の口から『旦那様』なんて言葉が出ると思わなかったのだ。
「なんだ残念。間に合ってしまったのか」
「こんな舞台に遅刻する男だったら、俺(レ)が瑞貴をもらおーとしたのによ」
「ケッ! だいぶチョーシ乗ってんな」
「チョーシ乗ってんのはお前らだろ! なんで結婚式用のタキシード着てんだ! いい加減あきらめろ!」
「アハハ……」
こんな日まで未練タラタラな兄弟たち。トリコは指差しながら吠えるように叱り飛ばし、瑞貴は苦笑するしかなかった。
しかしそのホテルの上階の一室で、小松は衝撃的な言葉を瑞貴から告げられる。
「えー! トリコさん、まだ来てないんですかー!?」
「うん……。一応時間はまだあるけどね……」
「いや、大事な日なんですから余裕持って来るべきですよ!」
「たぶん、この間三虎さんから教えてもらった場所に行ってると思う。今から行けば時間に間に合うと思うから、一緒に迎えに行こう――」
バンッ!
「絶対ダメだし!」
「「リ、リンちゃん/さん……」」
勢いよく扉を開けて入って来たのは、マンサムからグルメ研究所の所長を継ぎ、瑞貴の親友でもあるリンだ。今日は瑞貴の準備の手伝いのために部屋に訪れてきたのだが、聞き捨てならない言葉を外から聞こえたので、つい強く開けてしまったらしい。
「瑞貴には準備がいっぱいあるんだし! トリコは小松だけで連れて来てほしいし!」
「そ、そういうわけみたい。小松さん、ごめんだけど一人でお願いできるかな?」
「わ、わかりました」
「さあ行くしー! 今日のためにとびっきり可愛くするしー!」
「お手柔らかに~……」
「アハハハ……」
ズルズルとリンに引きずられていく瑞貴。その様子を小松は苦笑しつつ見送ったあと、トリコの元へと向かったのだった。
――草花が広がる平和な場所で、ただ一人立ち尽くしている男がいた。彼は何もしていないが、その空気と風の心地よさを全身に感じて気持ちよさそうにしていた。
「いた! もー! 何やってるんですか、トリコさん!」
「ん? おー小松! 迎えに来てくれたのか?」
「瑞貴さんがここにいるんじゃないかって教えてくれたんです」
「お見通しだな。なんとなく、ここに来たかったんだよ。……会長(オヤジ)たちが修業した場所にさ」
ここは若い頃に一龍、次郎、三虎が、アカシアに師事してもらったり自主練などして修業した場所だ。
「そういや、瑞貴は一緒じゃないのか?」
「ホントは一緒に行くつもりだったんですが、準備のためにリンさんに連れて行かれました」
「ハハッ」
ピリリリッ!
「あっ、瑞貴さんからだ! もうみんな待ちくたびれてますって! トリコさん、早く行きましょう! ――トリコさんと瑞貴さんの結婚披露宴ですよ!」
「ああ」
自身の腕に着けていたリドルチャプターのメールを見て小松は声を上げると、トリコはわかったと了承した。――そう、今日はトリコと瑞貴の結婚披露宴。人間界とグルメ界での数々の冒険と試練を乗り越え、ついに二人は正式に結ばれるのだ。
☆☆☆☆☆
タキシードを身につつみ、ヘアセットされたトリコは、ホテルグルメの出入口で招待客からお祝いの言葉を受け取りながら囲まれている、ウェディングドレス姿の女性の背中を見つける。
「瑞貴!」
「っ! トリコ!」
「!」
その背に向けていつも通りに声をかけたトリコ。そしていつも通り「ワリィな、遅れて!」と笑って言うつもりだったが……言えなかった。
ドレス姿はこの数年で何度も見たし、メイクするのだって珍しくない。だけど『今日のため』と用意されたウェディングドレス、ヘアセット、メイク……サニー風に言えば『調和』された彼女は、ガラにもなく美しいと感じた。
「トリコ?」
「あっ、すまん、言葉が一瞬出て来なかった。――綺麗だ。今までで一番な」
「っ、ありがとう……」
真っ直ぐな目で褒められたせいか照れてしまい、瑞貴は軽くチークを施しているにもかかわらず、さらに頬が赤くなった。
「トリコも、その……――カッコいいよ。私の旦那様」
「っ!」
今度はトリコが顔を赤くする番だった。もちろん『カッコいい』と褒められたことも嬉しかったが、まさか彼女の口から『旦那様』なんて言葉が出ると思わなかったのだ。
「なんだ残念。間に合ってしまったのか」
「こんな舞台に遅刻する男だったら、俺(レ)が瑞貴をもらおーとしたのによ」
「ケッ! だいぶチョーシ乗ってんな」
「チョーシ乗ってんのはお前らだろ! なんで結婚式用のタキシード着てんだ! いい加減あきらめろ!」
「アハハ……」
こんな日まで未練タラタラな兄弟たち。トリコは指差しながら吠えるように叱り飛ばし、瑞貴は苦笑するしかなかった。