もし叶うならば
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ティナさんが今回の取材で使ったマイクロバスで移動し、僕たちはスタジオにやってきた。カメラマンさんに瑞貴ちゃんを見せたら一発OKだったようで、瑞貴ちゃんはされるがままにスタイリストさんとメイクさんに連行されて別室に行った。
「もうティナったら、あんないい人材がいるなら早く行ってくれればよかったのに!」
「いやいや、ココがいなかったら連れて行くなんて考えなかったわよ。でも、あんたのお眼鏡に適ってホッとしたわ」
カメラマンさんは女性で名前はテルマさんと言うらしい。歳はティナさんと変わらないように見えるが、確かにカリスマ性を電磁波から感じる。こだわりが強いからこそ、いい写真ができるんだろうな。
「モデルさん、着替え終わりましたー!」
メイクさんの声で他のスタッフさんたちも含め、僕たちは全員その場に振り向いた。なんと瑞貴ちゃんは純白のウェディングドレスを身にまとっていたのだ。
「えっ? 撮影って……」
「言ってなかった? 今日はウェディングドレスの撮影なのよ。だから瑞貴にもウェディングドレスを着てもらったってわけ」
正直に言うが聞いてない。でも瑞貴ちゃんはグルメ馬車のときもそうだったけど、かなり化粧映えする子だから、マーメイドドレスでマリアベールの姿はとても大人っぽくて美しい。
「もう最高よ! 今日はよろしくお願いね!」
「い、いえ。こちらこそ」
テルマさんの迫力に圧されつつも瑞貴ちゃんは微笑んで頷いた。
それにしても一人だけの撮影でよかったな。もし新郎役の男でもいたら僕は嫉妬して瑞貴ちゃんを推薦することに後悔していただろう。
――撮影は滞りなく順調だった。最初は緊張していた瑞貴ちゃんも、テルマさんたちがフレンドリーなおかげでだんだん緊張がほぐれ、指示に従ったり時には自分で動いてみたりと本当のモデルのようだ。
セットを変える度に衣装も変わっていくから、最初のシンプルなドレスからレースをあしらったドレスになったり、ワンピースタイプのドレスになったり、その都度メイクも変える。サニーと違って僕は撮影されるのは嫌いだけど、普段見る雑誌の裏でこういう大変な作業があるということがわかった。縁の下の力持ちって奴だね。
「ありがとう、瑞貴ちゃん! おかげで全部撮り終ったわ!」
「アハハハ……私はもう立ってるのがやっとです……」
晴々しい笑顔のテルマさんとは反対に、終わったことで力が抜けたのか瑞貴ちゃんは顔が真っ青だ。するとテルマさんが僕のほうを振り向いた。
「よかったらココさん、瑞貴ちゃんと一緒に撮影はいかがですか?」
「ダメよ、テルマ! ココはカメラを撮られるのが嫌なの!」
「もちろん雑誌には使わないわよ。今日の記念にってことで! ティナには今日夕食奢るけど、ココさんのおかげでもあるんだから私がお礼したいのよ」
「……本音は?」
「ここまでの美男美女の撮影なんて滅多にできるわけないじゃない!」
ティナさんがさり気なくツッコミを入れたら、テルマさんは拳を握ってそう答えた。電磁波を見る限り嘘は言っていない。
本当は断ろうと思ったけど、ウェディングドレスを着た瑞貴ちゃんと撮影なんて願ってもないことだ。しかも今着ている衣装は僕の好みだからね。
「瑞貴ちゃん、君はどうだい?」
「私はココさんが構わなかったらいいですよ」
「それじゃあ瑞貴ちゃんと僕にくれる写真以外、流出しないという条件を受けてくれたら」
「もちろんですよ! せっかくだからココさんも着替えてください!」
「えっ? 僕も?」
「こんなに綺麗な花嫁と一緒に撮るのに私服っていうのも味気ないじゃないですか!」
確かに一理ある。それに僕が着替えている間、瑞貴ちゃんの休憩時間にもなるだろう。