俺の光
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「そうだ。せっかくだから、あなたもグラウンドに行ってみたらどう?」
「うん。久しぶりに子供たちに会って来るよ」
「今日は月に一回の『あの日』だから、あの子にも会えるわよ」
「!」
姉さんの言葉に俺は目を見開いた。『あの日』というのは園の子供たちへのサッカーの講習会のこと、そして『あの子』というのは、かつて俺が想いを寄せていた人のことだ……。
――当時の俺たちが主にサッカーが好きだったこともあって、園の裏には広いグラウンドがある。世界大会のときも、緑川と砂木沼さんが特訓のために使っていた。
近くに行くと少しずつ賑わっている声も聞こえて、俺たちもああだったなと懐かしくてつい口が緩んでしまう。
「瑞貴先生ー! うまくパスが通らないよー!」
「どれどれ~?」
金網の向こうのグラウンドで、子供の一人が教えを請いに女性の元へやってきた。ここからじゃうしろ姿しか見えないけど、最後に会ったのは二週間前だし、昔と変わらない雰囲気ですぐにわかった。
彼女は円堂瑞貴。現在は雷門中サッカー部のコーチであり、俺の元チームメイトであり……俺のかつての想い人でもある。
「あー! ヒロト兄ちゃんだ!」
「ヒロト兄!」
「えっ?」
「っ!」
他の子供たちが俺を見つけて呼んだので、彼女もこっちを振り向いた。そのとき、一瞬だけ十年前の姿と重なって見えた。
彼女はプロリーグに入ってからも、月に一度お日さま園の子供たちにサッカーを教えている。それは雷門中のコーチになってからも続いており、子供たちの人気者だ。
俺たちはベンチに並んで座り、グラウンドで元気に駆け回っている子供たちを眺めながら久しぶりに会話をする。
「ヒロトが一人なんて珍しいね」
「緑川たちに追い出されたんだ。根詰め過ぎだって」
「そうなの? 社長が追い出されちゃうなんて、このままじゃ下克上されちゃうんじゃない?」
「それはそれで困るな……。というか、緑川より玲奈辺りがあり得そうで怖いんだけど」
「玲奈ちゃん、今じゃバリバリのキャリアウーマンらしいね。瞳子姉さんに教えてもらったよ」
玲奈は俺がザ・ジェネシスにいたときも副キャプテンとして強い実力と精神を持つ。それに成長してからどこか瞳子姉さんにも似てきて、元来の冷静且つ勝気な性格のせいか、会社でも好成績な上に俺に対してもビシバシと言ってくる。……自分で言っててなんだけど、本当に下克上されるんじゃないだろうか。
「いっけー! シュートだー!」
「キーパー! 止めてー!」
「いっくぞー! りゅうせいぶれーど!」
「!」
俺の必殺技の名前が聞こえて思わず顔を上げる。さすがに必殺技は本当に出たわけじゃないけど、構えは似ている。
「あの子、ヒロトの選手時代の映像を見て憧れているの。この間は天空落としって叫んでいたよ」
「俺に憧れるなんて……嬉しいな」
これは紛れもない本心だ。俺は瑞貴ちゃんや円堂くんのようにプロじゃない。でも、俺に憧れてくれる子もいることが本当に嬉しい。
「そうだ! 久しぶりにさ、ヒロトも一緒にサッカーをやろうよ!」
立ち上がって手を差し出して来た彼女の姿は、円堂くんと似ている。十年前から波長が合っていたし、今は夫婦だから自然と似ているのもあるのだろう。
それを見て彼女は幸せな日々を過ごしているんだと感じる。
「そうだね、やろう!」
「そうこなくっちゃ! みんなー! ヒロト兄さんもサッカーやるって!」
「「「「「わーい!」」」」」
先にグラウンドに向かって走っていく彼女の背が再び十年前と重なる。瑞貴ちゃんと円堂くん――二人がいたからこそ、俺はあのときの過ちに気づいたしサッカーが心から大好きだと言えるようになった。
