四神の力で私は『トリコ』という世界にトリップしてしまった。よく小説とかにもあるし、それはよかった(いやよくない)んだろうけど……。


「なんでこどもになっちぇんのー!?」


そう、私は中学生のはずが何故かさらに子供になっていた。水溜まりに水面に映った姿を見れば、小学生にもなっていないどころか幼稚園児の年齢……３～４歳くらいだろう。しかもトリップした場所は人間界じゃなくてグルメ界。それもトリコが一度入って制裁を受けたアングラの森だった。


〈カロロロロ……！〉

「わみゃあぁぁああ!?」


猛獣も当然現れるし、私の人生は何度積んだと思ったことだろう……。



――あれから一年半。５歳くらいになった私は変わらずグルメ界で生活している。といっても、アングラの森からほとんど出たことはないし、他のグルメ界のエリアは行ったこともないけど、よほどのことがない限り(空腹や腕試しを除いて)猛獣は私を襲わなくなった。

最初は四神じゃないと対抗できなかったけど、食事や睡眠を除いた空いた時間に生身で訓練をしたら、子供の体故なのか覚えるのが早くあっという間に戦闘の仕方を覚える。それに薙刀も成長に合わせて伸び縮みするから扱いやすい。

あとしゃべり方はとにかく練習した。中身が中学生なせいか、舌ったらずなしゃべり方は何かのプライドが許せなかったし、猛特訓の末についに標準的なしゃべり方はできるようになったのはとにかく嬉しい。


〈カロロロロッ!!〉

〈ビアアアアッ!!〉

「てやあっ！」

「…………」

「あっ」


そんな中グルメ界の様子を見に来たのか、ＩＧＯ会長の一龍さんがやって来た。阿修羅タイガーやキングレントラー相手に撃退する私を見て相当驚いた顔をしていたのは見ものでもある。


「お主、わしと一緒に来んか｣｣

「やだ」


思わずそう返してしまったのは仕方ないと思う。だって『知らない人に着いて行くな』は古今東西の教えじゃない？