だから俺は、これからも二人の幸せを願おう。
あとがき→
「うん。久しぶりに子供たちに会って来るよ」
「今日は月に一回の『あの日』だから、あの子にも会えるわよ」
「!」
姉さんの言葉に俺は目を見開いた。『あの日』というのは園の子供たちへのサッカーの講習会のこと、そして『あの子』というのは、かつて俺が想いを寄せていた人のことだ……。
――当時の俺たちが主にサッカーが好きだったこともあって、園の裏には広いグラウンドがある。世界大会のときも、緑川と砂木沼さんが特訓のために使っていた。
近くに行くと少しずつ賑わっている声も聞こえて、俺たちもああだったなと懐かしくてつい口が緩んでしまう。
「瑞貴先生ー! うまくパスが通らないよー!」
「どれどれ~?」
金網の向こうのグラウンドで、子供の一人が教えを請いに女性の元へやってきた。ここからじゃうしろ姿しか見えないけど、最後に会ったのは二週間前だし、昔と変わらない雰囲気ですぐにわかった。
彼女は円堂瑞貴。現在は雷門中サッカー部のコーチであり、俺の元チームメイトであり……俺のかつての想い人でもある。
「あー! ヒロト兄ちゃんだ!」
「ヒロト兄!」
「えっ?」
「っ!」
他の子供たちが俺を見つけて呼んだので、彼女もこっちを振り向いた。そのとき、一瞬だけ十年前の姿と重なって見えた。
彼女はプロリーグに入ってからも、月に一度お日さま園の子供たちにサッカーを教えている。それは雷門中のコーチになってからも続いており、子供たちの人気者だ。
俺たちはベンチに並んで座り、グラウンドで元気に駆け回っている子供たちを眺めながら久しぶりに会話をする。
「ヒロトが一人なんて珍しいね」
「緑川たちに追い出されたんだ。根詰め過ぎだって」
「そうなの? 社長が追い出されちゃうなんて、このままじゃ下克上されちゃうんじゃない?」
「それはそれで困るな……。というか、緑川より玲奈辺りがあり得そうで怖いんだけど」
「玲奈ちゃん、今じゃバリバリのキャリアウーマンらしいね。瞳子姉さんに教えてもらったよ」
玲奈は俺がザ・ジェネシスにいたときも副キャプテンとして強い実力と精神を持つ。それに成長してからどこか瞳子姉さんにも似てきて、元来の冷静且つ勝気な性格のせいか、会社でも好成績な上に俺に対してもビシバシと言ってくる。……自分で言っててなんだけど、本当に下克上されるんじゃないだろうか。
「いっけー! シュートだー!」
「キーパー! 止めてー!」
「いっくぞー! りゅうせいぶれーど!」
「!」
俺の必殺技の名前が聞こえて思わず顔を上げる。さすがに必殺技は本当に出たわけじゃないけど、構えは似ている。
「あの子、ヒロトの選手時代の映像を見て憧れているの。この間は天空落としって叫んでいたよ」
「俺に憧れるなんて……嬉しいな」
これは紛れもない本心だ。俺は瑞貴ちゃんや円堂くんのようにプロじゃない。でも、俺に憧れてくれる子もいることが本当に嬉しい。
「そうだ! 久しぶりにさ、ヒロトも一緒にサッカーをやろうよ!」
立ち上がって手を差し出して来た彼女の姿は、円堂くんと似ている。十年前から波長が合っていたし、今は夫婦だから自然と似ているのもあるのだろう。
それを見て彼女は幸せな日々を過ごしているんだと感じる。
「そうだね、やろう!」
「そうこなくっちゃ! みんなー! ヒロト兄さんもサッカーやるって!」
「「「「「わーい!」」」」」
先にグラウンドに向かって走っていく彼女の背が再び十年前と重なる。瑞貴ちゃんと円堂くん――二人がいたからこそ、俺はあのときの過ちに気づいたしサッカーが心から大好きだと言えるようになった。
だから俺は、これからも二人の幸せを願おう。
あとがき→